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SF好きと『クララとお日さま』オマージュコーデ

※この記事は2022年2月17日㈭に再編集後再掲載されたものです。

皆様こんばんは。この間の記事でも取り上げたように、イシグロさんのインタビューを読んで、そのまま本屋さんに行って、まんまと著作本を2冊買ってきました。

本日は読み終えた一冊を紹介させてください。その前に私、古い服ばかり着ていますが実は近未来的な物語が好きなんです、なんてどうでもいい話もします。誰も聞いてないと思うけれど…

AIやアンドロイド系のSFものが好き

さて、いつもInstagramを見てくださったり、働いているお店の印象から、なんとなく古いものや歴史のあるものが好きという印象をお持ちの方も多かなと思います。(一番は服好きの頭おかしい人って言われそうやけど。)

今までの振り返り記事でもあるように、理系なのでほっとんど歴史の勉強もせず、血筋なのか機械が比較的好きな部類としてここまで育ってしまいました、どうでもいいけど。

おそらく父の影響で、SF映画を幼少期からよく見ていて、物心がついたときには『アイ・ロボット』を何度も見ていた記憶があります。

中でもマイ・ベスト・アンドロイド映画は『ブレード・ランナー』で。愛に人間かレプリカント(アンドロイドのことです)か、なんて境界はなくて、何よりそんなことを問うのはナンセンスやなと思った作品。今でも考えさせられます。長くなるからこの続きはfilmarksにて。

そして記憶に新しいスパイク・ジョーンズ監督の『her -世界でただひとつの彼女-』。この映画は胸が苦しくなった。

媒介者を通して愛し合おうとしたあのシーンは…あれほど心痛むラブシーンは後にも先にも見たことがなくて…手が伸ばせば触れられる…そんなことないのだから…。

何よりも誰よりも心が通い合っている、そんなもの同士が結れない、なんて…。相手は機械といわれたって、そこを隔てるものは何があるのか?ってね。(機械を一つの人格として捉えてるの理解されないんだろうなぁ)

またゲームでも数年前に出た、『Detroit Become Human』も今でも覚えているぐらい印象的で。これまたアンドロイドのコナー&古風な警官ハンクのバディがたまらんでしたね。

ノベル系なので、アンドロイドになりきって、自分がもし心のあるアンドロイドなら?という選択肢を選び続けていたのが懐かしい。
その選択肢は必ずしも"機械らしい"答えではありませんでしたが…。

喋りすぎましたね。他にもAI、アンドロイドものは見てきましたが、まぁ印象的な作品はだいたいこんな感じでしょうか。ざっとこれらを見てきた上で今回の"クララとお日さま"を読んだわけです。

機械が人間に近づくのではなく、人間が機械に近づいている

2021年の3月に発売されたばかりで、どんな話なん?と質問が来そうなのでさらっとまとめます。次の章ではオマージュコーデも掲載しますので、よろしければお付き合いくださいね。

この先、#ネタバレ を含みます。
まずはあらすじから。

人工知能を搭載したロボットのクララは、病弱の少女ジョジーと出会い、やがて2人は友情を育んでいく。生きることに意味を問う感動作。愛とは、知性とは、家族とは。

引用元:本書カバーより

この本は人工親友AFと呼ばれる、子供の成長を手助けするロボットのクララが語り手で物語が進みます。

お店の一角にディスプレイされたクララがあらゆるものを観察したり、一緒に売り出されている他のロボットやそのお店の店長さんとの会話ではじまります。(びっくりするぐらい細かい描写で疲れてしまうかも、笑)

そしてなんやかんやとあってジョジーとともに暮らし始め、ジョジーの成長を見守りながら成長を続けるクララに待っていた結末は…というお話。

433ページは果てしないかもしれないけれど、"西の魔女が死んだ"を読み終えたときと明らかに違った、冷たい何かを感じてもらえるはず。続きはぜひご自身の目で確かめてくださいね。

本当にざっくりとまとめると、ひとりの女の子ジョジー(と近所の少年リック)の成長物語をロボットのクララの目を通して見る、というものなのです。

さてここからは、印象的だったシーンをまとめます。ひとつめは一章目で永遠と喋りっていた作品と共通している点について。

街の劇場前での待ち合わせに同行したクララが、観劇するものだと勘違いしたご婦人が言いがかりをつけてくるこのセリフ、

「仕事を奪うだけかと思っていたら、座席まで奪うとはね」

引用元:本文より

ここはゲーム『Detroit』に通じる部分。やっぱり設定的に、人間はアンドロイドを憎んでいたり、恐れているところが節々に出てくる。近い将来のこの現実世界ではどうなるんだろう?と想いを馳せたり。

ふたつめは、節々に出てくるクララを周囲の人に紹介する際の「これがクララ」という言葉にいちいち胸を痛めてしまいました。

映画『her』でもそうでしたが私は、少なからずジョジーもそうであったと思いたいけれど、モノではなく人と同等に扱っているものとしては、"これは"という部分があまりにも冷酷に感じました。

翻訳版を読んでいるからわからないけれど、きっとThis is~のように、あくまでも物体として書かれていたのだと思うと…胸が痛い。

どんどんと学習し人間の感情を理解しようとするクララと、裕福な暮らしを送るためにロボットのように来る日も来る日も勉強をするジョジーや、淡々と仕事をこなすジョジーの母親たち。

人間に近づくアンドロイドと、機械に近づく人間。性質が真反対になる日も来るのかもしれないね、大袈裟なのかもしれないけれど。

オマージュコーデ

今回は病弱なジョジーが母親の期待に必死に答えようと、調子の悪い日にはオブロン端末をベットの上で操作し、勉強しているイメージで。

親たちは子どもたちに苦労しない将来のためにある処置を受けさせ(詳しくはぜひ本文を読んでみてくださいね)、勉強をさせ、いい大学に行かせようとする。

ただ、その処置をめぐって親たちの葛藤のシーンもたくさん描かれていて…まだ私自身はジョジーやリックといった子ども目線でしか感じれなかったので、歳を重ねたときに読んだら、親目線で読める日も来るのかな、とか。

考えだしたら止まらない小説です。近未来を舞台にしているけれど、これは紛れもない現在の問題でもある。

この記事の考察もぜひ。より本書が楽しくなります。最近『エクス・マキナ』という映画を見終えたところで、またそちらの話もどこかでできたらいいなぁと思います。

さて長くなりましたが読まれた方はどう思いましたか?ぜひお聞かせてくださいね。

 
Chiro (Chihiro Takatsuka)
大阪府出身。衣料管理士1級保持。
2013年より主にフランスヴィンテージを取り扱うPetit Bonheurの販売員として勤務している。現在はデジタルディレクター、ビジュアルプレスも兼任。また『ヴィンテージをもっと日常に!』をモットーに着こなしだけでなくケア方法も交えた日常的に楽しむ方法を各種SNSにて発信している。
趣味のカメラを用いてコレクションしているヴィンテージを纏った自身と古家具をメインに撮り、セルフポートレーターとしても活動中。
 
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