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心理療法初回「自分が悪いと言うこと自体が、トラウマ症状です」

前回のnoteで、トラウマ治療の準備として私がまとめた情報について書きました。



1.「私への虐待は、本当にひどかったんだ」と実感した面接でした。

今日は実際の初回面接のおはなしです。
元々予約フォームに、虐待に遭ってきたこととEMDRという治療を受けたいことは書いていたので、話はスムーズでした。

(独立開業している臨床心理士さんの場合、カウンセリングルームのサイトに予約・問い合わせフォームを設けているところが多いです。
予約や問い合わせのハードルが高い自分にはありがたかったです。そういうところ、自費だから凄くお金かかるけど😭)

まず先生は私がまとめてきた紙を読みつつ、
「事前にまとめてきていただけると、分かりやすいし助かります」
と言ってくれました。

続けて、
「あなたのお母さんは、何がしたかったんだろうね…」と…。

私は「それが分からないんです…」と話しましたが、その途端、両手が激しく震え出して止まらなくなりました。そして、
「私は今、自分が震えてるのをみながら、私が受けてきた虐待は酷いものだったんだと分かりました」と話しました。

続けて、
「私は今まで、母も一生懸命だったんじゃないか。私が大袈裟で、被害者意識がひどい人間だったんじゃないかと思ってきました。でも大人になった自分がこんなに震えるようなことを、私はされてきたんですね」と…。

臨床心理士の先生は答えました。
「そうなんです。虐待ってね、身体が覚えているの。あなたの身体の反応を見れば、酷い虐待があったことが分かります」

思うようにならなかった心身が、医療者の前で「証人」になってくれたことに私は驚きました。何よりも、虐待があったことを信じてもらえたことへの安堵…。


◆「他人」に信じてもらうことが持つ力

私がトラウマ治療に臨むときに、一番怖かったのは、
「私が話したことを信じてもらえないんじゃないか。改めて『おかしいのは、母でなく私なのだ』と烙印を押されて終わるのでないか」

ということでした。

おそらくこれは多くの虐待サバイバーや、トラウマになるような被害に遭った方々も抱えている恐怖なのではないかと思います。

「他人が信じてくれた」
実はこの時点から、私のトラウマ治療は始まっていたのかもしれません。
誰も信じてくれないだろうという経験、話したところでを私が引かれてしまうだろう経験を信じてもらえたということ自体が、のちのち自分を信じる力につながったとも思うのです。

2.「自分が悪い」と思うこと自体が、トラウマの症状なので…

自分が遭ってきた被害の深刻さを実感できたこと。これだけでも初回面接は良い時間になったと思います。
しかし1時間のなかで驚いたことは、これだけではありませんでした。

初回面接の後半、私は「今の自分が困っていること」として、
「自分は考え方や、ものの捉え方がおかしいから、それを修正したい」
と臨床心理士の先生に伝えました。そして、先生から返ってきた言葉は、意外なものでした。

「『自分が悪い』と思うことは、PTSDの症状です。置いておきましょう」
そのときは先生の言葉の意味が、まったく分かりませんでした。かえって頭が真っ白になりました。

これについては、のちのち気づくことがありました。「自分が悪い」と思うことで、私は母からの秩序もへったくれもない暴力を早く終わらせていたんだなと…。
その上、誰も助けてくれず、味方もいなかったという状況自体がトラウマになっていて、誰にも信じてもらえなければ「自分が悪いのだ」という結論になるのも無理はないと思います。


初回面接は、
・私の経験を信じてくれた臨床心理士の話
・まだ自分を信じられてないけど、のちのち信じることになる芽がわずかに出てきた、当時の私の話でした。


信じる、信じることができない、信じてもらえない…。集中して扱ったわけではありませんが、この問題は4年掛かったトラウマ治療の中で、なんども出てきました。
今後のnoteでうまく言語化できるかは心許ないのですが、「自分を再び信じられること」はトラウマ治療のテーマの一つなのかもしれません。

そもそも、私は「自分を信じるってどういうことか」と言う部分が壊れたり、ひしゃげた状態で生きてきたので、そこのカケラを集めたりなおしたりというところから始めることになりました。


次のnoteからは、EMDRやSE、自我状態療法といった実際の手法を経験した話に入っていけると思います。よかったら、お付き合いください。


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