古今集巻第十五 恋歌五 796番
題しらず
よみ人しらず
心こそうたてにくけれ染めざらば移ろふこともをしからましや
題知らず
詠み人知らず
心こそはとても憎いものだ、あの人に心が染まらなかったら、あの人の心変わりが、こんなに悲しいだろうか
「心こそうたて憎けれ、染めざらば移ろふことも惜しからましや」
「うたて」は、とても、ひどく、の意味。
「染める」は、心が染まる、好きになること。
「移ろふ」は、相手の心変わり。他の女性に気持ちが移った、ということ。
「をし(惜し)」は、残念だ、嫌だ。望まない状況を指して言うこと。
「心こそ〜憎けれ」は、こそ+けれ(係助詞と已然形)の係り結びで、意味の強調。
「染めざらば〜惜しからましや」は、染まらなかったら惜しいだろうか、いやいや、染まったから惜しいのだ、という反実仮想です。
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