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修験道と忍術

忍術には、山伏が用いた、
九字護身法も含まれています。

俗に、九字を切ると言いますが、
呪文を唱え、手印(ムドラー)を結び、
悪鬼、怨霊、敵から身を守る法です。

呪文であり、真言(マントラ)ではない
のは、道教の影響を受けているからです。

因みに呪文と言いますが、「祝う」と
「呪う」は、漢字で書くと辺が違うだけで、
本質的には同じ物です。

念のベクトルが正反対なだけです。

日本での九字法は、独股印を結んで
「臨」と唱え、
次に大金剛輪印、
外獅子印、内獅子印、
外縛印、内縛印、
智拳印、日輪印、
宝瓶印(隠形印)
の順に印を結び、
「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」
と唱えるものです。

意味は「臨める兵、闘う者、皆、陣をはり
列をつくって、前に在り」というものです。

まあ、一種の霊的なバリアですね。

最後にに刀印(人差し指と中指を立てる)を結んで、四縦五横の格子を空中に書きます。

実際にやってみると分かりますが、かなり
煩瑣です。スムーズに次の印(ムドラー)に移行するのに、数多く練習を必要とします。

コツは、両手を上下に振るような感覚で、
素早く指を動かすことです。

あまりに冗長なので実戦向きとは言い難く、そういう訳で、「早九字」なるものが、
考え出されたのだと思います。

「早九字」は、印(ムドラー)は省略
します。「臨・兵・闘……」と唱えながら、
刀印で四縦五横に空中を切ります。

本来は印(ムドラー)が表す諸仏を瞬間的に観想しなければ、意味がありません。

刀印はヴァジュラを意味しています。
所謂、武器ですから攻撃の法です。

これは、推察にすぎませんが、この法は二段構えで、呪文までが、「バリア」即ちこれ以上近づくな、という意思表示で、

それを相手が無視した場合、(往々にして
ひるまず来る)刀印によって発動させると
いう仕組みではなかったでしょうか。

戦場では、相手が襲って来る前提ですので、境目がなくなったものと思われます。

それからこれは呪(しゅ)ですので、失敗
すると自分に返ります。

返らないようにするには、ちゃんとバリアを解かなければいけませんが、不勉強で、
正しいやり方は知りません。

忍術と言うと九字の法が有名ですが、
もっと基本的、実践的な法もあります。
次の記事で紹介したいと思います。

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