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うめこ 18歳、夏(2)

神社でのデートの後、クラブが終わり、皆が帰った学校の
部室で二人きりでたくさん話をしましたよね。
映画の話が多かった気がします。
必殺!とブレイクダンスのどちらが先に上映されるとか、
ぴあをめくっては、手が重なったり、
マッチと明菜の恋愛映画が来年早々には見れるらしいとか、
来年の話をしては、照れていたのを思い出します。
帰りには、手を繋いで駅まで肩を並べて歩きましたね。

そう言えば、プラネタリュムにも行きました。
暗い中、星を見上げて、キスしてくれたのが、
初めてのキスでした。

あれから一か月、今日初めて佐藤さんのアパートに行きます。
「アンアン」や「ノンノ」を見ましたが、詳しくは載っていません。
教えてくれる友達もいないし、初めてだし、
躊躇する気持ちとすべてを知りたい気持ち、
どうすれば良いのでしょう。

お風呂屋さんに行って、ムダ毛の処理をして、念入りに体を洗い、
いつもはしない髪の毛のパックもして、
一番新しい下着を着けて、お泊りの着替えを小さなバックに詰めて
準備は出来ました。

とっておきのうすい空色のワンピースを着て、
低めにポニーテルをシュシュでとめて、
電車に乗って佐藤さんとの待ち合わせの駅へ。

待ち合わせの駅前、5分前についたのに、
何時ものように待っている佐藤さん。
「ごめんなさい。遅かったかしら。」
「大丈夫ですよ。自分がうめこさんに早く会いたくて
早くから待っていただけですから。」
嬉しくてつい口に出る
「そんな、うれしい!」
「おなかは減ってはいませんか?」
「大丈夫。」
「では、軽く飲みませんか?」

うめこさんが小さなカバンをもって急いで駅の階段を下りてくる。
転びそうになるうめこさん、
危なっかしいなぁと守ってあげたくなる。
食事をどうすると聞くと、おなかは減っていないらしいので、
今夜のことを考えて、お酒を飲みに誘う。
二つ返事でOKをもらい、
前から調べていた、バーに向かい手を握り歩いてゆく。
たわいもない部室で話したことを楽しそうに話すうめこさん。
そうするうちに目的のバーに着いて、
扉を開けるとカウンターだけの小さなお店。
うめこさんに店の中ほどの席を勧め、隣に腰を掛ける。
「うめこさん、うめこさんは何を飲む?」
「何がおいしいのかなぁ? 
ビール以外飲んだことが無いから、教えて?」
「そうですね、それじゃマスターに聞きましょう。
マスター、軽いカクテルは何がおすすめですか?」
「こちらのお嬢さんにはブルー系のカクテルで、
チャイナブルーなどいかがでしょう?」
「どうする?」
「うん、それにします。」
「じゃぁそれで、僕は水割りかな。」
「ウイスキーは何にいたしましょう?」
「あまり詳しくないのでお任せします。」
「はい、それではグレンフィディックで。」

生まれて初めてバーに入って、
カクテルを飲みました。
佐藤さんもお酒にはあまり詳しくはないみたい。
マスターがおいしい飲み方を教えてくれて、
一口飲んで、おいしい!って言ってしまった。
一時間ぐらいかしら、おしゃべりをしながら飲んで
楽しい時間が過ぎ、気が付くと佐藤さんが会計を済まして
手を引かれて表に出ると夜風が気持ちいい。

アパートに向かって歩きながら、
夕ご飯どうしようと思っていたら、
「うめこさん、うめこさんは嫌いなものはある?」
と聞かれ
「嫌いなものは無いです。」
と答えたら、
「ご飯も炊いてあるし、おかずは炒め物を作るけど、
それで良い?」
「うん。」
「良かった。」

佐藤さんの部屋に上がると、きれいに片づけてある、
小さな台所で、野菜炒めを炒めながら、魚を焼いて、夕ご飯。
料理できる男の人はかっこいいなぁ。
ガラステーブルにおかずとご飯を並べ、
ビールとグラスが二つ。

あんまり食べるとおなかがポッコリするので
後で恥ずかしいかも、
そう思いご飯はほんの少し、
お魚をつまみにビールを飲む。

佐藤さんはミニコンポで音楽をかけながら、
ご飯をかたずけて、
ビールを小さな冷蔵庫からもう一本出してくれた。

「アンアン」や「ノンノ」では、
はじめては男の人に任せれば良いと書いてあって、
具体的には何も書いていなかったので少し心配。
でも、バーから飲んでいるし、音楽が心地よくて
彼の肩にもたれかかっていたら
「うめこさん、大丈夫? 飲みすぎていない?」
「うん、少し飲みすぎたかも、でも大丈夫よ。」
「本当に?」
「うん。」
「キスしてもいい?」
「うん。」と答えたら、唇に彼の唇がおおいかぶさり、
眼を閉じる。

・・・
これは創作で、主人公に似た名前の人もフィクションです。
実在の人物や団体などとは関係ありません。 
あくまで、妄想ですので事実と誤認しないようにお願いいたします。
・・・

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