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平隊士の日々 元治元年皐月十六

元治元年皐月十六  


飲みすぎたようで、西岡に起こされる。
布団をかたずけ、掃除して、稽古。

朝食、梅干し、たくあん、味噌汁、ご飯。

本日の隊務割は賄。
井上組長が、
「なにか、美味いおかずは無いか?」
「大阪に、炊いたんと言う料理があります。」
「どうゆう料理だ。」
「うちの方では、こんにゃくと唐辛子を炒めて、出汁を入れて煮込み、
ちりめんじゃこと酒と醤油、刻み唐辛子で味付けする料理です。」
森が、「大根でも作るな、それは、」
「多めに作れば、明日の朝のおかずにもなります。」
「よし、大根とこんにゃくと唐辛子と、あと油揚げも入れると旨そうだ。」
手分けして買い出しに行く。

大根を一寸ほどに切り、皮をむき、水にさらしておく、
こんにゃくは煮こぼしてあく抜きをする。
油揚げを半分に切り、唐辛子はみじん切りと、丸のまま使う、
大鍋に大根とこんにゃくと丸のままの唐辛子を炒める。
唐辛子のヘリ切りしていないのが混ざっており、爆ぜて騒ぎになる。
みんなでわいわい料理するのは楽しい。

昼食、大根の炊いたん、蒲鉾、揚げの味噌汁、漬物、ご飯。

洗い物をしながら、夕食のおかずの話をする。
「唐辛子が残っているので、唐辛子を使った料理は無いかな。」
「以前、十番隊が賄の時に作った、唐辛子と京菜の雑炊が美味かったな。」
「唐辛子と魚を味噌で団子にして、お茶漬けにするのはどうだろう。」
「それなら、大根おろしを大葉で包んで団子にして、
梅干しも魚と団子にして、三種類の団子のお茶漬けにすると、
面白いのでは。」
「ゆで卵も足して、漬物と三種類の団子茶漬けで夕食にしようか。」
皆で不足の食材を買いに行く。

手先が不器用な森は、団子がいびつになっている。
西岡は大根おろしの絞りがあまくて、団子がびしょびしょだ。
わいわい言いながら夕食の準備。

夕食、三種類の団子のお茶漬け、ゆで卵、漬物。
お茶漬けに、団子を溶かして食べるように、皆に言うと、
大根が旨いという隊士もいるが、
魚のたたきに梅干しが入った団子が旨いと言う隊士が多い。
食事を片付け、洗い物をしていたら、
井上組長が島原に飲み行くというので、
出かけようとしたら、山南総長も、俺も行くよついてきた。

島原の角屋の二階で飲んでいたら、どこかの藩士がからんできた。
山南総長が間に入って、いさめている。
京都見廻組だとか、言っているが良くはわからない。
井上組長が、そろそろ帰るぞと言うので、酔っぱらった森を抱えて帰る。


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