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平隊士の日々 元治元年水無月八

元治元年水無月八

新田革左衛門が痛みに唸っている声で起こされた。
井戸に行き水を汲み、看病している尾関雅次郎に手桶をわたし
「新田はどうだい?」と聞くと
「かなり深手で熱が下がらず、昨夜はのたうち回っていたが
今朝は、少し落ち着いているが、1か月も持つかどうか。」
「そうか、池田屋の捕縛は大変だったようだな。」
「僕は山南総長と一緒に屯所を守っていただけだからなぁ。
あまり詳しくは知らないんだ。」
「三品の話だと、数多くの浪士が集まっていて、
すさまじい斬りあいになったって言っていたな。」
そんな話をしていると、井上組長に賄いを手伝いに行けと
言われ、賄の手伝いに行く。

朝食、ご飯、味噌汁、漬物、梅干し
昨日と同じだが、けが人が多いので、ご飯を軟らかめに炊いた。

土方副長がみんなを集め
「浪士たちが、捕縛した浪士たちを奪還しに来ると
監察からの知らせが届いた。
手分けをして屯所を守るようにすること、
詳細は山南総長から聞くように、以上。」
山南総長が前に出て、
「とりあえず、けがのない者と元気な者を四名を、一組にして
三組で屯所の見回り、残りの六組は交代で屯所を見回る。
その時には槍を持って見回る事。
原田組長と島田伍長、中島伍長、前野伍長を最初の三組にするから、
残りは井上組長と谷組長が組み分けして当直と休むこと。」
粂部伍長が
「槍は使えませんが?」と聞くと
「相手は死に物狂いで突っ込んでくる、とりあえず槍で刺せば
君たちがけがをしないで済むだろう、わかったか?」
「攻めるのでなく守るのか、わかりました。」

自分は当直になり、道場で槍の稽古をする。

昼食、ご飯、味噌汁、漬物、梅干し
今の非常事態ではゆっくりご飯も食べれない。

午後は休息

夕食、ご飯、味噌汁、漬物、梅干し
夕食後すぐに見回りかと思ったら、
宵の五から明けの六まで、寝ないで見回りと言う
昼間、良く寝ておけばよかったと反省。
眠い目をこすりながら、提灯と槍を持って屯所の周りを見回る。

午前の見回りをする組と交代し、仮眠をとる。

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