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【マレーシアFW2022】多民族国家マレーシアを学ぶ

2022年8月28日から9月7日までマレーシアのペナン島で行われたフィールドワーク(FW)である。目的としては、多文化国家マレーシアを学ぶことであった。

マレーシアでの民族は主に3つあり、外務省によると、2020年時点でマレー系が69.6%、中国系が22.6%、インド系が6.8%、その他が1%である。
この主に3つに分かれた民族の文化を実際に五感で感じて、どのように共生しているのか学んだ

インド系の小学校にお邪魔した際は、ランチでカレーをふるまっていただき、右手でカレーを食べるという貴重な経験をすることができたり、マレー系の民族が暮らす村でホームステイをし、現地の生活を直に学んだ特に目玉のホームステイでは、ローカルな食べ物、ダンス、歌やマレーシアの伝統的な遊びなど、文化的なことを多く吸収することができた

サリー体験
バナナリーフに乗せられたカレーは伝統的な食べ方
バナナリーフに乗せられたカレーは伝統的な食べ方

また、漁村ではインタビューから他民族同士の対立を伺うこともできた。私たちが滞在したマレーシアのペナン州はマレーシアの中で唯一マレー系と中華系の人口比率がひっ迫する州である。また、州知事も中華系である(2022年当時)。インタビューで、州政府より立ち退きを迫られているマレー系漁村と、州政府に優遇されている中華系漁村が隣り合う場所を訪れた。

中華系の漁村から見える景色
マレー系の漁村で見た、抗議の声

中華系の漁村は発展しており、建物のしっかりしていたが、マレー系の漁村は中華系漁村よりも発展しておらず、立ち退きを求められているため抗議の声を上げている様子が村の中で見られた。異なる民族が共生する難しさを垣間見るインタビューとなった。

そして、ロヒンギャ難民の子供たちに会うのもこのFWでの1つの大きな目的であった。私たちはロヒンギャ難民の子供を保護するNGOの学校に訪問した。そこには、ミャンマーで迫害されることを恐れ逃げてきたロヒンギャの子供が通っていた。

マレーシアで学ぶロヒンギャの子供たち

子供たちはマレーシア生まれで、自分たちのバックグランドをあまり分かっていない。親が話したがらない方も多く、マレー人ではないのは分かるが、なぜ自分が違うのかわかっていない子供が多い。中には「マレー人になりたい!なんでマレー人になれないの?」と先生に尋ねる子供もいる。8歳、9歳の子供と交流したが、マレー語が少し通じ、英語は全く通じなかった。家庭ではロヒンギャの方が使う言葉で会話している家もあるとのことだった。この学校は、初等教育のみで、成績の良い子たちはインドネシアやオーストラリアといった難民を受け入れている国へ行けるようだが、成績の良い子供以外は政府が何もしない限りどうにもならない。マレーシアは多民族国家であるが、全民族うまく共生していると言えるのか、と問いかけられる調査もあった。

「マレーシアは多民族国家」、現地に行く前はただこの印象でしかなかったが、実際に訪れると、多民族国家なりの苦労や、現実は異なる民族が対立していることを学ぶ機会になった
(地球市民学科 4年 海老原里美)(2024年3月掲載)