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【フィールドワーク】素敵な人に出会い、愛情のこもったものを食べ、想いの詰まった話を聞く.

清泉女子大学・地球市民学科の14名の学生が、2人の教員が企画したフィールドワークに参加しました。「<旅して学ぶ>地球市民学科的『北アルプストラバースルート』をめぐる旅」と題したフィールドワークの目的は、街を自分の足で歩き、街をよりよいものにしようと奮闘している方々に出会い、現場の生の声を聞くことです。

フィールドワークの舞台は、上高地など日本有数の山岳リゾートエリアを挟み、岐阜県高山市と長野県松本市を結ぶルート「北アルプストラバースルート(中部山岳国立公園)」です。外国人観光客の注目を集まるこのエリアでは、環境省と観光庁が主体となり、山と街をつなぐ新たな観光文化づくりに取り組んでいます。地球市民学科の山本達也教授も参画しています。つまり、今回のフィールドワークは、教員みずから日々取り組んでいるソーシャルデザインの現場に学生を案内する旅です。

松本の街歩きに始まり、「飛騨の小京都」高山へ

2024年4月26日から3日間の旅。初日は松本の街をめぐりました。松本市役所の方から、まちづくりについてレクチャーを受け、松本城と松本市博物館を訪れました。地元の人たちに愛されるこだわりの食を楽しみ、ゲストハウス「tabi-shiro」に泊まりました。

松本在住の山本達也教授がオススメする絶品チーズバーガー

翌日は、午前中、松本に滞在したあと、午後は、高山へ。「飛騨の小京都」と呼ばれる古い街並みを思い思いに散策しました。

高山の古い街並みを歩く

人の想いの詰まった宿に泊まる

高山での宿泊場所は、キーパーソンのひとり、中村匠郎さんがつくったゲストハウス「cup of tea tea ensemble」です。

ゲストハウスには、地元・高山の木がふんだんに使われています。アップで写真を撮り忘れましたが、扉や家具などに使われている木は、市場に出回らない端材をひとつひとつ手で貼り合わせたものです。

ゲストハウス「cup of tea tea ensemble」

観光だけに頼るのではなく、木をベースにした持続可能なまちづくりをしたい。市議会議員も務める中村さんの思いが詰まった宿です。

中村匠郎さん

学生への愛情のこもった地元産食材のスペシャルディナー

夕食は、高山でご活躍のフリーランスのシェフ、河野美紗さんが地元の食材でスペシャルディナーをつくってくださいました。

河野美紗さん
メニューをひとつひとつ説明していただきました
いただきます
すべて飛騨・高山の食材です
生産者さんへの思いと敬意を感じる手書きメニュー

食事のあとは、河野さんのお話も伺いました。なぜ、高山でフリーランスのシェフをしているのか。国連で働こうと思っていた大学時代から、飛騨での就職、オランダへの旅を経て、食にこだわる仕事に至るまでのキャリアを聞かせていただきました。子ども向けの食育や外国人観光客向けに食のツアーガイドなどもされています。

食後は車座でお話を聞く会に

「北アルプストラバースルート」の立ち上げを手掛けた笠井大介さんも、大学時代の話に始まり、新聞社、広告会社、環境省を経て、観光事業者として独立するまでのキャリアとその思いを話してくださいました。

笠井さんのプレゼンに笑顔
記念写真のあとも、会話は続く、、、

翌日は、笠井さんの案内で、ちょっとディープな高山の街めぐりを楽しみました。

このあと、建物にはびっくりの仕掛けが
vlogを撮りながら
友達との時間を記録

学生から話を聞かせてくださったみなさんへのお礼メッセージです

「愛のこもったお料理とお話をありがとうございました!!特に大根のトマトパスタが美味しくて今でも味が忘れられません。また機会があれば、河野さんのご飯をお腹いっぱい食べたいです😳 私も未来について時々悩むことがありましたが、河野さんのお話を聞いてやはり生き方は自由でいいんだ、と改めて考えることができました。 本当にありがとうございました!」

「美味しい夜ご飯と、お話ありがとうございました。ご自身でも『まさか料理の仕事をするとは思わなかった』と仰っていたのが印象的でした。料理を作って終わりというのではなく、子供たちへの食育だったり料理を通じて地域の方々とつながりをもったりしていてとても魅力的なことを仕事にされていると感じました。私自身、将来のキャリアにとても不安を感じているのですが、今やっている1つ1つのことに意味があると信じてなんでも挑戦していこうと思えました

「貴重なお話ありがとうございました。自分の"好き"を仕事にしているのが本当にかっこいいです。そしてそれを仕事にするためにどんな状況でも自分から飛び込んでみたり、その行動力が素敵だと思いました。さらにそのお仕事が自分のためだけでなく地域の活性化に貢献しているのがよいです。高山で美紗さんの活動をもっと近くで見たいと思いました」

「親戚や周りに食べ物を育ててる人がほとんどいなかったから、生産者のことを意識して料理を食べたことがありませんでした。今回はたくさんの美味しい料理にそれぞれの生産者のことが書いてあるメニュー表を見てありがたみをいつもの何倍も感じました。また、オランダに行ったり飛騨に留まったりと自分の好きなように生きている姿がとてもかっこよくて私も自分の地元から一回離れた遠くで生活してみたいなと思いました。色んな生き方があって、それに正解はないってことを感じられて就活への重荷が少し軽減したようなな気がしました!!

「オランダでの生活やこれまでの河野さんの経歴のお話を聞いてとてもワクワクしました! 今現在私は将来何をしたいか、どんな仕事をしたらいいのか分からず焦る気持ちと不安な気持ちがありました。河野さんのお話を聞いて、自分が好きなことを極めて、楽しいを1番に、自分を1番に考えていいんだ!!と思うことができました。私自身、普段、なるようになる精神で生きているので、それに加えて自分に正直な気持ちと、やりたいことに向かって努力することを意識します!そして、お料理が本当に本当に美味しかったです!私は河野さんのお料理を1回しか食べていませんが、とても愛情がこもったお料理だなと思いました…🥰そしてお話の内容も話し方も愛に満ちいている方だなと思いました✨️高山に来てこのようなご縁があり、とても嬉しいです😌出会えたことに感謝です!また高山に行く機会がある際は是非会いたいです!ありがとうございました😌」

常に自分の思い描く未来を造り続けている河野さんのお話、お言葉一つ一つに感銘を受けました。 私自身プロジェクトが抽象的であることに悩んでいたのですが、河野さんが半径から近いところを幸せにしたいということで身近で目に見える場所での活動を行っていて、今の私のヒントがなったと感じました。私が河野さんのお話で印象に残っている『自分の感覚を信じてやってみる』を今後の学生生活に生かしていきたいと思います」

河野さんのお話の中で特に印象的だったのは、『食を通じて人と出会う』と言う言葉です。私もお菓子作りが好きで、高校時代よく友達にあげていました。学校に、自分が作ったお菓子を持っていくと、みんな欲しい欲しいと来てくれて、そのお菓子を通じて話したことのない子とも話せる機会になっていたことに、とても喜びを感じていました。食を通じて人と話したり、出会う機会になると言う面で同じ境遇を感じました。 いただいたご飯もとても美味しいだけでなく、その背景にもたくさんの出会いの物語があることを知って、より感謝の気持ちを持ってご飯を食べることができました。河野さんのお話しを聞けたことが私にとって、今回のフィールドワークに参加した価値があるものになりました。また高山にお邪魔したいのでその時はよろしくお願いします!」

「中村さんの宿に泊まらせていただきましたが、とてもリラックスして過ごすことができました。細かな所に中村さんの工夫が感じられて、前よりも木が身近な存在になりました☺️

今まで、いろんなところで“まちづくり”という言葉を聞いてきて、なんとなく分かった気でいたが、中村さんのお話で自分がまだまだ勉強不足だったことに気がつきました。経済と福祉・暮らしからなる前輪駆動車というのが図とともに説明されてとても分かりやすく、腑に落ちました。まちづくりや地域と人とのつながりに興味があるので、大学でそのような授業があったら取ってみようと思います」

「高山を変えるために議員になったなんて驚きましたし、行動力が本当にすごいです。お話を聞いて、自分のものにしたい言葉がたくさん出てきました。地域をさらに活性化させるために、長い期間考え抜いたことを教えてくださりありがとうございました。その活動を支えるお手伝いをさせていただける機会があればぜひやりたいです!」

「中村さんのスライドを用いたお話がとても面白くて、聞き入ってしまいました!高山に来て良かったなと思えることが多くありました。『あるものを生かす』という言葉を聞いた時、始めは頭に『?』が浮かびましたがお話を聞いていくうちに、納得する気持ちと新しい発見ができたというワクワクした気持ちになりました!私はまちづくりに関心がありましたが、イマイチ何が重要なことでどんな事を意識したらいいかなど今まで考えることができていませんでした。まちづくりとは、経済と福祉・暮らしからなる前輪駆動車である、という文字を見て、今までモヤモヤしていた事が少し理解出来たと思います…!難しい言葉もありましたが、私の中では全て今後に繋がる重要なキーワードだと思いました。短い時間ではありましたが、私にとってはとても刺激的で、自分の理想が広がった時間でした」

「観光度としての注目度が上がることで、地域住民の観光への関心度が下がってしまったり、それによってまちづくりへの関心度も下がるなど、高山の事例から常に高山を見ている中村さんだからこその観点が興味深いお話ばかりでした。『地域の光を磨き続けた結果がこれからの観光地となる』。高山さんの言葉を念頭に置き、プロジェクトでの学びを深めていきたいです」

今回は素敵なゲストハウスに泊めてくださってありがとうございました。 どこから撮っても綺麗でウッディーなテイストが私は大好きなので帰るのがとても嫌でした。 中村さんのお話を聞いてやってみたいことにはチャレンジしようと思いました。私は山や自然が大好きです。この自然が抱える問題をテーマにプロジェクトを行いたいと思っています。倒産寸前のゲレンデの利用方法など考えたり、雪が無くなってしまったときの課題点またメリットなどあぶりだして自分にとっても楽しんで行えるようなプロジェクトを行いたいと思いました」

中村さんのお話を聞いて、人生について考えさせられることがたくさんありました。 今の時代、一度ついた職業を必ずしも一生続けなくてもいいんだとお話を聞いて安心しました。人生何が起こるかわからないし、自分がやりたいことも変わるかもしれない。その中で、自分が思い立ったタイミングでたとえ、マイノリティ側であるかもしれないが、勇気を振り絞って踏み出してみることが大切なのだと気付かされました。私も、何かを決断するときに本当に今やるべきなのか迷ってしまう時がありますが、判断に迷ったときは、今やらなくていつやるのと自分に言い聞かせて行動しようと思います。 また、中村さんのお話で印象的だったのは、高山の観光事情のことです。『たくさんの観光客が高山に来る一方で、他県の会社のホテルに泊まり、高山とは関係ないところでお金を落としていては発展しないのでは?』という言葉が印象的で、今まで自分が考えたことがなかったことなので納得しました。これを聞いて、今後どのようにしたら外国人に地元にお金が残るように高山にお金を落としてもらえるか考えたいと思いました」

(笠井さんの)どんな無茶振りでも最後まで諦めずに仕事をされていた経験から、すごいなと思うと同時に『働くって大変だけど、やりがいがあって楽しそうだな』と感じました。まだ自分のキャリアをどのように設計していこうか悩み中だが、私も笠井さんのように誰かから信頼されて充実感を感じられる仕事をしたいなと強く思うようになりました。今まで広告の仕事はあまり調べてなかったのですが、少し興味がでてきたのでより深く調べてみようと思います。また、世界中を旅されていたこともほんとうに魅力的でランキングに入っていた国は全部行きたいなと思いました。とても楽しいお話ありがとうございました」

「笠井さんm貴重なお話をありがとうございました。高山のことをとても好きなことが伝わりました。もっと高山の魅力を感じたいのでまた高山に行って自然と人の温かさを感じたいです

社会人になると、いきなり自分の業務とは無関係な仕事も発生することに驚きました。それに適応できる笠井さんがとてつもなくシゴデキで率直にかっこいいなと思いました。また、新婚旅行のイメージはほんとに長くても1ヶ月海外とかが相場だと思っていたので1年間、2年間など大胆にいろんな国を回ってみるというアイディアに感銘を受けました。自分のやりたいことをやりたい時にやってみようかなと自信が少しつきました!」

「私自身、自然がとても好きで、自然から沢山のエネルギーをもらっているので、自然を生かした持続可能な地域の在り方について考えたいと思っていました。中部山岳国立公園のプロジェクトなど専門的な観点からお話を聞けて、自身のプロジェクトにも生かしていきたいと思いました。また、今回実際に現地に訪れ新たに学ぶことが多かったため、今後も松本高山の街を訪れ、自分の目で見て感じたことを行動に移していきたいです」

「オチのあるお話ばかりでとても面白かったです!努力する人をサポートすると仰っていて、私がいいなと思っていることのそのままだったのでとても気になりました。笠井さんのお話を聞いている最中からずっとアクティブでクリエイティブな方だなと感じました。そのクリエイティブさはどのように磨かれたのかとても気になりました

フィールドワークについての学生の感想です

その土地により深く溶け込んでみることで、観光客目線では得られないことが見えてくるのが楽しかった。それは今回、役所の方々や地域で活躍している方々から話を伺えたことが大きかったからだと思う。そこが「旅」の良さだと感じた。またどこかの「旅」があったら迷わず参加していろんなことを吸収したい」

「最初はただ長野に行きたい!という気持ちで参加したけど、この二泊三日の中でたくさんの方の考えに触れることができて自分の中で何かが大きく変わった気がします。自分の興味関心をさらに深める時間になりました。どんな角度からでもこのフィールドワークで学んだことを自分のプロジェクトとして進めていけたらいいと思います」

「松本や高山がとても綺麗な街並みだったので東京に帰りたくなくなったしこのようなところで住みたいと考えさせられたフィールドワークだった。私は中村さんのような、自分のことだけでなく周りのために動けるような方について行きたいんだなと思った

「今回、『松本に行ってみたい!』だけのノリで参加を決めましたが、本当に行って良かったなと心から思います。やはり、行って見ないと出会えなかった方々、食べ物や雰囲気を味わうことができ、卒業プロジェクトについて考えるきっかけになりました。また、今回の旅で自分が将来やりたいことが見えてきた気がします。滞在時間は短いですが、『また行きたい!』と感じさせられる魅力的な街でした」

「自分が今後何をしていくのか考えるにあたって、町づくりに関わっている人や地域コミュニティを作っている人の思い・バックグラウンドを聞くことの重要さを感じることができました

思い立ったら即行動!が本当に大切だなと思いました。地民は動いたら動いた分だけ先生方がサポートしてくれるから、積極的に動いたもん勝ちだと思います!山本先生や兼清先生の繋がりで知り合えた方のお話も面白いので、とてもいい経験になります!」

「高校生までの学びは、テストで高い点数を取るためがゴールだったので暗記的なものになってしまっていたと感じます。地球市民学科では机上だけではなく、現場での学びがある為、より実践的にまた自ら主体的に学びを深めることができると今回のFWで感じました

「一人で行く旅、友達と行く旅、両方魅力があるし楽しみ方も違ってくるけど、自分の中に落とし込むには、言葉に出さずに心で感じて頭で考える時間が必要だなと思いました

フィールドを持つ教員だからこそ用意できる学び

清泉女子大学地球市民学部は、教員みずから学外にフィールドを持ち、専門の知見を活かしながら、社会をよりよくするために、多くの方々と協働しています。その現場の生の活動を学生に共有することで、地球市民学部だけでしかできない学びを用意しています。

文・写真:兼清慎一(地球市民学科教員)