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ニートな気分 ver.1

You Only Live Once : YOLO!
YOLO! と言えば陽気な英語スラングです。「人生は一度きり」だから楽しまなくちゃね、そんな意味のコトバのようです。本作を読んで皆さんが自らの生き方を見つめ直し、社会のあり様を見つめ直すきっかけになれば何よりです。今回は「どう生きるか」をテーマに、SNSでうごめく方々の声を参考にしつつ現代に潜む課題を提起していこうと思います。

当事者以外には理解されない、そんな不条理な世界をどう描こうかと
しばし悩むうちにすっかり時間が経ってしまいました…
ムズカシイことは考えずにシッポフリフリしてた方が楽そうですね。


躺平タンピン主義」、これは現代中国の行き詰まった若者世代の声を代弁しつつも、深刻な社会問題を痛烈に皮肉った表現だ。日本語に訳したら「寝そべり主義」だが、かつてのバブル期以降の日本社会と同様の圧倒的な不況不景気の波に襲われた中国社会の現状を反映している。苦労して大学を卒業した挙げ句、新規の就職先もないまま路頭に迷う若者世代の苦悩と嘆きの産物である。そして「未来を諦め、体制に反発することもなく、ただ日々を寝て過ごす」ことで閉塞感漂う現代中国に抗いつつ生き抜く意思を表している。一党独裁かつ監視社会の中国においては声をあげても絶望を味わうだけで、受験戦争の日々を乗り越えた努力が報われない今、不況にあえぐ社会の絶望感を味わう彼らに残された手段は、ただもう静かに横たわるだけの日々を過ごすしかないのだ。いわばこれは若者世代が社会や政権に抵抗しうる精一杯の手段なのだろう。

信じられないようなオハナシですが、いまや日本を追い抜き世界GDP2位の地位を誇る中国でも、その足元では不動産バブルの崩壊とともに経済政策の破綻が徐々に進んでいるようです。今回参考にした記事に掲載された写真には、高価なマンション群が暗闇の中そっと浮かび上がる、コンクリートの残骸のような姿が描かれていました。「盛者必衰のことわり」日本では平家物語ですが、悠久の営みを続ける中国では寧ろ至極しごく当然のことかもしれませんね。

日本が経験した「失われた30年」は、時を超えなお繰り返されるようですね。
当時は日本でも大卒の新規採用枠がほとんどなく、深刻な就職難に襲われていました…

PC画面に映し出される文字列を、僕はいつものように読みふけっていた。「何をいまさら…」、僕の胸中にはそんな感覚が去来していた。「もう数十年も前にそんな目に合ってるんだ。」正直『同類相哀れむ』よりは『同族嫌悪』、そんな感覚が僕には自然に感じられた。

見慣れた部屋の景色、見慣れた壁の染み。聞きなれた子どもたちの登校する声、聞きなれた親たちの子どもを呼ぶ声。行きかう車のエンジン音や自転車の音も朝のひと時を奏でる自然の音楽のように聞こえる。交わることのない異世界の住人達。彼らの日々の営みはせわしなく、そして止むこともなく日々を重ねていくのだ。時の流れが永遠ならば、彼らの日常もまた永遠のようなものなのだろうか。そろそろひと眠りしようか、疲れた頭を休めようかと敷き放しの布団に寝転がってみる。弾力の奪われた、味気のない布団だ。木目の天井の模様はもう見飽きていて、ぼんやりと思考をやり過ごす以上に僕ができることはないようだ。ただただぼんやりと、ただひたすらに忙しない朝のひと時が過ぎるのを待つ。そして上る日差しを感じつつ、ひとり静かに眠るのだ。いつからだろう、こんな風に日々を過ごすようになったのは。そんな不安がふと頭をよぎる。当たり前の答えをかき消すように、僕は無理に目を閉じた。眠ろうが眠るまいがどうでも良い。何も変わらない、何も変わらない世界が辺りを占めていた。


(イラスト:ふうちゃんさんです。いつも本当にありがとうございます。)


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