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癒やしの間

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キズを癒やせたら良いなと思い書いた作品です
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多様性のない森で動物達はお互いを知る

穏やかな陽気が動物たちを森の広場に誘った。 厳しかった冬の寒さが和らぎ、若い芽吹は樹々のあちこちで春の訪れを祝っていた。 一番乗りは小鳥たち。いつもより賑やかで、春の訪れを祝いひとときも黙るつもりはないようだ。新緑の枝に並んだ色鮮やかに縁取られた羽毛は、午後の日差しを一層と輝かせた。 続いて野ネズミの親子がやってきた。でもしきりに辺りを見回して、心配そうだ。 「大丈夫、誰もいないよ。」 一羽の小鳥がそういうと、父ネズミは立ち上がり軽く頭を下げた。 「ありがとう。僕等にも小

ウサギたちの宴

ウサギ達には秘密の宴があった。 満月の夜更に他の動物たちに内緒で集まるのだ。 動物たちの住む森の向こう、小さな池のほとりには不思議な草が生えていた。満月の日に赤い実がなって、その実を口にするとウサギ達は気分が良くなった。 ウサギ達は集まって、この実を口にして盛り上がった。食べ過ぎると気分が悪くなる。先月も年頃の娘ウサギが無理に食べ過ぎて、意識がなくなった。それでもウサギ達はこの実の魅力に取り憑かれた。一つ食べれば気分がフワフワする。二つ食べれば嫌なコトも忘れられた。三つ食べ

昨日会ったヒト

昨日会ったヒトは、哀しい目をしていた 青い空が、悲しいと言った 夜の闇が、不安だと言った 毒親、貧困、悲惨な家庭 乱れたココロは 伝わるの 家族みんなで 壊れてく ヒトに馴染めず 居場所もないの 虐め、虐待、非行に搾取 僅かな希望は 削がれて消えた 自傷にクスリ 逃げ出す先に 救いも希望も 何も見えない 恋に依存し 傷つけ合って 孤独が私の お友だち 手首の傷は 生きてる証  私がココに いるシルシ 誰を好きでも 構わない 生まれる子どもは 大変なんだ 子どもは親を 

生きにくい片耳ウサギの物語

ヒトが言葉を覚え始めた頃 動物たちも言葉を詠んだ 動物たちの暮らす風変わりな村 ここは片耳ウサギの暮らす村 片耳ウサギは白毛を纏い 毎日なにか大変そうだ 仲間のウサギは草原で おしゃべり盛んに草を食む 片耳ウサギは隅っこで 悲しい目つきで空を眺めた 若い雄には付き合うが 心はどこか宙を舞う 時々自分に咬みついて 片耳ウサギは傷だらけ 父親ウサギはいじけてばかり 母親ウサギは怒って泣いた 悲しみ溢れた片耳ウサギ  飛び出しこの村住み着いた 慣れない笑顔、震える脚に

生きにくい彼女のこと

その昔、動物たちが暮らす森に雌の若いヤマアラシが住んでいた。 その娘は毛並みも良く美人と評判だったが、厄介な問題をひとつ抱えていた。 その年の冬はいつもより寒くて、近くの川も端が凍るほどだった。吹きすさぶ風の強さに動物たちも凍えて日々を過ごしていた。 余りの寒さに、森の真ん中にある大木の洞はタヌキやウサギに人気の集会場となった。互いにひしめき合って暖を取るのだ。 「あんまり押すなよ、はみ出るじゃないか」 「文句言うなよ。後から来たくせに」 ワイワイ、ガヤガヤ、枝に集まった小

生きにくい彼女の恋物語

その昔、動物たちが暮らす森に雌の若いヤマアラシが住んでいた。 その娘は毛並みも良く美人と評判だったが、厄介なトゲのせいで他の動物たちと仲良くできずにいた。 彼女は日々苦しんでいた。もともとは彼女が幼いこどもの頃からだ。 家族同士、お互いのトゲが刺すからスキンシップのない家庭で育った。互いに傷つけ合う歪んだ関係は普通の家庭にはなかった。やがて父親が他所にその幸せを求めた。母親も散々悩んだ挙げ句、家庭を見捨てて安らぐ先で落ちついた。一人残された彼女に残ったのは人気のない広い家と

ギフテッド、について

「神から与えられた特別な才能」を持ち合わせた人のことをいいます。「発達障害」のような医学用語ではありません。 類いまれな才能があるとされますが、知能指数(IQ)で測れるものでもないようです。今風に言えば「神様からチートアイテムをゲット」したでしょうか。 一方でその才能が故に子どもの頃から苦労することも多く、発達障害との見分けが難しいこともあるようです。 詳細は↓のこのnote内で見つけた児童精神の専門科宮尾先生の記事がとても参考になるので読んで頂ければと思います。 み

生きにくい僕 上手くいかない

生きにくい僕 今日を生きてる 生きにくい僕 上手くいかない 人混みは嫌いだ 誰のことも知らないから 知らない人が嫌いだ 上手くいかない 人に会うのは嫌いだ 手に汗かいてるんだ 人の群れが嫌いだ 上手くいかない 飢えたお腹抱え 背中丸めて歩くんだ 行き先なんて知らない 何も見えない 夜を闇が覆い 僕は一人祈る 明日を変えて欲しい 今を変えて欲しい 生きにくい僕 明日を生きてる 生きにくい僕 明日を変えたい (イラスト Riku Hydrangeaさん)

身勝手ワガママ思いやり、愛のカタチは十人十色

傷つけずには いられないキミ 右手に残る 傷痕見つめ 何か気分が スッキリするの えぐれたココロを 不器用に癒やす 傷つかないと いられないキミ もっと私を 愛して欲しい 甘えすがって 歪んだココロ お互い傷つけ お互い様 傷つくことが 怖いキミ 口にも出せず 諦め顔で 空想 妄想 怯えたココロ 夜に枕を 一人濡らした 傷つけるのが 怖いキミ 終わりにしよう、と黙り込む 万策尽きた 疲れたココロ 互いに離れ 傷つかぬよう   愛にカタチが あるのなら きっとイビツで 

傷だらけのキミに伝えたい

少しの記事だけ 知ってるキミは 名前も顔も 分からないけど  助けて欲しい 言ってたキミに 届きますよう 願いをこめて 例えば、彼らは シカの群れ ついて行ったら 疲れてしまう 無理をしてたら 疲れてしまう  足はフラフラ 心はボロボロ 疲れちゃったら 休みなよ 自分のペースで 良いんだよ 人と比べて 悲しくなるより 自分を好きに なれたらいいね 自分を大事に できないと 大事なものを 大事にできない 心に余裕が ないからね 自分のことで いっぱいいっぱい キミはその