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お前が美味しいって忘れてたよ

お盆に母と父が実家に帰った。
僕はカレンダー通りに仕事があるので着いて行かなかった。

姉も同様に仕事があるため行かなかった。
姉も一緒に行ってくれれば、僕は家に1人であり、
ホームアローン気分を味わえてたのに残念である。
ここ数日は姉と一緒に過ごしている。

でも、姉は土日はいつもどこかしら出掛けいる。
だから、基本的には日中は1人だ。
食事も全部ひとりきりだ。

食費として母が1万円を置いてくれていた。
それを姉と5000円ずつ分けて、
各々好きなものを食べようという話になった。

5000円あると言っても、
毎日外食なんかしていたらすぐに無くなってしまう。

なるべく家にあるものだけで安く済ませよう、
そう考えるけど、僕は料理なんてまるでできやしない。
僕は茹でるか、レンジでチンするかしか能力がない。

冷蔵庫を見ると冷凍食品はいっぱいあった。
水で解凍するだけのそばがあったので、
お昼はそのそばを食べることが多かった。

このそばはめんどくさがりにピッタリの商品である。
解凍するだけで茹でたてみたいな仕上がりになるから僕は凄く気に入っている。
味もコンビニのそばなんかより全然美味しい。

そのおそばは2日連続で食べたのですぐに無くなった。
仕方なく3日目の昼はパスタを茹でた。

パスタを茹でるのは得意である。
パスタの袋から100gピッタリに掴むことが出来るくらい、
僕は中学生の頃からパスタを作るのには慣れていた。

混ぜるだけのボロネーゼソースをかけて、
インスタントの卵スープを作る。
それを机に並べたら簡単にイタリアンレストランになる。

今は手間も時間もかけずに、
こんな美味しいものを食べれるなんて幸せだなと思った。

こうして昼ごはんはお金をかけずに
家にあるもので食べることが多かった。

けれども、せっかく5000円もある事だし、
夜ごはんはちょっと贅沢をしてみたりした。

贅沢と言っても、近所のラーメン屋に行く程度だけど。

そこは僕の大好きな豚骨ラーメンの店。
父は脂の多いラーメンは食べたくないというので、
家族と外食で行くことはほとんどない。

こういう両親がいない時に食べるのが、
僕の至福の楽しみであった。

大桜オススメです。

帰りにはアイスとジュースを買い、ひとり飯を満喫した。
両親不在の食事を凄く楽しんでいる。
でも、何か物足りない。

昨日からずっと美味しいものを食べているのに、何か足りない気がする。

そして、気付いた。
自分が麵類ばっか食べていることに!!

足りないのは米だ!米が猛烈に食いたい!!!
心の底からそう思った。

日本人はやっぱ米が食べたくなるように体が出来ている。
普段毎日食べているお米が食べられなくなっただけで、
こんなにも米が恋しくなる。

米を食べたいと思ったけれど、
僕はお米の炊き方すら分からない阿呆である。
普段母にどれだけ頼っていたのか、自分のことを恥じた。

どうしようかと思っていたら、
姉が今日の夜は家にいるから私がご飯を作ると言い出した。
姉もどうやらお米を食べたくなったらしい。

お米を炊いてくれるのはありがたいけれど、
僕は姉が料理を作っているのを見たことがない。
よく母に「少しくらいは手伝いなさい!」と怒れてばかりだ。

そんな姉が作る料理には不安があったが、
姉が冷凍のハンバーグがあるから大丈夫と言った。

ここにも冷凍食品。
この世に冷凍食品があって本当に良かった。
もしなかったら姉弟もろとも死んでいるだろう。

姉はハンバーグの他に
スクランブルエッグとみそ汁も作ってくれた。

僕は3日ぶりにお米を食べれた。

「やっぱりお米って美味しいな」
馬鹿みたいな感想だけど本当にそう思った。

姉が作ったみそ汁も悪くなかった。
意外と料理が出来るじゃんと関心したものだ。

けれども、声に出して「美味しい」というのは
照れくさかったから僕は黙って食べていた。
姉が「どう?」と聞いてきたので、
「悪くないよ」とだけ答えた。

姉は明日も料理をすると言っていた。
僕は明日は会社の近くの味噌ラーメンに行こうと思っていた。
(どんだけラーメン食うんだよ)

けれども、姉が妙に張り切っているから
明日も家で食べることにした。

何を作るかは聞いていない。
我が家に冷凍食品のストックも無くなってきている。
何を作るのか心配だが、
明日もお米が食べられるのは嬉しい。

明日はちゃんと美味しかったら、
「美味しい」と言葉にしようと思った。



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