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ほとんどやる気はないよ、と細野さんは言った

先日、星野源さんのオールナイトニッポンに細野晴臣さんがゲストで出演されていたのだけど、リスナーからの質問に答えるお2人の会話がめちゃめちゃよかったので書き残しておきたい。


Q:長年創作活動を続けていらっしゃる細野さんは、どのようにして仕事に対してのモチベーションを維持してるのでしょうか?

(細):モチベーションね(笑)モチベーションて言葉使ったことないんだよね、使ったことないんじゃないかな。なんかね、前ブロス(雑誌)で話したねこの話、なんか遊んで見えるんだよね、はたから見ると。

(星):創作活動みたいな仕事をしている時には、インプットも必要だし、自分の中から(アイデアや曲が)出てくるまで結構よめなかったりするから、映画とか見てると何遊んでんだよ!って言われちゃうんですよね。

(細):モチベーション無いわけじゃない。やっぱり、貯めてるんだよね。そうやってね。モチベーションって何?

(星):何ですかね?やる気みたいなものなんですかね?やる気ない時だってありますよね。

(細):ほとんどやる気はないよ。今、ソロの準備してて、もうとっくに締め切りは終わってるんだけど、はずしてもらっちゃったのね、締め切りを。そしたら何にもやんないんだよね。

(星):爆笑。そうなんですよ。(中略)しめきりを外すと、やらなくなっちゃうんですよね。しめきりは必要ですよね。

(細):絶対必要だね。それがないと作んない。

(星):モチベーションも大事かもしれないけど、やっぱ締め切りが大事かもしれないですね。

Q:これからの目標はありますか?

目標は無いんだよね~という話を2人でした後、

(細):僕はよく登山に例えるんだけど、山登りみたいなもんじゃない、目標ってね。例えば、YMOっていうのも、一つの低い山だけど、登って尾根を歩いてて、今何かって言うと、下山してるんだよね。山降りてんの今、すると登ってくる若い人がいて・・・

(星):そこで交差するんですね・・・

(細):で、立ち話なんかしてね、おにぎり食べたり、ていうような気持ちだね、今僕は。

(星):みんな無意識に登り続けるとか、高みを目指し続けるっていうことがすごくよいことだと思わされていると思うんですよ。

(細):そういう時代だったね、20世紀。

(星):経済も含めて成長し続けることが。でも下山することって超大事じゃないですか。上に居続けるって、上に居続けたら死んじゃうから。下がっていくっていうのがおもしろくて、すごく良いことなんだっていうのをちゃんとみんな言ってった方がいいんじゃないかなと思ってるんですよ。

(細):だって、登ったら降りなきゃいけないの。坂道ってそうじゃない?この坂いやだなあ、帰り登んなきゃいけないとか。あと、下る方が、足を使って疲れるからね。

(星):だから、そこの下るというのが、ただの終わりとかウイニングランみたいなことじゃなくて、またそこの下りがいみたいなものがあるんだと思うんですよ。やりがいみたいな。細野さんの活動の仕方を見てると僕的には降りてるっていう風にはあまり見えないんですけど、自分のおもしろいものをまた探しているように見える・・。

(細):確かに探してるんだよね。

(星):山から土管みたいなのに入って、また別の山の上に出るみたいな。それこそ地平線がどんどん変わっていき続けているような。

(細):この年になってはじめてね(76歳)、自分が今変わってきたなって思うんだよね。もちろん、若い頃もいろんな変化はあって、うまく言葉にできないんだけど、根本的な気持ちの在り方が今変わってるんだよね。それって長く生きてないとわかんない。こういう時期がくるんだなっていうのが、はじめて分かるんだよね。未知の世界っていうか、これからどうするんだろっていう。

(星):未知の世界って楽しいですよね。

(細):そうなんだよ、そういうのが好きなんだよね。

細野さんの「やる気なんてないよ。」という言葉に救われました!というお便りも届いていた。漫画家さんからのお便りだった。モチベーションに関する本もたくさん出てるけど、大事なのは締め切りじゃない?という単純明快なアンサーがよかった。そうか、モチベーションは、締め切りによって湧き上がるのか。

目標のお話、特に下りがいについては日本政府にも聞いてほしい、いや、全世界かも。成長ではなく、どう山から下るかという話。経済という山の頂上を目指すのではなく、福祉とか、教育とかいろんな山があるから。

そして私たち自身も、山の頂上を目指さなくていい。低山のハイキングでも、山の中に入って山菜採るだけでも、何なら海へ行って潜ってもいいんだと思う。山を下りている途中に、登ってきている人たちと立ち話をしておにぎりを食べてるっていう細野さんの例えもとってもよかった。

上へ上へと行くことが正義だと考えると、なんか今、階段の踊り場みたいなとこにいるな~と感じてしまう時もあるけど、上昇正義から一旦離れて、自分だけの山の楽しみ方みたいなものを見つけたい。

他にも、音楽とビジネスの話もおもしろかったので、ぜひ聞いてみてください!2人の声が心地よくて、すぐ寝ちゃうかもしれませんが・・・(笑)

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