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みなさんの声は通りますか?

昨日、久しぶりに地元の高校野球春季県大会を観戦に球場まで行ってきた。
天気も大変よく、GWということもあってもかなりの観客数だった。

なんとなく一塁側のスタンドに座って観戦していたのだが、一塁側のチームにとっては終始劣勢で試合が進んでいた。

6回にようやく1点差まで詰め寄るも続く7回の相手チームの攻撃ではノーアウトながら満塁の大ピンチとなった。

すると、スタンドの2階席の方から「がんばれ!!松田(一塁側チームの投手の名前)!!お願いします!!」と中年男性のものすごく心地いい声が響き渡った。

周りの人は皆、2階席の方を見上げて声の主を確認しようとしていた。

わたしは、”頑張れ松田お願いします”って変な日本語だなーと思いながらその様子を観察していた。

すると、スタンド2階席の方から「がんばれ!松田!がんばれ松田!お願いしますー!!」と、例の男性の心地よい声がまたしても球場に響いた。

すると、一塁側の応援団の団長らしき人が急に立ち上がって、応援団にプラカードのようなものを見せながら目くばせを始めた。そこには、「がんばれ!松田!」と書いてある。この時、男性が言っていた言葉の意味がようやく理解できた。

次の瞬間、応援団が声を合わせて「がんばれ、がんばれ、松田!」「がんばれ、がんばれ、松田!」と投手の応援を始めた。

その声は自然に一塁側のスタンドの観客全体へ伝播し、最終的にはバックネットあたりまで連鎖していた。球場にはがんばれ松田コールが鳴り響いた。

ひとりの中年男性の一言が球場全体のムーブメントへと広がった小さな軌跡を経験した。

球場で野球観戦をしていると、自分のことを棚に上げて「へたくそ」「監督やめちまえ」「気合い入れて打て」「しっかり応援しろ」とか本当に心無いヤジを耳にして嫌な気持ちになることが多いが、この中年男性の声はそうしたヤジとは違い、選手の気持ちに寄り添いみんなで応援をしたいという優しさや思いやりが感じられた。とにかく聞いていてとても心地がいいのである。

不思議とこういうことは、発する人の声質や声のトーンからも自然と感じられる気がする。言葉を発する人の心の姿勢がにじみ出てしまうのだとだと思う。

こういう人を本当の意味で”声の通る人”というのだろう。

声の通る人の発する内容は相手の気持ちに寄り添っているので共感を呼ぶ。

だから、聞いた人の心に響き、最終的にその人の心を揺さぶる。

球場で体感したムーブメントはその結果として起った現象だったのだろう。

みなさんの学校や会社などあらゆる組織にも、声の通る人と言われている人がいるかもしれない。

ただ、それは、ただ単に声が大きかったり、役職や年齢が高かったり、パワハラ気質があったりとか、そういう理由で言われていることも多いのではないだろうか。

本当に声の通る人というのは、球場にいた中年男性のように、周りの人の気持ちを揺さぶるような発言をする人であり、そのためには正しい心の姿勢で正しい言葉を発することが大切だと思う。

決して、権力やポジションにあぐらをかいて力任せに言葉を発してはいけないのである。

どうでしょうか、みなさんの声は通りますか。

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