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ミュージカル:《レ・ミゼラブル》Gärtnerplatztheater 03.05.24

5月3日、ミュンヘンのゲルトナープラッツテアターでミュージカル《レ・ミゼラブル》を観ました。これはスイスのザンクト・ガレン劇場との共同制作で、プレミエは今年3月22日、観た日は11回目の公演でしたが、満員売り切れ。

今回が《レ・ミゼラブル》のミュンヘン初演でした。
ゲルトナープラッツテアターの現インテンダント、ケプリンガーが2010年、インテンダントとしての契約を結んだ時に《レ・ミゼラブル》を上演計画リストのトップに挙げていました。
《レ・ミゼラブル》の世界初演は1980年パリ。それからミュンヘンでの初演まで43年かかった理由はライセンスの問題です。
上演権を持っているマッキントッシュは2010年代、まず映画、そしてロンドンでの新制作を最優先に挙げており、他での上演は難しかったのです。
しかし2021年、急にこれを国の枠を超えた上演の許可がおり、今回のスイス、ザンクト・ガレン劇場との共同新制作上演が可能になりました。
演出はもちろん、ケプリンガー。

プログラム。

オーケストラ・ピット

天井桟敷までいっぱい。

《レ・ミゼラブル》について、ストーリーの説明は不要でしょう。

私自身は《あゝ無情》として子供の時に『少年少女世界名作文学全集』で読んだのが最初です。
子供の時、題名の『あゝ』の『ゝ』が何か、わからなかった。
ジャン・バルジャンが銀の燭台を盗む、『銀の燭台』が何か、わからなかった。
そしてジャン・ルジャンという名前はすぐ覚えたけれど、ジャン・バル・ジャンと思っており、ジャン・ァルジャンとは思わず・・・

大人になってヴィクトール・ユーゴーの小説を読んで、やっとどんな作品だったのかわかりました。

ちなみにユーゴーと並んで、アレクサンドル・デュマ(父)は子供の頃に読んだことがあって、馴染み深いと思います。
しかし、大人になってから読むと、発見があったり、また違う面白さがあります。
《巌窟王》って《モンテ・クリスト伯》だったし。
《三銃士》では、我がヒーロー、ダルタニャンが三銃士の一人ではなかったと知った時のショックは大きく・・・
デュマの作品の中では《王妃の首飾り》が大好きでした。

そういえば映画《仮面の男》は、ルイ14世(フィリップ)役レオナルド・ディカプリオ、三銃士のアトス役ジョン・マルコヴィッチ、アラミス役ジェレミー・アイアンズ、ポルトス役ジェラール・ドパルデュー、ダルタニャン役ガブリエル・バーンと、なんとも豪華なキャスティングのエンターテインメントでしたね。

また、息子(小デュマ)は自身の体験をもとに《椿姫》を書いています。
ヴェルディのオペラ《ラ・トラヴィアータ》(日本では《椿姫》とよんでいますが、正式名は《ラ・トラヴィアータ》、道を外した女、という意味)ではジェルモンに大デュマを重ねたり。

話がそれましたが、今回の《ラ・ミゼラブル》、とても面白く、上演のレベルがとても高いと思います。

その理由にはオペラ・アンサンブルによる上演ということが大きい。

ゲルトナープラッツテアターはドイツのAクラスのオペラ・アンサンブルです。
あのノイシュヴァンシュタイン城を建設させたルートヴィヒ2世が「市民のために」という意図でつくらせた劇場で、オペラ、オペレッタ、バレエ、ミュージカル、シンフォニー・コンサートなど、多彩なプログラムを組んでいます。

ミュージカルでは、音楽的水準の低い公演に当たることがあり、それは特にオーケストラのレベルの低さが理由であることが多いのですが、この劇場はそれがない。
それは合唱、バレエ、ダンスも同じです。

さらに、よくあるミュージカル劇場と違い、オペラ劇場は複雑で高度な劇場設備と技術を持っているので、優秀な演出家と美術担当がいると、それを駆使することができるのです。

歌手は劇場所属(アンサンブル)の歌手が多く、オペラ歌手が多い。
たとえば、今回のジャン・ヴァルジャン役は《アイーダ》のラダメス役、ジャヴェール役は《魔笛》のパパゲーノ役や《コジ・ファン・トゥッテ》のグリエルモ役です。
オペラとミュージカルの歌唱は違うとはいえ、声楽を長い間学んだ歌手の歌は基本がしっかりしており、聴いていて不安がなく気持ちがいい。
子役は同劇場子供合唱団やテルツ合唱団のメンバーだったりで、巧いんです。

というわけで、以下に劇場提供の写真を掲載します。Copyrightはそれぞれの写真につけました。

写真ではわかりませんが、周り舞台をうまく使い、それに応じて照明も大変うまく機能していました。

上記のFOTO:(c)Kishi

© Ludwig Olah
左はジャヴェール、一番右はジャン・ヴァルジャン
© Edyta Dufaj
モントルイユの場面
© Markus Tordik
中央は解雇されるファンティーヌ
© Ludwig Olah
死の床のファンティーヌとジャン・ヴァルジャン
© Ludwig Olah
コゼットとジャン・ヴァルジャン
© Ludwig Olah
中央はコゼット、左上にマリウス
© Markus Tordik
コゼットとマリウスの出会い
© Markus Tordik
エポニーヌとマリウス
© Ludwig Olah
© Markus Tordik
© Markus Tordik
マリウスとジャン・ヴァルジャン
© Ludwig Olah
© Markus Tordik
テナルディエ夫妻
© Markus Tordik
マリウスとコゼット


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