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【味噌作り報告】味噌を中心に、皆で持ち寄り囲む”食卓”づくりをはじめていきます

新年明けて少し経つと、味噌を仕込むワークショップがさまざまな場所で開かれます。もちろん、味噌の作り方を知らない人もいますが、毎年同じ場所で習う方々も多いようです。やり方をマスターすれば、自分で材料を買って作れば良いのでは!?と思っていた私ですが、今回ワークショップを開催してみてすごく良くわかりました。味噌作りは、誰とどんな手法で行うか、自分の居場所を決めるような、信じる教えを決めるような行為だったんです。

味噌は発酵食品のため、数ヶ月〜数年の熟成を経ます。人の手や、置いておく場所によって同じ素材でも味が変わってくるとも言われています。また、大豆と麹を合わせたものを容器に詰めていく際、なるべくたくさんの人の手が入った方が良いとか。子どもや、若い手が合わさるとますます元気な味噌ができるとも。もはや迷信レベルです。

今回のワークショップ受講者は5名。豆を煮ながら自己紹介をし、豆を潰す作業では汗を流し合い、お昼ご飯は同じ釜の飯を食べ、味噌団子を詰める頃にはすっかり同じ村人意識が芽生えていました。手を動かす作業中は、近況を伝え合い、他愛のない話題とはこういうことだという話で盛り上がり、味噌玉を詰め合い、味噌開きの際にまた会いましょうと各々帰っていきました。初対面でありながら、一緒に手仕事をした後は、同じ村の住人のような距離感が生まれました。今の暮らしではなかなか得られない感覚、トチの実拾いの山開きを知らせるような、大根を玄関に置いておくような、あたたかい暗黙の了解を共有できました。これぞ、村人の連帯感。あぁ、この村に所属してよかったなんて安心感も生まれた味噌作りでした。

味噌開きは11月。それまでは各家庭でぬくぬくと熟成されます。

企画:小島弓子(フードディレクター)
協力:のわ
写真:小島邦康(Artical.inc)
プロジェクト:味噌のわ

豆を柔らかく煮れたら失敗なしとのこと。途中出てくるモコモコの泡はサポニンと言って、弾力性がすごく自然界の洗剤とも。煮汁は甘く、味わったことのない濃厚さと淡白さの間くらい。
講師の谷さん。切り干し大根を鯖缶で戻し、生姜やセロリの葉、梅酢のつもりで持ってきたらワインだったのとか、そこらにあったものを合わせたら味わい深い食べたことない美味しさの一品に。
村人たちが1人一品持ち寄った素材を入れた闇鍋味噌汁(あおさ、セロリ、里芋、ねぎ、ふ、さつまいもなどは粘り強し。沖縄のアンダースー(豚肉味噌とさつまいも潰したの)、切り干し大根を水戻ししてないのに歯応えちょうどいいやみつきサラダ。も
もはや古書レベルの谷さん愛読書。かまぼこ、ちくわ、こんにゃく、醤油や酢も素人では手に負えないと思っていたものがいとも鮮やかに形になると書いてあるけどそこはやや半信半疑。でも、簡単とは書いてないからその通りかも。もともと暮らしの中から生まれたものに違いない。
塩ふりをした上に酒粕を置くのが谷流。わさびを置いたり、焼酎を振りかけたり、さまざまなやり方がありますが、酒粕は最後魚を漬けてねと。おかず一品できますね。


(谷陽子さん/味噌師匠)
味噌作りワークショップを開催するにあたり、名古屋市にてオーガニックカフェ空色勾玉を営んでいた元店主の谷さんを招きました。「食べることは生きること。」「素材にこだわれば、料理法はいい塩梅でなんとかなる。」という谷さんの料理活動を通じて私は何度も元気をいただきました。

(パルル/場所)
人のつながりを通して新しい暮らしを考える「のわ」が運営するコミュニティスペース「パルル」。昔からライブやイベントを通じて親しまれてきた場所が、都会で憩える公園のような役割をコンセプトにシェアスペースとしてリニューアルされました。

(参加者)
新栄のわ店主Sさん&スタッフYさん、共にベトナム旅行をしたライターMさん、3人の子供を育てる生粋の名古屋人Tさん、カメラ担当クニマス氏。


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