旅のおわりに
2023年8月14日午前8時40分。
イスタンブールのカフェで朝ごはんを待っている。
私の海外ひとり旅も、もう終わりを迎える。
まだ綺麗にまとめて言語化することはできないけど、確実に何かが私の中に積み重なっている。
いまのことばをどこかに残しておきたいなと思ったので、まとまらないまま、言葉を降り積もらせてみようと思う。
と思ったら猫に襲われたりパスポート忘れてダッシュで引き返したりとどたばたで、今はもう空の上。
さあ気を取り直して。
夢が叶った
今1番感じているのが、諦めなくてよかったなあ、てこと。
前回の東南アジア旅を終えた時、私は精神的に相当疲弊していた。
もう、海外ひとり旅なんて懲り懲りだと思った。
少なくともボランティアとかホームステイとかが苦手なことはわかってて、
でもだからといって消費するだけの観光もしたくなくて、
それならいっそ国内で何かに参加した方が楽しいんじゃないか?
いやでもやっぱりせっかくならボランティアしなくともヨーロッパ行ってみたい。
いやでもやっぱり怖い。
いやでも…
て延々とぐるぐるしていた。
でもどうやら私は、どうしても諦めたくなかったらしい。
世界を観ることを、その手段としてのボランティアやホームステイを、苦手だからという理由で。
あとになってようやく自覚したけど、きっとそれは、私にとって本当にやってみたい、とてもとても大事なことだった。
それから、ヨーロッパに行ってみたいな〜というなんとなくの想い。
それはきっと、夢に近いものだった。
海外行ってみたいって、昔から漠然と思っていた。そのときに想像していたのはおそらく欧州だった。
小さい頃から好きな物語は西洋のファンタジーだった。
大学で、短期留学の行き先が東南アジアばかりでがっかりした。
きっとずっと私は、ヨーロッパに行ってみたかった。
ああ、好きだったんだ。夢が叶ってるんだ。ヨーロッパの何に惹かれてるのか、ヨーロッパのどこに行きたいのかはわからなかったけど、ヨーロッパに行きたいという気持ちを、叶えてあげることができた。
文化の行き来
なんとなくヨーロッパっぽいと思っていたものの解像度が上がってく。モッツァレラもパスタもピザもイタリア。ソーセージとバームクーヘンはドイツ。自分の知っているものに、"洋風"ではなく国ごとにイメージがついていく。
世界が、横に広がった感覚だ。ここ数年、生産消費廃棄のつながりを意識してきた。旅するようになって、その土地の地形自然環境文化の積み重なりが気になるようになった。今回のヨーロッパ旅では、文化の行き来をとても感じている。ただ行き来を感じているというよか、これも自分の生活・世界を構成しているものに気がついた気分。私の好きなコーヒーは、カフェは、チーズは、パンは、どこから来たものなのか。
イタリアやドイツや世界の文化が、日本に流れ着いて、日本の文化として本場とは異なる形で醸成されている。
昔ながらの洋食屋さんや喫茶店とか、赤いポストとか、もう既に日本の文化だと思ってるのだけど、そうやって世界の文化は交わっていくのか。
私から観える世界に、奥行きができた。
何をも知ることができない
イタリアに2週間、ドイツに5日間滞在した。
何ひとつ、その国や地域のことを理解できるわけでもなかった。
それでも、触れたもの全てはリアルだった。
知ろうとすることをやめないまま、でも絶対にほんの一部しか知ることはできなくて、さらさらと取りこぼしていくことを自覚しながら、どうやって生きていくのか。
本当に、何もわからないことがよくわかる。
海外への関心
今まで、海外と関わることに意欲的ではなかった。
でもなんとなくずっと、関わりたいと思いたかった。
私の周りの仲が良い友達たちは留学に行きがちなので、それもあるかも。
それが、ようやく少し興味を持てるようになったかもしれない。海外は怖いものとしてインプットされてたのが、溶けてきた。苦手意識のある英語でコミュニケーションをとることはまだ嫌だけど、それでも楽しいと思えた原体験ができた。
英語のもつ力は、すごかった。
こんなにも英語に安心する日々が来るとは思っていなかった。
ようやく英語を道具として使うようになった。
インバウンド興味ないわーとか思ってたけれども、ああ、英語表記をつけること、外国人を想定したデザインは、バリアフリーなんだ。
旅のこと
旅というものについて、これまでになくたくさん考えた。
旅行行こうって思うとその土地のこと必然的に知ろうとする。
そのきっかけになる旅って、すごい。
旅は好きだ。でも旅ができるのは、とてつもない特権階級。旅に関わる仕事をしようとすると、なおさら届けることができるのはその付加価値を支払える富裕層だけで。
有名観光地は、有名たる理由がある。そらそうなんだけど。
旅に出ると、自分でなんでもできることと、ひとりじゃ何もできないことがわかる。
好きになるのに、好きと自覚するのに時間がかかるから、こうして直接触れるのが1番好きになれる。
愛し、愛されるために、旅人であり続けること。
旅をしたいとか旅を好きだとかそういうことではなく、旅をやめられない。旅せずにはいられない。
心動かされた瞬間たち
ふと思い出すわたしのやりたいこと
うずうずうず。何か表現できる活動をしたい。あらわしたい。創造したい。世界と関わりたい。社会と影響し合う関係性でいたい。
ふと思い出したこと。やさしい革命を、起こすんだ私は。つながりに自覚的になるしあわせを滲ませること。どれだけわたしがしあわせに生きるかを追求すること。
大事なことばを思い出すこと。
ほとんど日記の抜粋を並べたからか、なんだかいつも以上に言葉がまとまらなかった。
でもなによりかにより、壊れることなくひとりで旅を十全に楽しめていることが本当に心の底から嬉しいのです。
ああ、私の残りの人生で、名残惜しいと思える瞬間にあとどれだけ出会えるのだろうか。
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