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創るひとを眺めているのが好き。 ここでは、日記・考えごとの類や、作品の紹介・感想文などを綴っています。 Bluesky:https://bsky.app/profile/vchigiv.bsky.social

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  • 読書・映画鑑賞記録(2024)

    読んだ本や観た映画の感想。Twitterに載せたもののまとめです。

  • 読書・映画鑑賞記録(2023)

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  • ◇日記(-2020)

    日記のほか、考えごとを綴ったりしています。2日に1回くらいのペースで更新中。

  • ★作品紹介・感想(-2020)

    読んだ小説や観た作品などの紹介・感想文です。

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    むかし書いたものをここへ格納しています

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◇「創るひと」

創るひとを、眺めているのが好きです。 わたしは「クリエイター」よりも「創るひと」という表現を好むのですが、おそらく前者には職業的な意味合いを強く感じてしまうから。それを否定的に見ているのではありません。後者のほうが、自分にとってはより適切だというだけなんです。 わたしが言う「創るひと」には、もちろん職業としているひとたちも当てはまります。でもそれだけではない。まだプロを目指している身だというひとも、同人活動として行っているひとも、趣味の範囲だというひとも、何もかもひっくるめ

    • 映画『告白 コンフェッション』(6/1鑑賞)

      天候以上に荒れ狂う両者の関係、攻防に呑まれた。 雪山で遭難した親友二人。負傷し死を覚悟したジヨンは、16年前の山岳部で起きた事故が自らの殺人だったと浅井に告白。だが山小屋へ避難できた彼らは、気まずい一夜を過ごすことに。 最初は静謐な緊迫感が流れるんですよ。殺人の“告白”を聞いてしまった/言ってしまったことで、今まで通りには振る舞えない。 片方だけが重い秘密を知るアンバランスさ。しかし浅井は差し出す秘密がないと言う。 やがて膨らんでいく疑念。感じる命の危機。 ついに生き残り

      • 同人誌紹介:睦月ネロ『カラフルな日々』(5/23読了)

        睦月ネロさん(https://note.com/mutukinero/)の短編集『カラフルな日々』読み終わりました。#文学フリマ東京38 の新刊です。 夫の遺品、母に押し付けられる服、忙しさに片付けもままならない部屋、実家の押し入れ。 短編それぞれの主人公が向き合うのはそうした物の詰まった場所であり、それらと結びつく想いや相手、記憶や関係なんです。 胸のわだかまりや人間関係のこじれを抱えて、思い悩む主人公たち。彼らの前にふと現れるのが赤や緑、白、黄色といった、ひときわ目を

        • 映画『ミッシング』(5/18鑑賞)

          あまりに心を抉られる。 6歳の少女が失踪した。捜し続ける両親へは誹謗中傷や悪戯が相次ぎ、叔父は疑いの目や嘲笑に晒され、取材を続ける記者はテレビ局の方針や報道のあり方に苦悩を滲ませる。映し出される彼らの感触、凄まじさが胸を刺す。 まず、石原さとみさんが凄いんですよ。母親役の。 娘の所在が分からぬ不安や喪失感はもちろん大きい。加えて、娘を預け出掛けた己や最後に一緒にいた自分の弟を責め、平静に見える夫を詰り、苛立つのに誹謗中傷を無視できない。手を尽くさねばと焦り、僅かな希望に縋っ

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        ◇「創るひと」

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        記事

          映画『ありふれた教室』(5/17鑑賞)

          場所はドイツ。舞台は学校。しかし無関係でも無関心でもいられない光景が広がっていた。 校内で相次ぐ盗難事件に手を焼く教師たち。若手のカーラは独自にカメラを仕掛け犯人らしき人物を挙げるが、その対応を巡り反発や混沌が巻き起こる。 学校が掲げるのは『不寛容方式』と呼ばれ、問題を徹底的に調べ対処すること。正しさを追求しているように見えて、当初疑われたのが生徒だけだったり、カーラが囮を用いた盗撮でブラウスの柄のみを理由に犯人を挙げたりと、首を傾げたくなる点があるんです。 それに、些細な

          映画『ありふれた教室』(5/17鑑賞)

          映画「不死身ラヴァーズ」(5/11鑑賞)

          その真っ直ぐさが変える、変わる「いま」に惹かれた。 幼い頃に出会った“運命の相手”と再会して恋に落ち、両想いになった途端に彼が消えた――それでも彼を見つけては想いを伝えるりの。やがて大学で会った彼は、今までと様子が違っていた。 りのの「好き」のエネルギーって凄いんです。全身全霊、全力疾走。それを“恋に恋してる”、“自分に酔ってる”と言われたことも。 でも、成就=終わりの繰り返しに苦しさもある。 大学で出会った彼は、「いま」を大事にするひと。それには理由があって、りのは初めて

          映画「不死身ラヴァーズ」(5/11鑑賞)

          物語の、“「これがなければ良かった」という要素(コンプレックスやトラウマ、問題など)”が、“「これがなければ得られなかった」という特別なもの(出会い、出来事、経験など)”と繋がっていて、心の動きや人間模様を生み出していく様に惹かれるところがあるんだな

          物語の、“「これがなければ良かった」という要素(コンプレックスやトラウマ、問題など)”が、“「これがなければ得られなかった」という特別なもの(出会い、出来事、経験など)”と繋がっていて、心の動きや人間模様を生み出していく様に惹かれるところがあるんだな

          読書:にのまえあきら『無貌の君へ、白紙の僕より』(4/29読了)

          見ること、描くことが形作ってゆく彼らに惹かれた。 復讐を手伝ってくれませんか――人前で目を開けられないさやかの望みは、人物画を完成させること。被写体を頼まれたのはかつて共に絵画を学び、今は筆を置く優希だった。 六年越しに再会し、一から関係を築く優希とさやか。打ち解けてゆく一方、絵のほうは芳しくなくて。 それだけ、深く深く心に根差す傷があるんです。見ること、描くことを阻む要因が。 心が目を逸らしているといっていい。 物語が進むにつれ、彼らに二人三脚の印象を抱いたんです。しん

          読書:にのまえあきら『無貌の君へ、白紙の僕より』(4/29読了)

          読書:張國立『炒飯狙撃手』(4/25読了)

          これは面白かった! イタリアで台湾の高官を射殺したスナイパー・小艾と、台湾で複数の殺人事件を追う定年間近の刑事・老伍。各々の視点で綴られる物語はやがて絡まり、巨大な陰謀を描き出すんです。 https://www.harpercollins.co.jp/hc/books/detail/15416 まず暗殺が実行されるまでの描写に、とても引き込まれた。 そして襲われ、追われる身となった小艾がヨーロッパを脱出する様にも。 一方で、老伍は退職まで12日の身。それなのに厄介な案件を

          読書:張國立『炒飯狙撃手』(4/25読了)

          赤信号で止まったとたんにラジオが途切れ、走り出すと同時に音を取り戻したとき、なんだか隙間に――時間や空間にひっそり存在する穴に落ちてしまったような、奇妙な感覚を抱いた

          赤信号で止まったとたんにラジオが途切れ、走り出すと同時に音を取り戻したとき、なんだか隙間に――時間や空間にひっそり存在する穴に落ちてしまったような、奇妙な感覚を抱いた

          ほとんど緑になった桜から、ひらり、はらり、名残惜しむように零れる花弁の愛しきこと その先に蒲公英の黄と綿毛の白が鮮やかにあって、しばし目を留めていたら、忘れてくれるなと桜が舞い寄ってきた

          ほとんど緑になった桜から、ひらり、はらり、名残惜しむように零れる花弁の愛しきこと その先に蒲公英の黄と綿毛の白が鮮やかにあって、しばし目を留めていたら、忘れてくれるなと桜が舞い寄ってきた

          「あしおと」と「あしあと」って一文字違うだけで、やって来るものと去ってしまったもの、対照的な印象になるよなあ

          「あしおと」と「あしあと」って一文字違うだけで、やって来るものと去ってしまったもの、対照的な印象になるよなあ

          映画『RED SHOES/レッド・シューズ』(4/7鑑賞)

          喪失さえも己として、舞台に咲く彼女に魅了された。 プリマとして「赤い靴」の舞台に立つ間際、姉の訃報を知って踊れなくなってしまったサム。バレエから遠のき自堕落な生活を送る彼女に、再びバレエとの関わりが生まれる。 憧れ愛した姉を喪った悲しみだけでなく、自分のせいではという罪悪感や、舞台を台無しにした責任感がサムを縛っている。何より、姉に及ばないことを突きつけられて。 “アニーはここにいない! 私は私よ!” 思わずそう叫ぶも、では自分とは何か、どう表現すればいいのかが分から

          映画『RED SHOES/レッド・シューズ』(4/7鑑賞)

          あちらでもこちらでも桜が咲いて、出歩く人々の姿も多くて、春だという実感がひしひし湧いてきたな 中でも川沿いの桜並木は見事なもので、散り出すころに花舞う中を通るのも、絨毯と見まがうほど地面を染め上げる光景を見るのも、また良いものなのだ

          あちらでもこちらでも桜が咲いて、出歩く人々の姿も多くて、春だという実感がひしひし湧いてきたな 中でも川沿いの桜並木は見事なもので、散り出すころに花舞う中を通るのも、絨毯と見まがうほど地面を染め上げる光景を見るのも、また良いものなのだ

          読書:澤村御影『准教授・高槻彰良の推察10』(4/3読了)

          高槻の過去を思わせるような状況の事件、驚いたのは飯沼の様子でした。専門の芸能ゴシップでもないのに、高槻を頼ってまで知りたがる理由。こういう顔もするんだと、こんな思いを抱いていたのだと、感じ入るものがあった。 高槻が見舞われる事態――思わず踏み入ることになった場所も、あわやの危機も、心が冷える思いで。何より、彼自身は知らない、尚哉がもっとも近づいているモノにぞわりとする。 けれど尚哉の決心と行動に、頼もしさを感じるんですよ。 思えば当初、手放したがらなかったのは高槻のほうだ

          読書:澤村御影『准教授・高槻彰良の推察10』(4/3読了)

          映画『ペナルティループ』(3/29鑑賞)

          繰り返す罰が男たちに生む変化に魅せられる作品だった。 被害者遺族に、加害者への複数回の報復をVRで実現する〈ペナルティループ〉。恋人を殺された主人公はナイフで、拳銃で、加害者の男を何度も殺すが、奇妙な心情や関係が生じる。 憎しみのあまり、何度でも殺してやりたい――それを可能にするシステムだと、最初は思っていました。でも、殺すことって精神的にも肉体的にもエネルギーがいる。ループする以上、殺しても奴はまた現れる。解放されるどころか蓄積していく疲弊に、主人公は報復しない道を選ぼ

          映画『ペナルティループ』(3/29鑑賞)