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bush valley lub → 山川藪文庫

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富山県西部の山間部でのリノベ改修までの記録 →住み始めてからのあれこれ
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2021年3月の記事一覧

17|ポキポキの杉

17|ポキポキの杉

家の近くの山の杉が、ポキポキ折れている。折れたところからクリーム色の木肌がのぞいていて、遠くからも折れていることがわかる。一箇所ではなくて、道すがらずうっと、ものすごいスケールで、折れている。

年始に降った大雪で、雪の重みに耐えられずに折れたらしい。海に近い里山だから、これまであまり雪が降ることがなくて、雪に慣れていないのが直接の理由。根本には、間伐すべきものがされていないから、ちょっとした負荷

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16|繋がり直し

16|繋がり直し

家の改修の方向性として、なんとなく考えていること。 

つくりたい形ではなく、エネルギー効率や使いやすさなど用いるところから生まれてくる形を重視する。

土地の素材を使う。

特別ではない、他の人でも真似しやすいやり方、ものを使う。

できるところは自分たちも手を動かす。

リノベーションは元の家やそれをつくった人とつながる方法論でもある。

黒瓦や外壁の漆喰など、使えるものはそのまま使う。

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14|漆器は神様、お味噌汁は仏様

14|漆器は神様、お味噌汁は仏様

先日、漆掻きをしている漆芸家の話をきいた。

漆というのは、ウルシノキが傷口を保護するために発出する、かさぶたになる液体だという。人は人為的に木を傷つけて、その傷口から漆を掻きとる。全部とりきってしまうと枯れるので、枯れないように、かつ6月から11月のシーズン中、ずうっと漆が出続けるように、それぞれの木の個性に合わせた掻きかたをするのが、漆掻きの技なのだという。

漆掻きを終えた冬、ウルシノキは倒

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13|神様の合理性

13|神様の合理性

猪を解体するのにずっと川にいたとき、川をとても不思議なシステムに感じた。

雨は1週間くらい降っていなくて、その日も良い天気だった。でも、川が流れている。ずうっと途切れずに、水が流れていく。

この水はどこから?

山の標高はさほど高くなく、解けない雪があるわけでもない。ダムもない。それでも山は水を湛えていて、水が滲みでてくる。水は川になって、流れ続ける。

なんだこのしくみは。すごいな、と思った

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11|ピーター・アイビーさんと梁

11|ピーター・アイビーさんと梁

秋頃に、ガラス作家のピーター・アイビーさんが改修予定の家に来てくれた。取材時にリノベの話をしたら、改修前の家をみたい、という話になったのだった。

まずはピーターさんの家を、夫も一緒にみせてもらった。10年以上かけて自分で手を入れ続けて、工務店も入って、ほぼ完成した家。とはいえ、またこれから納屋や庭にも手を入れるそう。セルフビルドの世界にはたぶん終わりがない。

ピーターさんの家を一言でいうなら、

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10|値段のつかない場所から

10|値段のつかない場所から

公民館主催のワカメの摘み取り体験にいった。朝の漁港に、水揚げされた養殖ワカメがずらりと並んでいた。

ビニールみたいにしっかりしてそうな茎の根元にはびろびろのメカブがついていて、その先に茶色い葉っぱ=ワカメがべろんとまとまっている。地上の重力で力なくべろんとしているけれど、海の中ではゆらゆら大きく葉を伸ばしていたんだろう。

ワカメの全体像について、考えたこともなかったことに気づいた。茎ワカメもメ

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