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記事一覧

その花が咲いた日(短編小説)

ぼくはある日拾われた。 ぼくを拾ったのは、まさよさん。 今、カチャカチャいわせながら、キ…

千縁
5か月前
12

腰が抜けそうな確信犯

1週間ごとにテーマをかえてエッセイを綴る試み、今週はテーマ「手のひらサイズ」です。今日は…

千縁
6か月前
18

あやかしと柳ぎんと町娘(短編小説)

「きゃひゃひゃひゃ〜」 椿が声のする方を見ると、柳ぎん(やなぎん)がの廊下や庭木に飛び回…

千縁
6か月前
12

分子再構築の果て(短編小説)

 ぼくはドーム型の機械に体を横たえた。今回のプログラムに必要な電子線はすでに蓄積させてお…

千縁
7か月前
9

一瞬の恋(短編小説)

その日は雨だった。 ぼくは、雨の商店街を行きかう人の中に、その人をみつけた。 傘で隠れて…

千縁
7か月前
12

ミサンガに込めた願いごと

家族と離れて遠出ができなくなった。 家族と離れたくない。 家族といっても娘と夫のこと。 大…

千縁
7か月前
17

土曜の夜の恋人(短編小説)

彼女がくるのは、決まって土曜の夜だった。 私の店はカウンター席のみの小さな居酒屋で、通りに面して2階にあるから、ひとりで入るには普通は勇気がいるもので、女性で、さらに、ひとりで来るお客さんはなかなかに珍しかった。 彼女が初めて来た日は、土曜日のもう20時をまわっていて、貸し切り客が帰って一般のお客さんが入り出した頃だった。 私はその日、正直少し疲れていた。25時までの営業を思い、あと5時間か、と心の中でため息をついたところだった。そんな時、彼女がフラッと現れた。 「い

あなたといつものテーブルで(短編小説)

未来の日本、東京21××年 「あなた、朝ごはんですよ。」 70もすぎた老婆が、夫を朝ごはんの…

千縁
11か月前
13

母の怠惰は罪か許容か

体調がスッキリしない日々が続いている。 なんとなくやる気が出ない。 もちろん仕事には行くし…

千縁
1年前
18

時代は進む、脳も身体もかわる。思考も変えていけ。

今の若者は‥。 よく聞くセリフ。 この言い方からいいイメージは想像できない。 いや、言わ…

千縁
1年前
20

静江と美智子。

ロッテリアに入った。 お店に入るとすぐ右手にボックス席と左手にレジカウンターが並んでいた…

千縁
1年前
11

束縛と自由はとらえかた次第

束縛、と聞くと、嫌なイメージがある人が多いのではないだろうか。 縛られて、自分の思い通り…

千縁
1年前
12

猫×作家の対談なんて、大好きすぎるでしょ。猫のエピソードとネコの写真と、作家さんのエピソードもあって好きすぎる。これも図書館で読んで即買い。

千縁
7か月前
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ハコフグ型手乗りロボット、ハコやん(短編小説)

「モード。再開」 わたしが言うと、ピピっという音とともに胸ポケットから小さなロボットがとびだした。 「どうしたの?ちなつちゃん。すごい動揺してる。」 「ぼくに話してごらん」 わたしの心拍数を拾うことのできるハコやんがわたしの異変に気づいた。 手に乗っかるほど小さなロボット、ハコフグ型のハコやんが、ホバリングしながらわたしに話かける。 「ハコや〜ん。ありがと。わたしさっき彼氏に振られちゃったよ。」 ハコやんの大きな瞳が驚いたようにさらに大きく開く。 「え〜!」 ハコやんが