言の葉

言葉は怖い

言葉は嘘をつける
言葉は生物で生物じゃない
冷凍保存なんて出来ない
なのに解凍されないときもある
言葉はリアルタイムじゃ届かない

わたしの中で生まれた言葉たちは
数秒後、
人の
耳に、
目に、
心に、
届く。

こうして綴っている今も
わたしの頭の中では
複数の言葉たちが浮いていて

次は自分の番だ、と争い

他の部屋では全く違う会議が行われていたり

時に言葉じゃなくて映像に変身したり

誤魔化したい時は言葉じゃなく
四角い形や何かふにゃふにゃとしたスライムみたいになってみたり(私はこれがよくある)

私(言葉の一人称)は間違っていないかな
私がいることであの人を傷つけないかな
と葛藤して

頭の中で生まれた言葉を差し置いて
本当は違うことを言ってしまったり

だけど
よく考えてみれば
言葉自体には嘘なんて概念はなくて

嘘、が生まれる瞬間って

言葉と心が一致しない時や
起きた出来事と一致しない時

だから
嘘と呼ばれているものは嘘ではなくて
一致しなかったときの
言葉と、心や出来事の
間のことを呼ぶのだろうか

考えれば考えるほどわからなくなることを
普段からよく考えてしまうのだけど
勝手に頭の中に言葉が生まれてしまうから
自分ではどうしようもできない

あ、あと昔から思っていることは
言葉自体には意味はなく
発言元だったり
その言葉たちが生まれた環境によって
意味があとからついてくるものだと思っている

だから言葉たちに罪はなくて
だけどそんな言葉たちに私たちは
一喜一憂し
潤い、傷つき、満たされていく

だから言葉は怖い
簡単に放つことができて
簡単に届くもの

私とは違う色や柔らかさの言葉たち
正面から私に向かってくる言葉たち
遠くの方で聞こえてくる言葉たち
時に文字として届く言葉たち
ハートに変形して渡される言葉たち
そんないろんな言葉たちが
私の耳に、目に、心に届いていることで
わたしは生きる、ができる

言葉に救われ、言葉に悩む
言葉に憧れ、言葉に嫉妬する
言葉を使い、言葉を伝える

言の葉

これからも
言葉と、生きていきたい

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