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糸井重里さんから貰ったパワーの話

とってもとっても幸運なことに、仕事で糸井重里さんにインタビューする機会をもらいました。

20年前から糸井さんが立ち上げたWEBサイト「ほぼ日」を毎日読んでいた僕にとって夢のような仕事でした。


お会いしたらどうしてもお聞きしたかったことがあります。それは糸井さんは日本の高度成長期からバブルまでの資本主義のど真ん中で最も成功したクリエイターだと思いますが、にも関わらずその資本主義とは真反対に見えるやり方でいつも上手くいってるのは何故なんだろうか?

この質問への糸井さんの返事は、「僕はその時代時代の流行やトレンドって常に動くものだと思ってるんですよ。強い勢いの流行であればあるほど、それと同じ振れ幅で廃れてもいく訳で。だからうちの会社のみんなにもよく言うんだけど「この気持ちって縄文時代の人でも同じように思うかな?」って。縄文時代は約1万年あって人類の歴史の中では一番長い。この時代の人でも同じように思うようなことって、本当の意味での心の動きなんですよ。だからなるべくエッセンシャルな方向になるように頑張って考えているんです。」

つまり考えている“本質のレベル”が圧倒的に違うということです。資本主義とか大量生産とかの尺度を大きく超えた思考をされている。だから常に人間の感情のコアな部分に響くクリエイティブを創り続けることができるんだと思いました。これを聞いた僕は感嘆と感動で震えました。

そんな糸井さんが今一番熱中している仕事が、「ほぼ日の學校」です。これまでの学校の枠を取っ払った新しい形の學校。

アプリが立ち上がって10ヶ月が経ち、今はまだ試行錯誤のまっ最中とのこと。テスラのイーロンマスクの話を引き合いに出して、まったく新しい商品を産み出すために何日も工場に泊まり込んで苦しみながら創り上げている感じだそう。

「この學校のゴールは何ですか?」という質問に糸井さんはこんな話をしてくれた。

「昔、伊丹十三監督と話した時に聞いた話なんだけど、『「お葬式」という映画がヒットした時は、元々僕の映画を好きな人が観てくれたんだ。ただ次の「マルサの女」を作る時は、自分のファンの人だけじゃなくて、そのドーナツの円の外側にいる人たちにも観て欲しかったから、映画の作り方を一からガラッと変えたんだ。そしてドーナツの外側の人たちが沢山観てくれて「マルサの女」は大ヒットしたんだ。』という話を聞いてすごく感激したことを憶えているんだよね。だから「ほぼ日の學校」も今の「ほぼ日」を見てくれている人達に観てもらえることも嬉しいんだけど、その人達だけじゃなく、ドーナツの外側の人達にも観てもらえるようになることが一つのゴールかな。だから今は頑張って工場に泊まり込んでるんだよね。」

この話を聞いて、70歳を過ぎても第一線で活躍し続けている秘密が分かった気がした。糸井さんの原動力は、本人曰く「知らないことへの好奇心と自分ができないことができる人へのちょっとの嫉妬」とのこと。

僕がどこまで糸井さんの話を正確に文章に出来てるか分からないけれど、糸井さんの例え話はどこまでもフレンドリーで分かりやすくてみんなを受け止めてくれるのに、それでいて本質をズバッと射抜くような話ばかり。

こんなにも自然体で、知らない事を面白がれる、カッコいい70代になりたいと強く思いました。

最後に記念撮影して頂きましたが、光栄にも何だか背格好が似ていて服装も偶然ペアルックみたいになってしまいました。

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