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人間ってなんなんだ?~ケニア⇔日本の国際交流は楽しい!~

1.ケニア⇔日本の国際交流は楽しい!

7月下旬から9月中旬まで、何本かのスタディツアーやアートプロジェクト、撮影のプロジェクトなどをケニアでこなして、とても忙しく活気あり、充実した日々を過ごした。

様々な想いを持ってケニアを目指してくる様々な人々と、様々な場所で暮らすケニアの仲間たちと共に、多種多様な取り組みをした。そしてもうすぐ私は、再び日本へと向かう。日本各地でアフリカトーク&ライブのツアー、日本全国にアフリカと出会うきっかけを作り、アフリカの風を吹かせていきたいと思う。

こんな取り組みを一年中、なんだかんだとやっていて息をつく暇もないけれど、はっきり言って、「ケニア⇔日本の国際交流は楽しい!」とつくづく実感している。私はかれこれ30年以上も、ケニアと日本の橋渡しをしてきた。それが最近、これまでの時代よりもさらに、このような行ったり来たりがますます楽しくなっていると感じる。

私は今年の8月に57歳になったが、いったいあと何年くらい、こんなことがやれるだろう。年と共に体力も落ちていくけど、アフリカ各地に皆さんを案内して、知られざる世界に出会う機会を作る仕事は本当に楽しいから、年老いてこれまでのようなハードな旅が出来なくなったとしても、細々としたペースででも懸け橋になり続けたいと思う。

2.人間ってなんなんだ?

そもそも、私の中で長年のテーマになり続けていたのは、「人間ってなんなんだ?」という究極の問いだった。人間界はいつの時代も、あれもこれもおかしなことだらけで、日常生活の中でも「一体どうしてこんなことが起きるのだ!?」と驚愕することだらけ。だけどその一方で、その同じ人間が、世界中で素晴らしい文化も芸術も発明も生み出し続けてきた。

世界にはなぜ格差があるのか、なぜ差別や偏見は無くならないのか、なぜ戦争をし続けるのか、なぜ憎しみ合ったり奪い合ったり痛めつけ合ったりするのか、同じ人間なのに。どうして恵まれた状況の人がいるかと思えば、あまりにも恵まれない状況で想像を絶するほどの苦労の連続で生きなければならない人がいるのか。
人間っていったいなんなんだ?善人とはなんだ、悪人とはなんだ。悪人が本当に絶対的な悪なのか、善人に見えて悪人の一面がある人、またその反対の人もいる。場面場面によって、そして接する立場の違いによって、善も悪も見え方が違ってくることがある。

そしてこんなに多くの矛盾や不条理な現実があろうとも、それをすべて超えたところにある、人間として普遍的なものはなんなのだろう。何もかも超えた先にある、人間としての真実のようなものが知りたい。そして、私自身はこんな人間社会で、一体どんな生き方がしたいのか。どんな人生を生きたいのか。そもそも、私は何者なのか。

これが、若い頃からずっと、私を突き動かしてきた想いだ。知りたくて知りたくて旅に出て、アフリカに出会い、自分の中に強烈に響くものがあってアフリカで生きていこうと思い、ケニアに住まいを構えて、働きはじめた。それから今まで35年間もアフリカで生きている。

3.壁を超えた先にある世界が見たい

人間社会に様々に存在する多くの壁のようなもの。人々を分ける境界線。人間の心の中に潜む無意識の差別意識。優越感や劣等感。そんな強固な壁を、超えることができるだろうか?それを超えた先にある世界が見たい。自分はそんな世界で生きたい。誰かが誰かを無残にも踏みにじるのではなく、すべての文化をリスペクトして、認め合い、理解し合い、みんなが共に喜び合える世界がいい。

アフリカが私に与えてくれたことは、eye opener - 「目からウロコの体験」だった。それまでまったく見たことも聞いたこともない文化、暮らし、考え方、社会のあり方、善悪の基準、社会の中の物差し、風景、そして大自然の力。
何よりも、人々が生きる姿の迫力がとても力強く目の前に迫ってきた。その途方もない生命力。

私は、人間世界のカラクリのようなものが知りたかったのだけれど、世界がどう成り立っているか、そしてどんな歩みをもって今の世界になっていったのかということは、アフリカを抜きにしては決してその全体像は理解できなかったと今にしたら思う。私には、アフリカで生きてアフリカをベースにしてアフリカから世界を見るようになったら、世界がまったく違う解釈を持って見えてきた。今まで知っていると思っていた世界の歴史も、アフリカを中心に見ていくと違う感慨を持ち、理解の幅が広がった。

4.世界を見るコツ

そうやって「世界を見るコツ」をつかむと、世界の別のどんな場所にいっても、その社会や文化、歴史により深く興味を持つようになり、自分なりに学び、自分なりの理解ができるようになっていった。そうだ。アフリカを知ることは、より世界を知ること。より世界を知ることは、人間とはなんなのかということを知ること。そしてさらには、自分自身をより深く知ることに繋がっていくのだった。

異なる世界が出会うことの面白さ。そしてそこで起きる化学反応と、その先にはじまっていく新しい道が、私をとてもワクワクさせる。それは、未知への扉を開くカギ。知ると知らないとではこの世は大違いなのだ。

5.新しい「何か」が始まる

人と人は出会い、言葉を交わし、お互いを知り、理解をし合い、心を交わし、意見を交わすことで、新しい何かが始まっていく。

これだ!と私は思っている。大袈裟に言うならば、これがまさにより良い世界の構築のための一番の有効な道、地球の未来への希望ではないか。

人間ってなんなんだ?とウンザリするような愚かな事件も多々起きる世の中だけど、成長したり、新しいものを生み出したりできるのも人間。今までの時代とは違う、新しい時代に私たちは生きている。新しい時代だからこそのフットワークの軽さで、私たちは世界中を駆け巡り、出会い、扉を開き合って、学び合い、喜び合うことができる。

6.未知への扉を開くカギ

人間の一生の時間は限られていて、一人の人間が一生の間に成し遂げられることはそんなに多くはないが、私は自分にできることがまだあるとしたら、そんな未知への扉を開いて人と人とをつなぎ合うことかなと思っている。

見たこともない風景、聞いたこともない文化、想像もしなかった価値観、同じ地球で同じ時間を生きる人間同士、大いに出会って語り合い、学び合い、喜び合い、共により良い未来を作っていこう。

7.アフリカスタディツアー

★私がやっているアフリカスタディツアーは主に6種類。

①キベラスラムのスタディツアー&レクチャー

ケニアの首都ナイロビにあるキベラスラムで、様々な理不尽な社会状況やどうしようもない貧困の中で、あれやこれやと工夫し奮闘し、助け合い、今ある命に感謝して、より良い明日を信じて懸命に生きるスラムの仲間たちの毎日の暮らしに出会い、交流しながら学びます。なぜスラムが出来たのか、アフリカにはなぜ貧富の格差があるのか、ケニアの全体像や世界の歴史との関わりなどを事前レクチャーでお話しします。

②マサイの伝統文化体験スタディツアー&レクチャー

数多くの野生動物たちと共存し、大自然と調和して生きるマサイの人々。その伝統文化と生活、自然の中で生きる知恵、生き物たちとの関わり、現代社会での現状などを学び、体験するツアーです。マサイの地域リーダー、ジャクソン・オレナレイヨセイヨさんと、マサイ村に嫁いだ日本人・永松真紀さんの村を訪問し、マサイの暮らしを垣間見る2泊3日の旅。事前レクチャーあり。

③ドゥルマとギリアマの伝統文化体験スタディツアー

自然界の精霊たちと共に生き、ンゴマ(タイコ、歌、踊り、祈り、呪術)の伝統を持つコミュニティとの交流と文化体験。現代の社会変化や開発の波にさらされて彼らのコミュニティに起きている自然環境破壊と文化への圧迫。その現状への状況解説と現場の見学、そして、音楽で病気治療を行う伝統文化を実際に体験。開発にさらされた村と、奥地で伝統文化を守り抜く村の両方を訪問します。村の人々との交流、伝統文化体験、カヤ(聖地)の訪問など。

④アフリカに根差して活動する日本人の活動現場の訪問。

社会状況についての解説などもします。

⑤野生動物と生態系、人々の暮らしとの関わりを学ぶサファリツアー、大自然体験ツアー。

ケニアの様々な国立公園・自然保護区を訪ね、多種多様な動物たちに出会っていきます。生態系の理解を促す解説をします。

⑥ケニア以外のアフリカ諸国へのスタディツアー

アフリカ各国で接している状況がそれぞれ違います。社会状況、歴史、文化などを解説しながら、様々な国を旅して人々と交流します。

8.日本でアフリカに出会うトーク&ライブ

★大西マサヤと早川千晶のポレポレキャラバン
日本全国アフリカトーク&ライブツアー

毎年、春と秋に日本各地でアフリカトーク&ライブのイベントツアーをしています。お話や映像あり、音楽ありのとても楽しいイベントです。

大西マサヤ(音楽)と早川千晶(お話)の2人のポレポレキャラバンに、各地で多彩なゲストが参加します。2023年秋は、マサイのジャクソン・オレナレイヨセイヨさんと第二夫人の永松真紀さんが参加!
一部のイベントでは、ガーナ在住でニジェール難民の子どもたちを助ける山口韻奈さん、そして、エチオピアのバンナ族の研究者である文化人類学者の増田研先生が参加します。

アフリカに出会う最初のきっかけに、そしてさらにアフリカを深く知るために。日本全国各地を回ります。

日本各地のイベント主催者募集中!お気軽にお声がけください。

chiakinairobi@gmail.com (早川千晶)

もしくはfacebookのメッセンジャーにてご連絡ください。
https://web.facebook.com/chiaki.hayakawa1


●早川千晶(はやかわ・ちあき)
ケニア在住35年。大学生のときに世界放浪の旅に出発。世界各国を旅し、そのまま日本に帰らずケニアに定住。社会的に不利な立場にある民族や貧困地区のコミュニティと共に活動を開始。撮影コーディネーター、ライター、通訳、「アフリカを深く知る旅」案内人。マサイ民族とドゥルマ民族の村でホームステイ&伝統文化体験のエコツアー、キベラスラムのスタディツアーなども手掛け、アフリカ理解と国際交流を促進している。
東アフリカ最大の貧困地区キベラスラムで孤児や困窮児童のための学校「マゴソスクール」、モンバサ近郊のミリティーニ村で「ジュンバ・ラ・ワトト」(子どもの家)、高校生・大学生のための奨学金グループ「マゴソOBOGクラブ」、障害児の特別学級、スラム貧困者の生活改善支援、スラムの若者たちのエンパワーメント「MCC-Magoso Community Center」
などをスラム住民のリリアン・ワガラと共同設立運営。
著書に「アフリカ日和」。2013年在ケニア日本大使館在外公館長表彰、2015年度第5回賀川賞受賞。2018年ドゥルマ民族の伝統継承者「旗持」に就任。2021年第56回社会貢献者表彰、2023年令和5年度外務大臣表彰受賞。
マゴソスクールを支える会 http://magoso.jp/



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