【モロッコ旅行記】アラビア語とイスラム教
たらたら体験記を書いてるといつまでも終わりが来ないことを知り、渡航から1か月以上たった後も公開できていない状況を鑑みて、テーマごとに記事を書くことが最善だということに(やっと)気づいた。
今回はモロッコで感じたアラビア語、イスラム教に関してのお話。
アラビア語について
自分は去年の秋学期にアラビア語入門の授業を受け、今年の春学期から外大アラビア語科1年生に交じってアラビア語専攻の授業を受けている。
ここで学んでいるのは正則アラビア語(フスハー)。クルアーンを読む際などに使われるもの。
「アラビア語は世界で使用されているから、それぞれで方言があるんだよ」とは聞いていたものの、自分で体験してみるまではわからなかった。
めちゃくちゃ早口なアラビア語
モロッコに来て、アラビア語がめちゃくちゃ早口で話されていることにびっくりした。
今まで教材でしか聞いたことのなかったアラビア語だったけれど、普通に使うとこんなにスピードが速いんだなと圧倒された。
まあ日本語も、「こんにちは、私の名前は、むとうです。」なんて丁寧に言うことは少ないし、「どもー!あ、武藤って言います!よろしく!!」みたいな感じだし、おそらく日本語学習者からみたら、本場の日本語早くね?と思われている気がする。
とにかく早くて聞き取れないなーというのが最初の印象。まあ勉強量が足りていないっていうのもあるとは思うが。
挨拶が違った
フスハーでは、مرحبا(マルハバン)をこんにちは、と習う。
السَّلَامُ عَلَيْكُمْ(アッサラームアライクム)という言葉もあるが、こちらもこんにちは。
モロッコでは、مرحباが、いらっしゃいませの意味を含んでいたのだ。
メディナという市場に行った際に、一緒についてきてくれたパニーカに「あなた、مرحباて言ってるけど、それ多分「いらっしゃいませ」だからあなたが言うのはおかしいわよ」と言われてびっくりした。
めっちゃ略されてる「こんにちは」
じゃあこんにちははなんて言うんだという感じだが、「سلامُ(サラーム)」という、アッサラームアライクムの略か、「サラマリクム」という。
サラマリクムって何だろうなーと思っていたが、どうやらこれは、アッサラームアライクムを高速で言うとサラマリクムになる。
これに気づいたとき私は衝撃を受けた。なるほど、そういうことかと。
モロッコで話されているアラビア語は、モロッコ方言でアーンニーヤと呼ばれる。(余談すぎるけど西サハラはハッサニーヤです)
その土地によってほかの言語との交わりで語彙が生まれたり、所謂鈍りが生まれるため、フスハーとは全く違ったものになる。
そのため、彼らの話す言葉をあまり理解することはできなかったが、アラビア語の”違い”をたくさん知ることが出来た。
イスラム教について
自分は研究したいフィールドがイスラム圏ということもあり、イスラム教の勉強をしていて、普通の日本人より身近に感じていた。
だけど、実際にイスラム圏に身を置いたことで、自分が今まで学んできたものがどれだけ表面的なものだったかということを痛感した。
ムスリム女性、めっちゃ強い
ムスリム女性はヒジャブで肌を隠さなければいけないだとか、厳格なムスリムだと男尊女卑が激しいとか、そういうことを事前知識として持っていた私は、ムスリム女性に対してどこかか弱い存在であるという印象を抱いていた。
だがこれは大間違いだった。
ある日の学校帰り、バス(一律5DHディルハム)に乗っていると、通路を挟んで隣に座っていた女性が怒鳴り声をあげた。
そもそも女性の怒鳴り声なんて、中高の時ガチギレした女性担任が教室で怒鳴り散らす時くらいにしか聞いたことがない。
早口でアラビア語で怒鳴り散らしているため、マジでなんで怒ってるのかわからない。
けれど、怒鳴ってる女性AはB,Cと小さい女の子Dの4人グループ、Aの怒鳴り先は隣に座ってた女性E。
「狭い椅子なんだからもう少し詰めろよ」的なニュアンスがあった気がする。
余談だが、モロッコの女性はお尻の大きな方が多く、例によってこのAとEも大きなお尻の持ち主だった。
怖いなーと思いながらDの方を見ると、アジア人が珍しいのか目が合い、ニコリと笑いかけるとニコッと笑い返してくれた。かわいい。
和やかな雰囲気が私とDの間に流れている間も、AとEの口論は収まらない。そしてバスの後ろに座っていたCがAとEの場所まで来て、あろうことか怒鳴りあいに参戦してきた。三つ巴である。こわ。
この間乗客はどうしているかというと、男性女性問わずハラハラした顔で様子をうかがっていた。
BはAを諫める一方で、CはAに加勢、Eは一人で戦っているという構図が成立した。だけどAはCに首を突っ込んでほしくないのか、「あんたは黙ってなさい!!!」とCに怒鳴りつけた。(多分Aが母親、B,C,Dがその子供だと思う)
それでも止まないCに対して、Aが彼女の顔面を平手打ちした。
”バチン”という漫画のオノマトペでしか聞いたことの無いような音がバス内に響き渡るも、Aは追加でCの顔面を叩く。マジで怖い。
とりあえずCは興奮収まらない様子で元の席に戻るが、AvsEは収まらない。
なんと怒鳴り散らしたあげく、AはEにも平手打ちをお見舞いした。
ここで私は降りるべきバス停についてしまったため、ことの顛末はわからないが、自分が勝手に抱いていたムスリム女性のイメージが大きく変わった出来事であった。
男性陣はおびえていた。
長袖は必要なかった
※これはラバトだけかもしれないので別のモロッコ地域に行く人はご注意を。
イスラム圏なので、非ムスリムの観光客でも肌を隠した方がいいです。みたいな言説をネットやガイドブックなどで目にした。
しかし、ラバトは観光客も多いからか、かなり肌をさらしまくってる女性も多かった。
もちろんムスリム女性はヒジャブを着ているが、その他の人たちは普通の格好だった。
自分も日本から羽織るものを持ってきてはいたが、湿度と温度が日本レベルかつエアコンがないため、着れたものではなかった。
ホストマザーは「私たちはイスラム教徒だけど、あなたたち留学生がキリスト教徒だろうと、仏教徒だろうと、ヒンドゥー教徒だろうと気にしないわ。私たちはあなたたちの信仰をリスペクトするし、あなたたちは私たちの信仰をリスペクトしてね」と言っていた。とてもいい人である。
語学学校の先生に「肌を隠す長袖を忘れました」と言ったら、「そんなの気にしないで。あなたムスリムじゃないんでしょう。好きな格好をしなさい」と言われた。
とても他宗教に寛容でびっくりした。
自分の価値観が変わった旅だった
アラビア語にしてもイスラム教にしても、すごく凝り固まった価値観を抱いていたんだなと痛感した。
もっとアラビア語を話せるようになりたいと思ったし、イスラムについても知りたいと思うようになった旅だった。
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