見出し画像

定年目前母の「勤める」固定概念をぶっ潰したい娘

「定年まであと4年。
4年ぐらいなら我慢できるかなって。」

定年まで勤めて、その先5年間、嘱託で働くと思っていた会社が突然、吸収合併され勤務地が変わり、それまでの人間関係も全て変わってしまった私の母。

勤務地が変わることから、物理的に勤務を続けられない人もいるため、会社に残るか、退職か。
退職ならば、手厚い転職支援も用意する。
さぁ、どうする。去るか、残るか。

そんな話で、数ヶ月前、頭を悩ませていた母でした。

多くの人が、退職を決意したそうですが、母が、出した結論は、新しい勤務地でこれまで通りの役職で会社に残ることでした。

かなり田舎の不便な場所で、さらに、母曰く、職場環境はこれまでと比べてかなり質が低いらしい。
でも、役職は変わらず、家賃保証や何やかんや手当ても手厚くなって給与アップ。

定年まで、残りわずか。
新たな就職先を見つけても、確実にこれまでより給料は下がる。
そもそも同じような待遇が受けられる職場は年齢的にも見つかるわけがない。

それなら、たとえ職場環境が多少劣悪でも数年我慢すれば、退職金もしっかりもらえるところに残ろう。
というのが、母の考えだったようです。

そうして、新天地で働き始めて、数ヶ月が経ちましたが、やはり職場環境は、今までと比べてかなり長時間勤務の重労働で、ブラックな様子。

「定年まであと4年。
4年ぐらいなら我慢できるかなって。」

「4年間はとにかく割り切って、お金のためにやる。
もう、金の亡者になるわけさ。」

と、冗談混じりに話していました。

冗談が言える、今はいいけれど、4年間重労働に耐えた先で、母は笑って過ごしているんだろうか。

娘としては、とても心配になりました。

「4年って、結構長くない?今の感じで、体が保つの…?」

それしか言えない私。

まだ31歳の甘ちゃんな私には、定年が目の前に見えるまで勤務し続けた母の気持ちは分かってあげられない。

でも、どうか、心身穏やかに日々を過ごしてほしい。
自分を大切にしてほしい。

「4年ぐらいなら我慢できる」と、我慢した先に得られるものは、お金。

今、動けるのだから、もらえるものはもらわなきゃ。今までも頑張ってきたんだから。
その気持ちもわかる。
老後の心配もあるだろう。一人娘に迷惑はかけられない。
母には、私には想像しきれないいろいろなものを抱えているんだと思う。

でも、4年間我慢してお金を得たとして、心身ともに疲れ果て、健康に楽しくお金を使えなかったら、何の意味があるんだろう。

あと、4年ぐらいならと割り切るならば、せめて身を粉にして働かず、最低限の仕事だけをしてやり過ごせないのだろうか。

どうせ4年後には、そこを去るのであれば、会社で働くことに全力投球せず、自分の将来の収入源確保のための時間に充てる余力を残してはどうだろうか。

4年あれば、できることはたくさんあるよ。

私自身もちょうど4年前からじりじり動き出し、ようやく自分のやりたいこと、好きなことが人の役に立って、喜んでもらえる。そして、報酬が受け取れるということを知ることができた。

不器用で臆病な私はここに4年もかかってしまったけれど、器用で一度のめり込むと誰にも止められなくなる母ならば、そんなに時間はかからないと思う。

どこかに勤めることが、当たり前。
勤めていれば、安心安定。

そんな固定概念を壊してやれないものかと、娘は企んでいます。

母からすれば、私は趣味の延長線上でわずかな小遣い稼ぎをしているようにしか映っていない。

だから、4月から次男の保育園入園が決まったと言うと、「どこかで仕事始めるの?」と一番に聞かれた。

私は、在宅ワークをメインに、好きなことを掛け合わせて仕事もプライベートもある意味、境界線が曖昧でライスワークであり、ライフワークであるようなライフスタイルを確立していきたい。

そのために、どこかに勤めて働きに出る選択肢を取る場合もあるかもしれない。
でも、決してそれが全てではなくて、私が4年かけて掘り当てた「にがおえ屋さん」を大事にしたいし、他にも広がってきたさまざまなイラスト関連の仕事もやっていきたい。
さらには、子育て支援の活動などなど…
やりたいことは山ほどあるから、ひとつひとつを開拓していく人生にしたい。

そんなことやってて、お金になるの?
どうやって子どもたちを育てていくの?

そう言われると(直接言われなくても、顔が物語ってる)、今は苦しい。
苦しいのが正直なところだけど、ありがたいことに子どもを育てるためならば夫も頑張って働いてくれている。

我が家もあと4年後には、次男が小学生になる。
私はそれまでに自分自身の収入の柱を増やして、自分のペースで働けるようになりたい。

それが無理なら、雇われて、会社に時間を捧げて、ひとまず教育費だけは確保します。

でも、働いて収入を得る方法は一つじゃないと知ったから。労働せずとも収入を得られる仕組みだってあるのだから。

やれることをやって、試して、考えて…
4年あるならそんな苦しみに耐えて、我慢することに、私は時間を費やしたい。

あわよくば、母の「勤める」ことへの固定概念を私の背中を見せてぶっ潰したい。

そっか。もっと自由に生きてみてもいいかもしれない。
そんな気持ちが1ミリでも生まれたら…

それには4年もかけていられないので、娘は少し焦っている。

この記事が参加している募集

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?