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九鬼周造「情緒の系図」

喜怒哀楽などの人の感情を体系的に整理している。
随所に実在の短歌を挙げながら、自論の展開を補足する独特の手法。

40種以上ある感情を表す言葉の相関関係を巻末に系図で示している。
ただ、系図は意欲作ではあるものの、この整理に至るまでのそれぞれの言葉の成り立ちの解説や結びつきの解釈が十分には表現されていない。
例えば、「愛しい」は「かなしい」とも読み、その対象がいずれ無くなることを思う「悲」の感情を内包しており、「悲」は「愛」の一部でもあるというが、体系図からは分からない。

感情の成り立ちを知る面白さがある。
これからは、少し慎重に感情を表す言葉を使ってみようと思う。


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