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デコデコデコポン
傷つかないように白いネットに入れられたデコポンは父が勤め先のスーパーで購入したものだ。
決してパクってきたわけではない。
亡くなった母はくだものが好きな人だった。
父は毎日色々なくだものをお土産に持って帰っていた。
こどものころ、母はまだその当時珍しかったペリカンマンゴーをペティナイフを器用に扱って、美しい硝子の皿に盛っていた。
わたしと弟そして父はマンゴーの南国風な雰囲気に押され手を出さない。
母はそのことを承知していたからほくほくと自分一人でマンゴーを平らげていた。
無邪気にくだものを楽しむ母はいつも幸福そうだった。
目の前にあるデコポン、表皮をなぞるとしっとりしてざらざら。
わたしは刃物をつかうのが苦手なので指を駆使して食べるとしますか。
台所で手を洗おう。
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