私たちが離島の漁業を応援する理由
この夏からご縁をいただき、 離島経済新聞社 -The Archipelago News “Japan”- (NPOリトケイ)さんと、ある事業でご一緒させていただいています。それは、離島のお魚を使った商品開発。離島地域で揚がる魚のなかから低利用魚などを島ごとに一種類ずつセレクトし、それを素材として使ったスープを開発、レトルト化するという楽しいプロジェクトです。
「島の宝を未来につなぐ」ことをミッションに出版活動をされているリトケイさんと、「日本の豊かな海を取り戻し、食文化を未来につなぐ」ことを目指すC-Blue。なんだか似てますよね(笑)。離島は漁業が盛んなことも理由のひとつですが、”大切なモノを次世代に残したい”思いが活動のスタート地点であることも共通しています。
そう。離島の漁業、とても大切なんです。
日本には列島以外にも多くの島があり、瀬戸内のような近海の島々はもちろん、列島より遠く離れた島もたくさん。そのため世界で6位という広大な排他的経済水域(※1、写真3枚目)を持つわけですが、広い海の隅々を監視し、守るのは結構大変です💦 水産庁の取締船や海上保安庁の巡視船だけでは手がまわらないのは明らかです。
そんななか、なんと418もあるという有人離島の存在は大きい。それぞれの島に住む人の日々の営み、海を見つめて暮らす方々の眼差しは、日本の海を守る要衝にだってなり得ます。そしてもちろん、私たちの海の端から端まで張り巡らされた離島漁業のネットワークからは、日本の多種多様な魚地図が見えてくるはずです。
そんな離島の漁業を応援したいと思っていた折、リトケイさんから商品開発のご相談をいただきました。流通事情から鮮度では勝てない離島の魚を、おいしい加工品にしたいのだと。ぜひにとお請けし、C-Blueが関わる以上、海の課題解決にもつながる商品をつくらせてほしいとお伝えしました。
プロジェクトの第一弾は、長崎県・対馬島のアイゴを使ったスープです。海藻を食べる草食南方魚、アイゴの温暖化による北上と活性化は、各地で進む磯焼け(※2)の一因とされています。漁獲対象にならない地域が多いこのアイゴを「食べる」こと、「きちんと値がつく魚にする」ことで、漁業者が進んで水揚げすることにつながり、磯焼けを食い止める可能性にチャレンジしたいと思いました。
処理によってはクセが出やすいこのアイゴを使い、スープを開発したのは恵比寿のフレンチレストラン【アムール】の後藤祐輔シェフです。フランスの南西部、ベアルヌ地方の伝統的な家庭料理、”ガルビュール” をベースにたっぷりの野菜と豆、香り高いスパイスを組み合わせ、とっても美味しい「対馬島のアイゴと野菜の具沢山スープ」が完成しました!
10月末に東京・二子玉川で開催された「海のごちそうフェスティバル」でお披露目され、大人気のなか300食が早々に完売したこのスープ。同じく後藤シェフが開発中の奄美群島や瀬戸内海のスープとともに、来年2月のレトルト商品販売に向けて、最終調整を行なっているところです。
おいしくて、さらに海の課題解決にもつながる商品の開発は、”海の未来を考えるシェフチーム” C-Blueの強みです。今後もさまざまな商品をつくっていきます。
※1:排他的経済水域:国連海洋法条約のもと、海に接する沿岸国が海岸線(正確には「基線」)から200海里(370.4キロメートル)の範囲内に設定できる水域で、この範囲内にある天然資源は当該国しか利用することができない。
※2:磯焼け:浅海の岩場で海藻の群落が消失すること。海藻は多くの魚が卵を産みつける場所であり幼魚が成長する場所でもあるため、磯焼けが進むと魚も減るとされる。
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