Chefs for the Blue

シェフと共に 学ぶ、考える、伝える 豊かな海と食文化の守りかた トップシェフとジャー…

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シェフと共に 学ぶ、考える、伝える 豊かな海と食文化の守りかた トップシェフとジャーナリストがタッグを組んで、海の未来のために活動しています。 https://chefsfortheblue.jp/

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    私たちの活動の意義や思いをコラムにまとめました!

  • メンバーシェフインタビュー

    Chefs for the Blueで活躍するシェフたちのプロジェクトへの想いを紹介します。

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メンバーインタビューVol.1 カンテサンス 岸田周三

10年以上前から海の異変を感じていたという「カンテサンス」 岸田周三シェフ。 「年々、魚が小さくなって品質も悪化し、注文しても『ない』と言われることが多くなりました。なぜだろう、何が起きているんだろうとずっと考えていました」 2017年からChefs for the Blueの勉強会に参加すると、異変は日本近海で顕著であること、その大きな要因に、乱獲という人為的なものがあることを知りました。 「驚くと同時に、そういうことだったのかと腑に落ちました」 それまでは何も考え

    • 天然昆布の枯渇に対して私たちができること

      「天然真昆布が深刻な枯渇」というニュースを知ったのは、2021年夏の小さな新聞記事からでした。ちょうど7−8月の収穫期を終えた頃、紙面片隅の短い文字列を何度も目で追いながら、しばらく呆然としたことを覚えています。過去数年の減少傾向は知っていたものの、21年はほぼ「採れていない」という異常事態だったからです。 ユネスコ世界無形文化遺産として登録されている“和食”。その和食に必須である出汁(だし)は、鰹節や鯖節、鮪節、乾燥させたカタクチイワシ(いりこ)やトビウオ(あご)といった

      • 私たちが離島の漁業を応援する理由

        この夏からご縁をいただき、 離島経済新聞社 -The Archipelago News “Japan”- (NPOリトケイ)さんと、ある事業でご一緒させていただいています。それは、離島のお魚を使った商品開発。離島地域で揚がる魚のなかから低利用魚などを島ごとに一種類ずつセレクトし、それを素材として使ったスープを開発、レトルト化するという楽しいプロジェクトです。 「島の宝を未来につなぐ」ことをミッションに出版活動をされているリトケイさんと、「日本の豊かな海を取り戻し、食文化を未

        • 私が水族館でディナーイベントをしたかった理由/ Bistroえのすいを終えて

          首都圏在住なら、”えのすい”こと新江ノ島水族館をご存じの方は多いのではないでしょうか。10月15日(日)の営業終了後、このえのすいのメイン展示「相模湾大水槽」前に、12台のダイニングテーブルが並びました。 一日限りの水族館レストランにお迎えしたのは、約50名のお客さま。江ノ島片瀬漁協に水揚げされた魚を使い、2人のシェフ(【御料理ほりうち】堀内さやかシェフ/【Mr. CHEESECAKE】田村浩二シェフ)が調理したフィンガーフードを召し上がっていただきながら、水族館×漁師×シ

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          メンバーインタビューVol.8 ドンブラボー 平 雅一

          コロナ禍を経て頻度はずいぶん減ったものの、以前から料理人仲間と様々なテーマで勉強会を開いているという平シェフ。営業が終わってから1時間以上かけて都心に向かい、解散は深夜、はたまた朝まで飲んで語り合う。勉強会は出会いや発見の場であり、純粋な楽しみでもあるとか。Chefs for the Blueの会も、シェフ仲間に誘われて何気なく足を運んだのが最初でした。 それは、海の異変を感じ始めた時期でもありました。得意料理に使っていた秋刀魚や桜えびが手に入りづらくなってきた。他の魚も旬が

          メンバーインタビューVol.8 ドンブラボー 平 雅一

          メンバーインタビューVol.7 洋食おがた 緒方博行

          【洋食おがた】を京都にオープンしたのは2015年10月です。その当初から、自分の店で使う食材は「自然に寄り添ったもの、身体にも地球にもいいものだけにしたい」という強い思いがありました。そこでまず野菜は京都・伏見の農家の方にお願いし、完全無農薬でつくっていただくことができました。 故郷の生産者を応援したかったので、豚肉は熊本・やまあい村の9000坪の山中を走り回って育つ「走る豚」。牛肉は同じく熊本・阿蘇の大自然のなか、自生するススキや芝だけを食べて生きる通年放牧の「阿蘇赤うし」

          メンバーインタビューVol.7 洋食おがた 緒方博行

          メンバーインタビューVol.6 パーラー江古田 原田 浩次

          広島市に生まれ育ち、幼い頃から釣りが好きだったという原田浩次さん。「パーラー江古田」を開店してからも年に1度ほど、料理人仲間に誘われて海に出かけていました。「魚が少ない、釣れない」――船で見聞きし、漠然と感じていた海の変化が、事実、深刻なものであることを知ったのは、2017年に参加したChefs for the Blueの勉強会でした。 「思っていた以上に現状は厳しく、日本が世界に遅れを取っていることがわかりました」 曰く「人見知りで集団行動が苦手」な原田さんが、チームに

          メンバーインタビューVol.6 パーラー江古田 原田 浩次

          メンバーインタビューVol.5 研野 酒井 研野

          昨年娘が産まれ、親になったという酒井さん。それ以来、『つなぐ』ということに自然と意識が向くようになったと言います。 「幼少時代の記憶にはいつも、青森の祖母が仏壇に向かって先祖を拝む姿がありました。これまでがんばってきた多くの世代がつないでくださって、今、僕らには豊かな生活がある。そのバトンを未来の世代につなぐために僕らがすべきなのは、壊れてきていること、なくなりつつあることを元に戻していく努力だと思うんです」 海洋プラスチック問題を考え、使い捨てプラスチック製品をできるだ

          メンバーインタビューVol.5 研野 酒井 研野

          メンバーインタビューVol.4 FARO 能田 耕太郎

          イタリアで20年近く、現地料理界の最前線を走り続けた能田シェフが日本に戻り、始動した銀座「FARO(ファロ)」は、当初からコンセプトに“サステナブル”を掲げてきました。ですが、イタリアのスローフードの文化に親しんできた能田シェフは、日本のサステナブル・シーフードの取り組みに遅れと難しさを感じていると言います。 「イタリアでは肉をよく食べますが、実は天然の肉、つまりジビエに関しては資源管理のため、、州によってすでに禁猟措置が取られている種もあります。国民もシェフも、その状況や

          メンバーインタビューVol.4 FARO 能田 耕太郎

          メンバーインタビューVol.3 ラチュレ 室田拓人

          C-BlueメンバーインタビューVol.3は、「ラチュレ」の室田拓人シェフです。狩猟免許を持ち自らジビエを獲る室田さんは、昨今の山の変化を目の当たりにしてきました。海の問題も山の問題も、根っこでは繋がっています。自然と共生していくために、人が果たすべき役割について語っていただきました。 2009年に狩猟免許を取得した室田拓人シェフ。以来、猟期には毎週のように山に入り、その変化を見つめてきました。 温暖化の影響で北方から渡る鳥が減る一方、シカやイノシシなど四つ足の動物は増え

          メンバーインタビューVol.3 ラチュレ 室田拓人

          メンバーインタビューVol.2 てのしま 林亮平

          京都の老舗料亭「菊乃井」出身の林さん。和食のユネスコ無形文化遺産登録を実現させた主人の村田吉弘氏の右腕として、世界各地で日本料理を発信してきました。独立を機に日々向き合っているのは、日本各地で食べ継がれてきた知名度の低い地魚。その背景にある思いを聞きました。 「菊乃井」時代、世界各地で和食の魅力を発信する一方、日本の食文化の根本が揺らいでいることへの不安を感じていたという林さん。 担い手不足や資源の不足、生態系の変化が、日本のあらゆる一次産業で起きている。独立に向けて、日

          メンバーインタビューVol.2 てのしま 林亮平