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インゲンの食感はシャキッと食感派?それとも柔らかい派?

フランスで沢山の人に一番好かれている野菜は、生産量・品種・消費量が多く、調理法は無限にあるとと言っても過言ではないジャガイモだと思います。

どんな食材とも合わせやすく、料理の付け合せからメイン食材としても活躍の幅はとても広い食材。

安価で世界中どこでも、どんな料理にも使われているジャガイモは愛されるべき食材のひとつだと思います。

そんなジャガイモには及びませんが、通年フランス人が料理の付け合せに選ぶ野菜の中に必ずインゲンが入ると思っています。

インゲンはフランスで一年中購入できる野菜のひとつ。

フランス産のインゲンのシーズンは6月から10月。それ以外の冬から春にかけて購入できるフレッシュのインゲンはモロッコ産、もしくはケニア産のインゲンです。

しかし輸入物のインゲンは国産のインゲンに比べて1.5〜2倍位割高の値段になります。

そのような理由も含めて一般家庭ではフレッシュのインゲンよりも下処理の手間も少なくすぐに調理できる冷凍のインゲン、もしくはより安価で一年中スーパーで購入できる水煮缶や保存瓶のインゲンも多く消費されていると思います。

前回の記事で紹介させていただいた、皮をパリッと仕上げるチキンソテーの付け合せで使用したインゲンはフランス産のインゲンです。

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値段は1kgあたり2. 6€くらい。 

インゲンの調理法は、下茹でした後オリーブオイルで強火で炒めて、ニンニク・パセリ・バターと合わせて仕上げるシンプルな調理法です。

鶏もも肉をフライパンで焼いている際に出てきた鶏の油も一緒に合わせて、シンプルな調理法ながら満足感を充分に得られるインゲンのソテーはフランスでとてもポピュラーな調理法でもあります。

私は幼い頃の思い出のインゲン料理といえば、家庭料理に定番のインゲンの胡麻和えを一番に思い浮かべます。

煎った胡麻をすり鉢ですり潰し、砂糖と醤油を加えてから下茹でしたインゲンを絡めて作る思い出の料理です。甘しょっぱい味わいは胡麻の風味を引き立ててご飯のお供にもぴったりです。

それ以外にもサラダであったり、野菜炒めの食材のひとつとして使われるインゲン。

サラダや和え物にするならば、味付けする前に2〜3分と短時間だけ下茹でして、シャキシャキとする食感を残す下処理が好まれる傾向が多いと思います。

炒めものにするにしても、強い食感を活かすために下茹でしないで直接油で炒めることもあるでしょう。

日本では、インゲンをシャキとする食感を残すような下茹でや調理法が取られる事があると思います。

私も日本で働いていたときは、インゲンを下茹でするときは茹ですぎないように、シャキッと食感がしっかり残るように教わった記憶があります。

しかしこのインゲンの強い食感を残す茹で方は、フランスで同じように食感を活かして調理するとフランス人には火入れが不十分と認知され好まれません。

インゲンを使う料理は、フランスではしっかり下茹でして、シャキッとする噛みごたえのある食感ではなく、指で摘んでつぶれるくらいの柔らかさが好まれます。

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これはフランスで生活を始めたばかりの日本人の方が、レストランやフランス人の家庭料理で出てくるインゲン料理を食べて驚く食事体験のひとつです。

それではなぜフランスではインゲンは非常に柔らかい食感で調理されるのでしょうか?

(いや、そもそもなぜ我々日本人はシャキッとする食感のインゲンの調理法を選ぶのだろうかと初めに疑問が生まれるが、話が進まなくなるのでこの疑問は一旦しまっておきます。。)

これはあくまで個人的な見解ですが、一つにスーパーやマルシェで購入できるフレッシュのインゲンよりも、通年購入できるインゲンの水煮缶(もしくは水煮瓶)の存在があると思います。

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すでに下処理された状態で売られているので手間もなく、調理に取り掛かることができるので、フランス一般家庭の食卓の強い味方です。

長期保存が目的とされているので加熱は十分されており、非常に柔らかい食感です。そのため色合いは緑色というよりも色落ちして茶色くなっており、お世辞にも美味しそうな見た目をしているとは言えません。

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蓋を開けたら水を切り、油をひいたフライパンでソテーするだけ美味しく召し上げることができます。

『色落ちしてインゲンは美味しくなさそう』

『インゲンのクタッとする食感が苦手』

という方にはおすすめできません。

私は実際フランスに来たばかりで食費を節約していた当時は、インゲンの水煮缶に幾度かお世話になったことがあります。お肉を焼いた後のフライパンに残っている肉汁や油と合わせて温めるだけでも美味しかった印象があります。

最近では冷凍技術の進歩から、加熱済みで色鮮やかな冷凍インゲンもあります。こちらもフライパンや蒸し器を使って温めるだけで料理の付け合せやドレッシングと合わせてサラダにすることができる便利な商品です。

そしてこの水煮缶のインゲンは、長期保存ができる以外にも、フランスの家庭の食生活事情に大きく貢献していると思います。

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フランス一般家庭では休日やお祝い事(家族が揃う週末や家族の誕生日の際の食事は、手間も時間もたっぷりかけて料理を準備して、ゆっくり食事を楽しむスタイルです)でない限り、日本の一般家庭のように普段の食事から手間も時間もかけることは極めて稀だからです。

日本では、多くの家庭でご飯・汁物の他に、主菜・副菜とお皿ごとに異なる調理法、食材を使って普段から時間と手間をかけて作る家庭が多い印象があります。

しかしフランスではよっぽどの料理好きの方か、もしくは時間のある人でない限る、普段の食事に時間も手間をかけることはありません。(ただこれも近年のフランスの食生活事情や健康志向によって変わってきていると思いますが・・・)

夕食を例に上げると、フランスは働いている女性が多いため、冷凍のピザやキッシュ、惣菜にバゲットかパスタなど簡単に出せるものが一品と、あればちょっとしたサラダを付ける程度で、食卓は地味でシンプルです

料理を作る機会があったとしても、豚肉や鶏肉に塩・コショウして焼いたものと、付け合せは冷蔵庫にある野菜は茹でるか炒めるかのみのシンプルな調理法。

タレやマリネ液に数分漬けて調理に取り掛かるというような手間をかけません。

味付けも日本人みたいにいろいろなソースを作って味付けするというよりかは、塩・胡椒をしてバターと絡ませてレモン果汁を数滴垂らすくらい。

予めパン屋さんで購入しておいたバケットも添えれば、短時間で一皿に収まる食事の支度は完了です。

このように食事の支度に時間を割けないフランス人にとって、短時間でシンプルに料理を作ることはとても大切なことなのです。そのためインゲンの水煮缶のような便利で安価な加工食品が、昔から食卓にあがる傾向があったのだと思います。

水煮缶はインゲンに限らず、人参・ほうれん草・アスパラ・ブロッコリー・豆類など他の野菜も同じようにフランス家庭で活躍しています。これらの野菜もインゲンと同じようにしっかり火が入っているため非常に柔らかく、色合いは鮮やかさには欠けているものも珍しくありません。

すべてのフランス人が私の見解と一致するとは決して思いませんが、このような家庭環境の中で育ってきたフランス人の食生活事情から、柔らかく火の入った水煮缶のインゲンを昔から食べ慣れており、家庭の味・好んで食べていた食感として印象づいているのだと思います。

前回の記事で紹介したチキンソテーの付け合せのインゲンもまた、色鮮やかな緑色をしっかり残しながらもシャキっとする食感ではなく、柔らかくして下茹でをしてからニンニクとソテーする調理法を選択しました。

過去のYoutube動画の【インゲンと未完熟のマンゴーのサラダ仕立て】も同じように、インゲンは柔らかめに下茹でしてから味付けをしております。


インゲンの食感の違いをお話するために前置きが大変長くなりましたが、これらは私のフランス生活の体験や、友人のフランス人・職場の仲間の話から勝手に私が推測しただけのお話です。

フランスで食材やレシピに出会うたびに、生まれ育った環境や生活環境の違いから、環境が異なる場所で食べる料理には何気ない細部に驚きや発見が隠れていることに私は楽しみを見出しています。

今回は単なるインゲンの好みの食感のお話でしたが、似たようなお話はたくさんあるので、又勝手にお話させていただきたいと思います。

それではチキンソテーの付け合せにしたインゲンのソテー・ニンニク風味の作り方を紹介させていただきます。

【インゲンのソテー・ニンニク風味】
インゲン 200g
お湯 500cc(下茹で用)
塩 15g(下茹で用)
オリーブオイル 小さじ1

無塩バター 10g
ニンニクのみじん切り 5g
パセリのみじん切り 5g
黒胡椒
①インゲンは軸を少し切り落とし下茹でする。下茹でするお湯には、お湯の総量に対して3%の塩をする。湯で時間は8分。
②インゲンを湯から上げたら氷水に落として冷やして色止めをする。インゲンがしっかり冷えたら水気をしっかり切っておく
③強火にかけたフライパンにオリーブオイルを入れたら、②のインゲン・ニンニクのみじん切り、塩をしてサッと炒める。
④仕上げにバター、パセリのみじん切り、黒胡椒をする。(動画内ではチキンソテーから出た鶏もも肉の油も入れています。)

Youtube動画内でも詳しくインゲンの下準備とソテーの調理方法を説明していますので、気軽に遊びに来てください。

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Chef ichi




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