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ヒュッゲが育むコペンハーゲンの美食

2019年10月に妻と一緒に訪問したデンマークの首都・コペンハーゲン訪問記のお話です。

訪問の一番の目的は、「世界一のレストラン」に4度も輝いた経歴を持つnoma(ノーマ)で食事体験をすることでした。

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ノーマでの食事体験は、私の妻が【予約方法】から料理・サービスなどを【前編【後編】に分けて詳しくまとめて書いたブログ記事で紹介しております。

短い滞在日程の中で、少しでも多くの北欧食文化に触れる機会を私が望んでいたことから、5日間の滞在期間中に我々は地元の人にも愛されるレストランでの食事から、世界から注目される北欧料理を堪能できるレストランで食事をしました。

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滞在期間中の気温は10度を下回り天候も不安定な状態。街の中心地はレンガ造りで背の高い建物からなる街並みのせいなのか、見上げる空は狭く圧迫感さえ感じられ、低くて厚い雲はよりいっそう寒さを煽る印象を強く受けます。

デンマークの冬は暗く寒い期間が長く続きます。

厳しい寒さにどんよりした気候が長く続くため、心は閉鎖的になりやすく、人々は必然的に家の中で過ごす時間が長くなると言われています。

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そんなデンマークで暮らす人々の間にはヒュッゲという言葉が存在します。

ヒュッゲとは時間の過ごし方や心の持ち方を表す言葉。

くつろげる居心地の良い空間と時間、またはそんな時間を作り出すことによって自然と生まれる幸福感や充実感を示すそうです。

日が沈み暗くなり始めてから住宅地を歩いている時に、偶然覗くことができた家の明かりが、明るさより暖かさを優先しているようにも感じらたのも、ヒュッゲから生まれる幸福感や充実感を生み出すためっだたのかもしれません。

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実際ディナーで訪れた全てのレストランではテーブル席の手元は暗く、料理に少し目を凝らしてしまうほどです。

すると上体が前かがみになり自然と身を寄せ合うような動作をしていることに気付かされ、レストランの食事シーンからもヒュッゲの一部分を体感できたように感じられました。

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デンマークには戦争の歴史から【外で失ったものを内側から見いだす】
と言うような諺が生まれるように、街並みから個人一人ひとりの幸せや心地良さえ内側から作り出してきた背景があります。

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近年、料理業界の価値観は少しずつ変わり始めています。

高価で希少な食材を好きなように好きなだけ使用していた時代から、料理人が食材が育まれる環境を配慮する取り組みや、料理人自身の過酷な労働環境の改善に力を入れている方も増え始めてきました。

新しい時代が始まり、料理人が本当の意味で魅力的で豊かさを表現するためには、エシカル(環境保全や社会貢献)サスティナブル(持続可能な)な要素は無視できない時代でもあるのです。

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コペンハーゲンで注目を集めているレストランの多くは、エシカルでサスティナブルに力を注いだレストランを数多く見つけることができます。

そのため世界の美食の中心として名高い、フランスの高級レストランのような料理やサービスを期待して、拍子抜けしてしまったという話もよく耳にします。

例えば【世界一に4度輝いたレストラン】という情報のみを元に、提供される料理やサービスのみを期待してnomaを訪れると、本質的な魅力や楽しさは半分も伝わらないと思います。

暗く厳しい寒さが長く続くデンマークにおいて、ヒュッゲを大切にしながら外側からではなく内側から育まれてきた食文化を理解するひとつとして、nomaを含めたコペンハーゲンにあるレストランで食事することに価値や魅力を見いだせるからです。

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既に始まっている新しい時代の料理人の働き方や美食の表現方法は変わり始めています。

料理人が今までにない、新しいスタイルの働き方や活躍の場を生み出すには、個人で新しい価値観(社会的地位など)を見つけて創り出す必然性は避けられません。

国や地域、そして暮らしている環境によって美食の概念は異なるなかで、料理人の新しい価値観を築くためには、個人で抱いている今まで信じていた美食の概念を疑うことが、大きな一歩になると思います。

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そして食べる側だけでなく、料理人自身も得られる長期的な幸福感・充実感を生み出すヒントとして、デンマークに根付く【ヒュッゲ】に触れる体験は価値ある時間をもたらしてくれると思います。

短い滞在期間のコペンハーゲン訪問でしたが、新しい美食のカタチを創るヒントに出会えた美食体験でした。

YouTube動画では【noma】での食事体験動画も紹介しております。

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Chef Ichi

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