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海の表情が教えてくれること【その1】

私が2年前に生活の新しい場所として選んだフランス中西部の小さな町、シャテライヨン・プラージュ。大西洋を見渡せるこの町の生活で海を目にしない日はない。

海が見せてくれる表情は、時に私の心を大きく揺さぶる。

初夏から秋にかけて澄んだ空、穏やかな風が生み出す、優しい表情の海。

冬から春には、私が近づくことを拒むように荒々しく振る舞う姿。

どちらも私をその場に釘付けにさせられしまうほど、海の鼓動が伝わってくる。

毎日同じ場所から海の景色に目を凝らしても、日々異なる表情や景色は、季節、時間帯、潮の満ち引きや風向きで、その日、その時々海から伝わってくる鼓動は違ってくる。

私が望む海の表情を見るこができなくとも、それは海自身では仕方のないこと。

様々な要因が複雑に重なり同じ表情、鼓動を感じることはできない。

ただどんな表情・鼓動であれ、日々変化している海の表情を、私は自分の目に、そして心に焼き付ける。

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それはきっと今この瞬間の彼の姿こそが一番魅力的であると知っているからだと思う。

すると次第に私自身は、今の自分のあるがままを受け入れていることに気づかされるのだ。

それは私がフランスに来てから歩み、選んび、触れてきたガストロノミーの旅、人との出会い、移り住んできた街から、私が今できることの全てにまで。

海の表情・鼓動が私の心に伝わりだすと、毎日が違い、そして毎日が新しい日々なのだと確信できる。

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たとえ私が同じ場所を訪れ、同じようなものを選択しても、そこには新しい私の想いが込められはじめるからであろう。

目の前に広がる海に心を揺さぶられていると、私は忘れかけている遠い記憶の点と点を、少しずつ、少しずつ頭の中で結びつける作業を丁寧に積み重ね始めている。

『いつからなのだろうか・・・、自分が選択したことに誇りを持てるようになったのは。料理の道を選び、理想を胸に描いた時も、フランス料理に憧れ働き始めた時は、心はいつも不安と恐怖で一杯で、自分に自信なんて持つことさえできなかったのに。』

フランス料理の真理に触れたくて、渡仏先に選んだはじめの街でさえ、困難や悔しい経験をするたび、私は常に自分に問いかけるように、

『こんなはずでは』と、自分の選択してきたことに自信が持てない日々が続いた。

意識の変化、いや環境の変化が私に強制的に使命感を芽生えさせ、過去の苦い経験をしてきた記憶や街の印象まで変えてしまう。

今だから私はこう思うことができる。

それは当時ただ偶然に選んび始まった渡仏先の街での生活が、来るべきして、知るべきしてたどり着いた街なのだと。

その街は今から約11年前の2010年3月、フランス北部ノルマンディー地方の古都ルーアン。2カ月間と短い滞在だが、今では愛すべき当時の記憶となって、いつでも私の記憶から引き出せるように心の大切な場所に留めている。

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【海の表情が教えてくれること・その2】へ

続く。



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Chef ichi

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