愛すべき洋梨のタルト
本日は私の大好きなフランス菓子の一つ洋梨のタルトのお話です。
フランスは12月から冬に入ると洋梨が旬の季節を迎え、様々な品種の洋梨をスーパーやマルシェで容易に購入することができます。
今回は西洋梨のタルトの作り方からフランスで購入できる洋梨の品種や特徴、味わいの違いに焦点を絞ってお話させていただきます。
洋梨のタルトはフランス語でタルト・オー・ポワールです(Tarte aux Poire)。
タルト・オー・ポワールは別名、タルト・ブルダルー(Tarte Bourdalou)という呼ばれ方もされます。
これは1850年頃にパリのブルダルー通りに店を構えていたパティシエが考案したタルトとしてその名が付けられているからです。
パート・スクレ生地にクレーム・ダマンドを敷き、半分に切りスライスした洋梨を並べて焼き上げます。
バターとアーモンドのリッチな風味と洋梨の甘みが合わさり上品な香りの余韻を楽しませてくれるタルトです。
粗熱が取れて作りたてのタルトの味わいは格別です。パート・スクレ生地がサクサクする食感とバターとアーモンドの風味を強く感じられます。
また一晩休ませて生地がしっとりとして、ぽろりと口の中で崩れるような食感と柔らかい洋梨の一体感も魅力的です。
タルトに使用する洋梨は、完熟したものやシロップ煮にされて柔らかい状態の洋梨を使用しますが、りんごのようにシャキシャキした食感で完熟しきれていない状態のものを使用しても、薄めにスライスして焼き上げれば、仕上がりに食感が残り違った味わいで楽しめます。
ちなみに洋梨は樹上では完熟にならない果物で収穫後に追熟が必須の果物です。
スーパーの棚に並べられている洋梨も黄緑がかった硬い状態で陳列されているのが一般的です。
購入後すぐに食べることもできますが、その殆どがシャキシャキとするりんごのような食感で甘みも風味も弱いです。
そのため甘くてジューシーな味わいを楽しみたいのであれば5日から10日間程、常温で柔らかい布の上に保管しておく必要がありますが、そのたべ食べ頃の見極めが難しいのが洋梨です。
もちろんマルシェに行けば食べごろの洋梨を勧めてくれたり、スーパーでも別売りパッケージで保護され、熟した食べごろの状態の洋梨も売っています。
そのため使用する洋梨の状態や味わいが均一にできるように、洋梨をシロップ煮にしたり、既にシロップ煮にされた缶詰を使用するレシピ存在するのです。
【フランスで購入できる代表的な洋梨4種類】
スーパーやマルシェで一般的に購入できる洋梨を4種類紹介します。
①コンフェレンス種(Conference)
イギリス生まれのフランス語で会議を意味する洋梨。1885年イギリスで西洋梨協議会が開催されたとき最優秀品種に選ばれたのを記念して命名されたそうです。ヨーロッパで最も栽培されています。長細くて黄緑色の皮と引き締まりザラザラする独特の果肉に甘みが特徴的です。
②アバテ種(Abate)
フェテル神父がいろいろな種を蒔いて発見されたフランス生まれの品種。
コンフェランス種に見た目は似ていますが芯部分に柔らかい酸味があり、甘みも上品。和梨ほどみずみずしくはないが食感・風味は和梨に近い印象。
【アベ・フェテル】・【アバテ・フェテル】などの呼び名も存在します。
③ドワイエンヌ・デュ・コミス種(Doyenne du Comice)
1849年にフランスはロワール地域のアンジェで誕生した西洋梨です
完熟したコミスは果汁が滴るほどジューシーでとろけるような舌触り。
強い甘みと適度な酸味があり、芳香が風味と余韻が魅力です。
④ウィリアムズ種(Williams)
日本ではバートレット種と呼ばれている品種。とってもジューシーで和梨のように口に残るザラザラする食感が少ないです。なめらかな舌触りと、とろけるような食感。上品な甘み・繊細な酸味が魅力的です。
西洋梨の中でも完熟した時の芳醇な香りが強いのが特徴です。
食べごろになり、黄色くなってきたら優しく触れないと触れた部分から黒ずみ始め痛みが早くなったきますが、下の写真のように少し黒ずんで来たくらいが果肉も柔らかく甘みもまして完熟し始めた頃合いです。
YouTube動画内で使用した洋梨の品種は、焼き上げた後も優しい酸味・洋梨の芳醇な香りが強く残るウィリアムズ種(バートレット種)を選択しました。
購入時の皮の色は黄緑色でしたが、自宅で7日間追熟させてしっかり皮が黄色くなり熟した状態のウィリアムズ種を使用しております。
それではレシピを紹介します。
【材料と分量】18cmタルト型
西洋梨(ウイリアムズ種)2個 (シロップ煮でも可)
【パート・シュクレ】
無塩バター 60g
粉糖 35g
全卵 25g
薄力粉 120g
【クレーム・ダマンド】
無塩バター 50g
粉糖 50g
全卵 50g
アーモンドパウダー 50g
コーンスターチ 3g
アプリコットジャム
ピスタチオ
【作り方】
①:パート・スクレ生地を作る。常温にもどした柔らかいバターと粉糖を混ぜる。
②:全卵を2〜3回に分けて少しずつ①に加えよく混ぜ、薄力粉を振るって入れて生地をまとめる
③:生地をラップで包み冷蔵庫で3〜4時間冷やす
④:クレームダマンドを作る。柔らかいバターに砂糖を加え、溶き卵を分離しないように少しずつ混ぜる。
⑤:アーモンドプードルとコーンスターチを加えて混ぜる。
⑥:③のパート・スクレ生地を冷蔵庫から出して、麺棒で18cm型よりも大きく伸ばして型に生地を敷く。フォークで穴を空けてから、クレーム・ダマンドを入れて平らにならす
⑦:櫛形にカットした西洋梨をタルトの上にまんべんなく敷き詰める
⑧:180℃のオーブンで35〜40分焼く
⑬:粗熱が取れたらアプリコットジャムを表面全体に刷毛を使って薄く塗り、ピスタチオを飾る
YouTube動画内で調理工程を紹介しております。
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Chef Ichi
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