2024年2月に読んだ小説11冊

今月に読んだ小説を短い感想を添えて記録しておきます。以前感想をnoteに投稿したものに関してはリンクを貼っておきます。


『52ヘルツのクジラたち』/ 町田そのこ


『檸檬』/ 梶井基次郎

何かひとつのきっかけで心が軽くなる経験は私にもある。それがこの人にとっては檸檬だったのだろう。周りから見ればそれだけでと思われるかもしれないけれどそれで私の心を救ってくれるのなら大切にした方がいいのだと思った。

『ぼくはなにいろ』/ 黒田小暑

他の人に対しては千尋のように「相手がどんな心の闇を抱えていようとそれを分かち合って一緒に幸せになりたい」と思う一方で私自身に対しては祥司のように、「私と一緒にいると相手は幸せになれないから私じゃない誰かと幸せになってほしい」と突き放してしまう気持ちが痛いほど共感できた。

『変身』/フランツ・カフカ

ある日突然当たり前に出来ていたことが当たり前に出来なくなったらどうするのだろう。周囲の理解を得るにはどのように何をすればいいのだろうか。傷つけられることに慣れると痛みに鈍感になるけどそれは痛みがなくなったわけではなく、致命傷に気がつけなくなるのではないかと感じた。

『山月記』/ 中島敦

言語化が上手くなりたいという割には学んだり書いたり大した努力も出来ていないくせにその理由を別に自分のためだからこれでいいんだ、と現状維持の言い訳ばかりが上手くなる私にとってはいつ読んでも耳が痛いけど定期的に読み返す意義がある本だと思う。

『高瀬舟』/ 森鴎外

苦しみから解放するための殺人だったとしても罰せられなければならないのはそれを理由としての殺人が増えてしまうからだと思う。安楽死も同様に合法的に強者が弱者を排除できるシステムになる可能性がある以上そこを整備するまでは難しいよね。でも自死したいほど苦しんでいる人たちのその辛さはどうするの?

『人間失格』/ 太宰治

世間や人間の定義をどうするかによって私たちはすぐにでも人間失格の烙印を押せるのだろう。どんなに周囲の人から称賛されたり尊敬されている人でもその当人がそれを認められなければ人間失格だと思ってしまうこともある。外と内の温度差がありすぎると苦しいのかもしれない。


『こころ』/ 夏目漱石

高校の時に教科書で一部分だけ読んだ時からいつか全て読んでみたいと思っていたのでいい機会だった。それに至るまでの感情や思考に共感してしまうのは高校生の頃と違ってそれが選択肢になってしまったからだと思う。

『むらさきのスカートの女』/ 今村夏子


『傲慢と善良』/ 辻村深月


『正欲』/ 朝井リョウ




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