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推しの世界遺産~ラリベラの岩の聖堂群~

非常にマイナーな観光名所でありながら、とある界隈にとっては最初に接する物件がある。それがエチオピアにあるラリベラの岩の聖堂群だ。聞いたことない方も多いかと思うが、これは世界遺産検定界隈ではまず最初に触れる遺産である。

なぜならば、世界で最初に登録された世界遺産だからだ。1978年、ユネスコ総会で採択された世界遺産条約に基づき、顕著な普遍的価値を有する遺産として12件が登録された。

【最初に登録された世界遺産】
アーヘンの大聖堂(ドイツ)
クラクフの歴史地区(ポーランド)
ヴィエリチカとボフニャの王立岩塩坑(ポーランド)
シミエン国立公園(エチオピア)
ラリベラの岩の聖堂群(エチオピア)
ゴレ島(セネガル)
メサ・ヴェルデ国立公園(アメリカ)
イエローストーン国立公園(アメリカ)
ランス・オー・メドー国立歴史公園(カナダ)
ナハニ国立公園(カナダ)
ガラパゴス諸島(エクアドル)
キトの市街(エクアドル)

エチオピアからは2件登録されたのだが、そのうちのひとつラリベラの岩の聖堂群は一度見たら忘れられないヴィジュアルをしている。岩を掘ってまるで、ゲームの十字キーのような形をしたギョルギス聖堂は世界遺産の勉強をした人なら思わず行ってみたくなるだろう。

ラリベラの岩の聖堂群は12~13世紀ごろにザグウェ朝7代国王であるラリベラの命により建設された11からなる岩窟キリスト教会群だ。キリスト教を深く信仰するラリベラが新たなるエルサレムとして建造したと考えられている。赤褐色の凝灰岩をくりぬいて建造した建築手法には謎が多く、当時どのような方法でこれだけ大規模な建造が行われたかは明らかにされていない。

エルサレムを意識しているため、周辺の地もそれにちなんだ呼び方がされており、教会の近くを流れる川を「ヨルダン」と呼んでいる。また、ラリベラが埋葬されたと伝えられている教会は、キリストが磔刑された場にちなみ「ゴルゴタ」と称されている。

戦禍や環境変化により劣化が進んでいる遺跡でもあるが、オーバーツーリズムにも悩まされている。産業がないラリベラにとって観光は唯一の資源であり、それが遺産の劣化を進めているとのこと。

また、このような劣化に対する応急処置が不十分であることも問題視されている。教会群を雨水から守るためにトタン屋根をかける方法がとられているのだが、外観を損なう形となっているとのこと。

世界遺産検定マイスターを取った者として、コロナ禍を経た現在、ラリベラの岩の聖堂群がどのような形で保護されているのかも含めて見てみたいものがある。なによりも、あの地中に掘られた十字の中に入ってみたいのだ。

参考資料

・すべてがわかる世界遺産大事典<上>
・エチオピアを知るための50章


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