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【映画批評】『マッドマックス フュリオサ』生を掴み死を回避するための「拾う」行為について【ネタバレあり】
荒野を車が走る。復讐や執念が茹だるような暑さの中で滾る。一般的にこのような作品のことを「現代西部劇」と呼ぶ。西部劇における馬が車に置き換わっていることから「現代」とつくのだろう。しかし、馬から車に変わっただけで西部劇になるのだろうか?また、馬と車の違いを考慮して「現代の」西部劇になっているのだろうか?今まで、「現代西部劇」はイメージのしやすさもあってか厳密に定義されてこなかったような気がする。そ
もっとみる「デカ女ブーム(≒高身長女子or巨女)」をフィクションから考察する
ここ数日、Xで「デカ女ブーム」がトレンドに入っている。どうやら高身長な女性に対して性的眼差しを向けるポストが発端のようだ。そして、「デカ女」には身長170~200cmの現実的なものから『シン・ウルトラマン』の長澤まさみのような特撮レベルの女性、さらには胸や尻が大きい女性と様々なニュアンスが含まれているらしく、あらゆる「デカ女」性癖を持つ方々がお気持ち表明や界隈布教のポストをした結果、一時期数万に
もっとみる【映画批評】デヴィッド・クローネンバーグの形而上学
デヴィッド・クローネンバーグほど、数年後のライフスタイルを予知した監督はいないだろう。
たとえば、ドン・デリーロの同名小説を映画化した『コズモポリス』では、若き投資家がリムジンバスに乗りながら外の世界の混沌を眺めている様子が描かれている作品である。人々は、株価などの数字に一喜一憂する。ロバート・パティンソン演じる投資で莫大な富を得た男はリムジンで床屋へ向かう途中に人民元の相場が変動し窮地に陥
なぜ炎上しているアイツがパンフレットの寄稿をしているのか問題に関する考察
最近、Xにて「なんでSNSで酷いこと言っている人が映画のパンフレットに寄稿しているの問題」について話題となっている。
「〜氏がパンフレットに寄稿しているなら買わない」
「なんで差別的発言をしている〜氏を映画会社は宣伝に起用するのか」
といった声をよく耳にする。
ふと、そのメカニズムが頭に浮かんだのでポストしてみたところ、2.4万インプレッションもの反響があった。先日、アニメ系ライターのヒ
[翻訳]アリーチェ・ロルヴァケルのお気に入り映画50選
映画サイト"LaCinetek"にて、『墓泥棒と失われた女神』『幸福なラザロ』のアリーチェ・ロルヴァケル監督の好きな作品50選がアップされていたので翻訳してみた。
1.落ち葉(1912、アリス・ギィ)
2.Charlot - The Mutual Comedies - Program 3(1916、チャールズ・チャップリン)
3.生恋死恋(1917、ヴィクトル・シェストレム)
4.ストライキ(1
『関心領域』の邦題がSNSマーケティング観点でいかに優れているかについて
0.ジョナサン・グレイザーが放つ問題作『関心領域』が公開中 5月24日(金)よりホロコーストを題材とした『関心領域』が公開され話題となっている。本作は2024年のカンヌ国際映画祭にてグランプリを受賞したほか、第96回アカデミー賞では国際長編映画賞、音響賞を受賞している。
ホロコーストを題材にした作品は毎年のように日本で公開され話題となっている訳だが、本作はいつも以上の盛り上がりを魅せている。
[翻訳]ミゲル・ゴメスのお気に入り映画50選
映画サイト"LaCinetek"にて、『熱波』『Grand Tour』のミゲル・ゴメス監督の好きな作品50選がアップされていたので翻訳してみた。
1.アニキ・ボボ(1942、マノエル・ド・オリヴェイラ)
2.The Hunt(1963、マノエル・ド・オリヴェイラ)
3.春の劇(1963、マノエル・ド・オリヴェイラ)
4.Fated Love(1978、マノエル・ド・オリヴェイラ)
5.フランシス
推しの世界遺産~ラリベラの岩の聖堂群~
非常にマイナーな観光名所でありながら、とある界隈にとっては最初に接する物件がある。それがエチオピアにあるラリベラの岩の聖堂群だ。聞いたことない方も多いかと思うが、これは世界遺産検定界隈ではまず最初に触れる遺産である。
なぜならば、世界で最初に登録された世界遺産だからだ。1978年、ユネスコ総会で採択された世界遺産条約に基づき、顕著な普遍的価値を有する遺産として12件が登録された。
【最初に登録
[翻訳]シャンタル・アケルマンのお気に入り映画47選
映画サイト"LaCinetek"にて、『ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』のシャンタル・アケルマン監督の好きな作品47選がアップされていたので翻訳してみた。
1.気狂いピエロ(ジャン=リュック・ゴダール、1965)
2.中央地帯(マイケル・スノウ、1971)
3.スリ(ロベール・ブレッソン、1959)
4.めまい(アルフレッド・ヒッチコック、1957)
5.
[翻訳]ダリオ・アルジェントのお気に入り映画57選
映画サイト"LaCinetek"にて、『サスペリア』『ダークグラス』のダリオ・アルジェント監督の好きな作品57選がアップされていたので翻訳してみた。
1.カビリア(ジョヴァンニ・パストローネ、1914)
2.イントレランス(D・W・グリフィス、1916)
3.吸血鬼ノスフェラトゥ(F・W・ムルナウ、1922)
4.メトロポリス(フリッツ・ラング、1927)
5.キートンのカメラマン(バスター・キ
[翻訳]アベル・フェラーラのお気に入り映画49選
映画サイト"LaCinetek"にて、『天使の復讐』『バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト』のアベル・フェラーラ監督の好きな作品49選がアップされていたので翻訳してみた。
1.地球の静止する日(ロバート・ワイズ、1951)
2.マックイーンの絶対の危機(アービン・S・イヤワース・Jr.、1958)
3.ボディ・スナッチャー/恐怖の街(ドン・シーゲル、1956)
4.三人の女(ロバート・