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【会社案内】農事組合法人茶屋ファーム


■ 私たちが目指すもの -利賀のそばを全国へ-

 利賀村はそば祭りが開催されるなどで、そばで有名だったりしますが、農業としては実際のところ盛んではなく生産量がとても低いです。そのため利賀産のそば粉はほぼ出回っておらず、純粋に利賀そばと呼べるものを食べられるのは、村に一軒だけある蕎麦屋さんにお越しいただくしか方法はないです。

 せっかく知名度があって、求めてくださる方が大勢見込めているのに有効な手立てを打てていないというのは勿体ない、と兼ねてから思っていました。そばの生産に本腰が入っていないのには様々な理由があるのですが、この度そこへ思い切って手を突っ込んでみようと思い立ちました。

 利賀で育んだそばを多くの方にお届けすることが、耕作地が保持されたり雇用が生まれたりして、村を守ることにつながっていくのではないかと考えています。

 どんなことをしようとしているのか、もう少し細かいことについて広報誌『茶屋のお便り』に掲載しております。前半と後半があります。併せてお読みくださると、私ども茶屋ファームについてより深くご理解をいただけると思います。ぜひ、ご覧いただけると幸いです。

■ 農事組合法人茶屋ファーム設立の経緯

 本当はもっと利賀村として一体感のある取り組みが必要だと思っていました。1次産業、2次産業、3次産業のギアを嚙み合わせて、例えば長野県の戸隠村を目指してみるとか。

〇 不本意な意見の相違

 ただ残念ながら力不足で、ひとまず小さく始めてみようと考えるに至りました。設立の経緯は正直なところ、あまり微笑ましい話ではありません。オープンにする内容ではないとも思いますが、私の思想の根幹に触れる部分もありますので話を進めていきます。

 私は利賀村農業の中核的な機能を果たす営農組織に勤めていたのですが、今後の方針を巡って考え方が別れてしまいました。簡単に言うと「現状維持」か「変革」かです。よくある構図ですよね。

『「維持するのも大変」というのは分かったうえで。』

〇 「現状維持」という考え方

 意見を衝突させてしまった方のお考えは、『新しいことにチャレンジするようなリスクを取ることはせず、最低限の作業にとどめて、暇ができれば仕事を休みにすることで人件費を削減して組織の維持を図る』というものだったかと(私なりの要約では)思います。

 現実的と言えばそうかもしれません。方向性の相違なので、どちらかが正しくて、どちらかが間違えているといったことではないという前提の上で、私はこれには同意することができませんでした。

 理由はまず、仕事として面白くも何ともない。ただ前の年と同じことを今年も繰り返すだけ。そして肝心なことは未来を微塵も感じられないということ。

 営農組織の収入の柱は、米の販売代金と補助金、作業委託料の3本でした。しかし、

  • 米の買取価格は下落基調で底打ちの気配がない。

  • 補助金は高品質の農産物をたくさん生産する創意工夫のある農家に手厚く交付される制度設計になってきている。

  • 高齢化により引退する農家が増え、田植えや稲刈りなどの作業委託料も減少の一途。

 といったように、何もしなければ「衰退」です。現状を維持するにも成長しなければなりません。

『下手すれば、近未来。』

〇 「変革」という理想論

 私はメリハリが大切で、抑えるところは抑えて勝負するところは勝負すべきだと考えていました。費用をかけるべきところには思い切って費用をかけて増収増益を目指さないと先がありません。

 ですが、実現不可能な理想論という受け取り方をされたようです。自分の考えを伝える力が全く足りてなかったです。平行線のまま妥協点を見出すことができませんでした。ただ、だからと言って自分の気持ちを押し殺して「現状維持」の道を進むというのは、どうしても選べない選択肢でした。

 利賀村は豪雪地域なので、冬は営農組織から離れて除雪の仕事をしているのですが「農業は続けたいけど利賀村では無理か。」「村を出た方がいいのかな。」「環境変えてゼロからリスタートか。」「春から本当にどうしよう。」と悶々と悩んでいました。

『「理想」の甘い罠。』

〇 光明

 私は移住者で土地も農機もないし大した資金もないので、完全に詰んだ状態で絶望していました。ただ、そんな姿を見るに見かねたのか「自分の畑を使っていい」という方が現れたり、トラクターを格安で譲ってくれる方が現れたりしました。一筋の光が差したような感じがしました。

 ちょっとでも経費を抑えようと、行政書士さんに依頼せずに自力で必要書類を揃えて茶屋ファームを設立しました。やればできるものですね。人に触れ、自分を突き動かすものがあったのだろうなとも思います。

 個人農家ではなく農事組合法人の形態を選んだのは、企業として体力をつけて、いつか件の「現状維持」が崩れたときに業務を引き継げるようになっておきたいという思いからです。

 耕作放棄地はあっという間に野に帰り、ものすごい勢いで荒廃感が漂いはじめます。個人的には人の管理が行き届いたところに、人と自然の調和の美しさがあると思っています。

 やりがいを感じられるような職場を整えて、人生設計をしっかりと立てられるような給料を支払うことができて、未来を担う若い方々に来てもらえるような企業になって利賀村に根差したいと思っています。そば作りはその第1歩です。

『でも正直、不安でいっぱい。』

■ 耕地面積、機械・設備

〇 耕地面積

・そば畑 ⇒ 3.4ヘクタール
・とうもろこし ⇒ 0.2ヘクタール
・さつまいも ⇒ 0.1ヘクタール

〇 機械・設備

・トラクター2台 ・播種機
 刈り取りや乾燥・調製は農事組合法人とがファームさんにお願いしています。近々、玄そばの保管設備や6次産業化に向けて加工室などの設備投資を行う予定です。

■ 終わりに

 読むに堪えないような愚痴っぽい内容も含んでしまいましたが、ざっとこのような感じで農事組合法人茶屋ファームを設立するに至りました。

 ぐだぐだと語ってきましたが、簡潔に言ってしまえば「先は明るい。」と思いながら楽しく働いていきたいです。関わってくださる方と思いを共有しながら努力をしていきたいです。まだまだ前途多難な様相を呈していますが、ここで茶屋ファームを知っていただけましたのも何かの縁ですので、応援していただけたら幸いです。

 このブログでは活動報告を中心に、特に書くことがないときは組合員の人となりが垣間見えるようなこともポツポツ出していこうと思っています。ぜひお付き合いくださいませ。当ファームにご興味を持っていただけましたら「スキ」や「フォロー」もよろしくお願いいたします。「コメント」もお待ちしております。お気軽にどうぞ。

 X(twitter)もやっていますので、こちらも是非お願いします。⇒ https://twitter.com/chaya_farm

令和5年11月9日

農事組合法人茶屋ファーム
代表理事 吉田 信一郎

〒939-2507
富山県南砺市利賀村178-1
✉:chaya-farm@outlook.com

フリー素材ぱくたそ(https://www.pakutaso.com/

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