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■新宿まちあるき■変わり続ける街を眺める(2024年5月)

2022年の年末に、「まいまい東京」という街歩きを多く手掛ける団体から、土木系の街歩きガイドをお願いされ、2023年の5月に新宿の街をぐるりと回る街歩きのツアーを初めて実施しました。それに続いて、2023年9月に2回目を実施。そして、2024年6月16日に、3回目のガイドを実施することになりました。

同じコースを歩くというと、季節や時間帯で少し雰囲気が違うだけ・・のような気もしなくはないですが、この、新宿界隈は現在再開発工事が本格化しているので、特に新宿西口は毎回その姿がどんどん変わってきています。今回のツアーの下見を兼ねて、今一度同じコースを巡ってみました。

■コースルートの案内(2022年12月の投稿記事から)

コースのルートは、2022年12月に作成した、この記事で辿ったルートとほとんど変わっていません。

当時の記事で案内している、コースのルートはこちらです。

新宿西口からスタートして、時計回りに代々木を回り、新宿南口に戻るルート。

■コースルート
【集合】 新宿駅西口地下広場 → ①新宿西口(歩道橋上から)
  → ②角筈ガード(旧青梅街道) → ③新宿駅東口広場(地下道)
  → ④歌舞伎町バス停(旧:角筈バス停) → ⑤新宿区役所
  → ⑥ゴールデン街(都電廃線跡) → ⑦花園神社
  → ⑧新宿追分(京王廃線跡) → ⑨新宿高校(玉川上水遺構)
  → ⑩新宿駅新南口(貨物駅跡) → ⑪厩道踏切
  → ⑫代々木駅前(国旗掲揚台) → ⑬小田急南新宿駅
  → ⑭千駄ヶ谷橋跡(玉川上水) → ⑮葵橋跡(石碑)
  → ⑯新宿駅南口(歩道橋)【解散】
  距離:約4.0km

2022年12月の西口広場。
まだ小田急百貨店のビルは、営業当時とほぼ変わりません。

■2023年4月の時点で、既に変化し始めた新宿西口界隈

このツアーを何度か実施している中でのトピックは、何と言っても新宿西口の変貌です。初めてのガイドツアーは、2023年5月に開催されました。それに先立ち、4月に下見をした際の状況は、こちらのようでした。

2022年10月に閉鎖された小田急百貨店。2022年末の時点ではほぼ営業当時の姿を保っていましたが、2023年4月になると、建物の周りに足場が設置され、タワークレーンが設置されて、いよいよこれから解体本番、というところでした。

2023年4月の小田急百貨店。足場が設置され、タワークレーンが装備され
いよいよ解体本格化、というところでした。

■さらに工事が進んだ、2023年9月

そして、2023年9月の状況です。ビルの解体が進んでいて、北側半分のビルの形が無くなってきた様子です。

2023年9月。ビルの形が無くなってきて、東口のルミネエストが
少し見え始めた状況です。

■そして、2024年5月の新宿は・・

こういう前置きを踏まえて、今月の状況をお伝えしようと思います。まず、小田急百貨店はというと・・、

はい、ご覧の通りすっかり地上部分は姿を消してしまいました。
まるでルミネエスト(注:東口の駅ビルです)が
小田急百貨店?と錯覚してしまうほど、すっかり何もない駅前。
カリヨン橋という、小田急百貨店と小田急ハルクを連絡する
歩道橋も、すっかり撤去されてしまいました。
百貨店があった、地上の通路も何だか様変わり。
西口ロータリーの上には、大きな構台が出現。

この構台は、西口と東口を結ぶデッキがこれから施工される予定なのですが、その工事のための作業構台なのだそうです。

すっかり小田急百貨店の建物が姿を消し、仮設構台が姿を現した西口駅前。これでやっと新しいビルが建つ、と思いきや、まだまだ忘れてはいけない解体を進めないと、次になかなか進めないと思います。

おお、そういえば、地下はまだまだ解体できていないじゃないか・・。
しかも、日中は大勢の乗降客で賑わう地下通路。
南側は、地上と地下に小田急電鉄の駅もありますね。
そういえば、ビルの北側の真下には、
東京メトロ丸ノ内線も走っているという・・。

こんな感じで、小田急線や地下鉄丸ノ内線を背負いながら、また、西口地下広場を行き交う人の波を捌きながら、少しずつ地下を解体し、新しいビルの基礎を作り始めるという、気の遠くなるような作業が、少しずつ続けられているのです。そういう意味で、新宿西口の地下は、これからもめまぐるしく通路の形状が変わり続け、閉鎖された部分で、地道に工事が続けられていくことになります。そんな場所の一場面を歩くことで、壮大な再開発プロジェクトの一つの断面を知ることができると思います。

■変化する新宿周辺の今

さて、せっかくなので、下見で歩いたルートのその他の部分の今の姿もご紹介しておきましょう。新しいものと、変わらないもののコントラストもなかなか楽しいです。

小田急ハルクの横のメトロ出入口の送水口は、
いまだに「営団地下鉄丸ノ内線」を名乗っていました。
再開発で湧く西口のバス降車場のバス停。
とってもレトロな停留所です。
この道は、旧青梅街道。大きな変化はありません。
新宿東口広場の馬水槽は相変わらず。淀橋浄水場が廃止され、
ルミネエストのビルができた際に記念に移設されたもの。
東口地下駐車場の夜間通路。
なかなか不思議で興味深い出入口です。
出た先が、なぜか横断歩道等に行きつかない、不思議な通路。
東口の地下通路には、ひっそりと施工に関係した
会社の名前が並びます。躯体工事は間組の施工だったようです。
丸ノ内線の通路。ここから柱が2本になるところがポイント。
かつてはこの真下付近に仮ホームが設置されていました。
こちら、新宿サブナード。歌舞伎町に向けて
だんだん標高が下がっていくことがポイント。

新宿駅付近は、地形的にはちょうど渋谷川と神田川の水系の分水嶺に当たる場所で、尾根になっています。その尾根筋に玉川上水が通っているのが、過去の姿。歌舞伎町は神田川水系の谷筋に作られた歓楽街なのです。

新宿区役所。構造設計が内藤多仲(東京タワー等を設計した人)、
意匠設計は早稲田大学明石研究室。免震化され、少し曳家して改築されました。
こちらの遊歩道は、元・都電の廃線敷を流用したもの。
そして、ゴールデン街の横に広がる、花園神社へ。
こちらには、東京を襲った1945年5月の空襲で焼けた神社の
復興記念碑が建ちます。
そんな境内の一角では、何とレトロな芝居小屋が。
この芝居小屋、神社の戦災復興支援が由来なのだそうです。
大鶴義丹さんの父親の唐十郎さん率いる劇団ですが、
先日唐さんがお亡くなりになられたようです。

新宿三丁目の伊勢丹。こちらは変わらずの老舗百貨店です。

伊勢丹は、今も変わらず、新宿を代表する店舗の一つですね。
そして、新宿高校の敷地内には・・、
玉川上水の橋の親柱と、暗渠の石樋が保存されています。
こちら、新宿駅新南口の、「貨物」のプレート。
まだまだそのまま残っています。
こちらは、タカシマヤの少し南にある、高速バスの待機場所。
一時期、ここが「新宿駅のJRバスのターミナル」だった時期も。
「うまや道公園」という名前は健在。
古くからあるこの地の地名の名残です。
その近くにある、DoCoMoマンホールは健在ですが、
あれれ、さては・・、激アツ看板が・・消えた・・。

(これは昨年4月の投稿の写真)

昭和の貨物駅の線路が記載されたままの、街区掲示板。
今になって、古かったことに管理者が気づいたのでしょうか??
厩道踏切、成田エクスプレスの通過待ちです。
中央線が埼京線の線路を跨ぐ部分。なかなかしびれる斜角です。
代々木駅。お隣、新宿とは随分感じが違う駅です。
少し路地に入ると、細い坂道が集まる場所が。
バックのドコモのタワーが代々木を象徴しています。
そして、南新宿駅周辺は、何とも言えない不思議な街角。
そんな中に残る、小田急の旧本社ビル。
そして、玉川上水と交わる場所にある、千駄ヶ谷橋の親柱の名残。
玉川上水と京王線が地下に走る通りです。

そして、ゴール間近にあるのが、この解体工事の仮囲い。

新宿駅の甲州街道南側でも、再開発工事が進みます。

この場所、玉川上水が流れていたことを示す、こんなプレートがビルの中にひっそりとありました。

(昨年4月の探訪時に確認したプレート)

葵橋の記、と称したプレート。
残念ながら、過去のものになりました。
新線新宿駅の入口も、工事のため閉鎖されました。
その片隅に、「地下鉄10号線」の消火水栓が。
都営新宿線と名がつく前の名称のままです。
そして、週末の新宿駅南口にゴール。
この風景も、これから変わっていくのでしょうか。

■終わりに

新宿駅付近を一周するウォーキングコース、3回目ですが、1年前と随分変わってしまった部分もあり、残念ながらそれをもう見ることはできません。とはいえ、新たに見ることができる風景も、出現しているので、そのコントラストを楽しみながら、歩いていくようにしたいと思います。

激アツの再開発スポット、新宿から、これからも目が離せません!

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