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『アバター/ウェイ・オブ・ウォーター』キャメロンのビジョン優先主義の到達点

監督
ジェームズ・キャメロン
脚本
ジェームズ・キャメロン
ジョシュ・フリードマン
原案
ジェームズ・キャメロン
リック・ジャッファ
アマンダ・シルヴァー
製作
ジェームズ・キャメロン
ジョン・ランドー
出演者
サム・ワーシントン
ゾーイ・サルダナ
シガニー・ウィーバー
スティーヴン・ラング
ケイト・ウィンスレット
音楽
サイモン・フラングレン
撮影
ラッセル・カーペンター

『アバター』(2009)でジェームズ・キャメロンは3D上映という形式を用いて世界の映画界に革新をもたらそうとしたが、ようやく今作『アバター/ウェイ・オブ・ウォーター』にて、彼のビジョンは一つの到達点を向かえた。新たな武器であるHFR3Dを携えて。

HFR3Dとは1秒毎に48コマを表示する(通常の上映形態であれば24コマ)3D上映形式であるが、『ウェイ・オブ・ウォーター』はこの上映形式とシンクロすることによって凄まじい臨場感・没入感を観客に体感させることに成功した。
前作には無かった流れる様な海中の遊泳シーン、惑星パンドラに生息するクリーチャーとの戯れの実在感やアクションシーンの躍動感など、僕はあまりの映像の美しさに恍惚としてしまった。

だが、これは近年のキャメロンのビジョン優先主義や、物語の大半が前作の焼き直しであることが弊害したせいもあってか、展開がとても鈍重になっている。
前述した通り、耽美な映像が連続するのはとて素晴らしいのだが、あまりにストーリーと関係のない映像が連続して続くので、まるでナショナル・ジオグラフィックの惑星パンドラ回を見せられているようで、やや退屈だ。

そしてこれは今作の最大の問題点であるが、主人公であるジェイク・サリー(演:サム・ワーシントン)がパターナリズム(=家父長制)の権化ともいえるような言動を繰り返すので、2022年の世界の観客からみれば感情移入できず、とてもノイズになってしまうであろう。





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