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年末回顧

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「読書この一年」「映画鑑賞この一年」などの年末回顧企画です。
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2023 映画鑑賞この一年

 2023年に見た映画は延べ130本でした。昨年比5本増とほぼ変わらぬ鑑賞頻度でしたが、その中身は大きく変わり、今年は大半が旧作となりました。そこで今年の「映画鑑賞この一年」は印象深い旧作の上映イベントを振り返りたいと思います。 ジョン・カサヴェテス レトロスペクティヴ リプリーズ(6月24日~/渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国ロードショー)  濱口竜介が影響を受けた監督として必ず名を挙げるジョン・カサヴェテスの特集上映です。  中でも特に衝撃を受けたのは『チャ

2023 読書この一年

 今年の読了冊数は86冊でした。昨年よりも約10冊減りました。なかなか読書のタイミングが取れなくなりつつありますが、それでも、時折恵まれる収穫には熱中してしまうものです。  今年読んだ本の中から特に印象に残った9冊をご紹介します。なお、「今年読んだ本」ですので、昨年までに発売された本も含まれます。 『家政婦の歴史』 今年の新書で一番の収穫は、濱口桂一郎『家政婦の歴史』(文春新書、7月発売、8月15日読了)でした。家政婦が、労働基準法による保護から漏れるに至る過程を、まるで

2022 読書この一年

※2022年12月31日にCharlieInTheFogで公開した記事(元リンク)を転載したものです。  今年の読了冊数は98冊でした。映画熱の高まりにより読書活動は退潮気味で、読む本も仕事に関係のある、雇用、社会保障関係の本に比重が傾きました。 『雇用か賃金か 日本の選択』 あえて今年一番おもしろかった本を挙げるとすれば、首藤若菜著『雇用か賃金か 日本の選択』(筑摩選書、10月発売、11月13日読了)です。生産が縮小した際に、賃金を下げても雇用を維持するか、希望退職等に

2022 映画鑑賞この一年

※2022年12月31日にCharlieInTheFogで公開した記事(元リンク)を転載したものです。  2022年に見た映画は延べ125本でした(短編集は上映番組単位で1本と計上)。昨年にも増して映画熱が高まった今年の鑑賞作品の中から、2022年に劇場公開された作品に絞ってフェイバリット作品を順不同で紹介します。 城定秀夫監督『愛なのに』 今泉力哉と城定秀夫が互いに脚本を提供し合って2本のR15映画を作る企画「L/R15」の1作目で、本作は今泉が脚本(クレジットは城定と

2021 読書この一年

※2021年12月31日にCharlieInTheFogで公開した記事(元リンク)を転載したものです。  2021年の年間読了冊数は114冊でした。ことし読んだ本の中から、新刊を中心に印象的なものを振り返っていきます。 労働=働き方は本当に変わるのか、変えるのか 雇用や働き方の多様化が叫ばれる一方、制度や体制の変化は思うようにフレキシブルなものへとはなっていないような感覚があります。まずはそんな時代に読まれる価値のある雇用・労働関連3作をご紹介します。  濱口桂一郎『ジ

2021 映画鑑賞この一年

※2021年12月31日にCherlieInTheFogで公開した記事(元リンク)を転載したものです。  2021年は映画鑑賞が新たな趣味となり、邦画を中心に映画館に通うことが増えました。そこで、新企画「映画鑑賞この一年」をお送りします。ことし見た映画の中から印象的な5作をご紹介します。 『佐々木、イン、マイマイン』 それまでは年に数本程度だった映画鑑賞が趣味になるきっかけを作ってくれた作品です。役者の夢も彼女との同棲生活もうまくいかない26歳の悠二(藤原季節)が、高校時

2020 読書この一年

※2020年12月30日にCharlieInTheFogで公開した記事(元リンク)を転載したものです。  2020年の年間読了冊数は138冊でした。昨年が139冊でしたので、月平均11冊超のペースを維持して読書を続けられました。今年読んだ本の中から印象的なものをご紹介していこうと思います。 身体・認識の不思議さと厄介さ─『手の倫理』『やってくる』 今年読んだ本の中で、最も読書体験としてエキサイティングで、鮮烈な印象のある本は何と言っても伊藤亜紗『手の倫理』(講談社選書メチ

2019 読書この一年

 2019年の年間読了冊数は139冊でした。半年の休学期間があったこともあり、当初目標だった月10冊ペースを特に年後半は超えました。大学図書館を活用して新刊書を多く読めたことも特徴の、今年の読書活動を総括します。 『維新支持の分析』『女性のいない民主主義』─政治 手に取る機会の多かったのは政治分野の学術書でした。4月に統一地方選、7月に参院選があり、選挙制度で論文を書いている友人と話す機会も多かったことが影響しています。  実証分野の出色は善教将大『維新支持の分析』(有斐

2018 読書この一年

※2018年12月30日にCharlieInTheFogで公開した記事「2018年読んで良かった本」(元リンク)を改題して転載したものです。  卒論関係の単純作業が大幅に積み残っており、これから年内、積ん読本を消化する余裕はなさそう。今年の読了冊数は58。週1冊ペースくらいなのでそんなに多いわけではないけれど、1日の平均読書時間ゼロの大学生が半数を超える時代なので、少ないわけでもないのかね。報道サークル現役だった昨年は31冊だったので2倍弱。  読んで良かった本を列挙して