チャーリー / ウイスキー日記

マイブームはウイスキーのお勉強。これは知らなかった!という気づきをご紹介します。 第1…

チャーリー / ウイスキー日記

マイブームはウイスキーのお勉強。これは知らなかった!という気づきをご紹介します。 第16回ウイスキー検定1級・全国1位。 第12/16回ウイスキー検定シングルモルト級・全国1位。 マスター・オブ・ウイスキー資格保有。 ついでに、ビールや他のお酒の情報もナナメ読み! サントリー勤務

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ウイスキーの「木樽熟成」と「エンジェルズ・シェア」《天使の分け前:前編》

■ウイスキーと木樽熟成ウイスキーというお酒は「穀物を原料」として、「穀物の糖化酵素」によって糖化、発酵・蒸溜したのちに『木樽熟成』をさせたお酒です。 蒸溜直後の無色透明だったウイスキー原酒は、この『木樽熟成』の工程によって、琥珀色へと変化します。 ウイスキー 琥珀色の正体チャーリー / ウイスキー日記 (note.com) したがって、「木樽熟成の神秘」こそが、ウイスキーが、ウイスキー足り得るための条件であると言っても過言ではありません。 ただ、中には「熟成させてなく

    • 英国/チャールズ国王をも魅了する『ラフロイグ』

      ■アイラ島のキルダルトン3兄弟アイラ島・南岸のラフロイグ(1815年創業)・ラガヴーリン(1816年創業)・アードベッグ(1815年創業)は、それが立地する教区の名前から「キルダルトン3兄弟」と呼ばれる人気銘柄です。 このキルダルトン3兄弟は、強烈なスモーキーフレーバー、それも磯の香りのする独特なフレーバーが、ウイスキー愛好家を魅了して止みません。 今回はその中でも のキャッチコピーで有名なラフロイグのお話です。 ■ラフロイグ蒸溜所のはじまりラフロイグ蒸溜所は、牛を飼

      • ウイスキーとピートの香り《ピート:後編》

        ■前回は前回に引き続き、ウイスキーの「ピート香」についての後編です! この続きからです! ■麦芽製造(製麦)の乾燥工程(=焙燥)水に浸して発芽させた大麦ですが、それ以上の成長を止めるために、乾燥させます。 そのまま大麦の粒を成長させてしまうと、それこそそのまま大麦になっちゃうので、お酒をつくることができません。 じゃあどうやって、湿って芽を出した大麦(グリーンモルトと言います)を乾燥させるのか? ■昔バージョンの乾燥方法の熱源昔は湿った大麦を下から炙って、強制的に乾燥

        • ウイスキーのスモーキーフレーバーって?《ピート:前編》

          ■前回はアイラモルトの特徴は、「スモーキーフレーバーの強さ」であり、その中でもアイラ島の南岸に並ぶ3つの蒸溜所「ラフロイグ」「ラガヴーリン」「アードベッグ」は、特にそのスモーキーフレーバーが強く、『キルダルトン3兄弟』として、ウイスキー愛好家にムチャクチャ愛されているというお話をしました。 香りのキツいもの、代表的なものでは「くさや」「ドリアン」などは、一度はまるとクセになりますが、アイラ島のキルダルトン3兄弟の強烈なスモーキーフレーバーも、同じ類だと思います。 では、燻

        ウイスキーの「木樽熟成」と「エンジェルズ・シェア」《天使の分け前:前編》

          アイラ島の「キルダルトン3兄弟」って何?

          ■アイラ島南岸の超有名な3蒸溜所ウイスキー好きなら、ご存じかと思いますが個性的なスモーキーなシングルモルトウイスキーで有名なのが、スコットランドのアイラ島です。 そのアイラ島南側の海岸際に、西から と、超有名な蒸溜所が3つ並んで立地しています。 この3つは同じ教区(教会の区画=小学校の校区みたいな感じですね!)に属していて、その教区をキルダルトンと言います。 そのため、この3つの蒸溜所をまとめて「キルダルトン3兄弟」と呼んだりします! ■似通っているキルダルトン3兄

          アイラ島の「キルダルトン3兄弟」って何?

          日本産酒類の「産地規定」にも種類が色々 《産地規定:後編》

          ■前回のまとめこれについて今回、確認してみたいと思います! ■産地規定の根拠日本ワイン、日本酒、琉球泡盛、ジャパニーズウイスキー。 どれも、「日本でつくらなければいけない」という産地規定があります。 ただ、その根拠(≒強制力)が、それぞれで異なります。 それぞれの業界が歩んできた歴史が違うので、産地規定についても「法律」「公正取引委員会」「国税庁のGI指定」「業界団体の定義」といった違いがあるのだと思います! それでは、最近、話題となっているGI(地理的標示)について

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          日本のお酒と『産地規定』 《産地規定:前編》

          ■今回は日本でつくられているお酒の『産地規制』について、「ワイン」「日本酒」「泡盛」「ウイスキー」を比較・確認してみたいと思います! ■「国産ワイン」と「日本ワイン」これって、「同じじゃないの?」という感じですが、明確に違います! 日本ワインの基礎知識 | 日本ワイナリー協会 (winery.or.jp) 日本ワインの定義については、2018年から「果実酒等の製法品質表示基準」と言う法律で定められています。 「じゃ国産ワインって何なのよ?」と言う話ですが、 などが該

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          酒税法上の「日本国産ウイスキー」と産地規定《JW定義④:最終回》

          ■前回までのまとめ今回は、日本の酒税法上のウイスキーの定義を、「スコッチ法規定のスコッチ足り得るための規定(産地規定)」と比較してみたいと思います! ■問題点③(産地規定に関して)ずばり答えからです。 日本の酒税法上のウイスキーの定義には、 という問題点があります。 そもそも酒税法では、「日本国産ウイスキー」という文言(フレーズ)を定義しているわけではありません。 日本の酒税法では、 という課税の対象を書いているだけです。 産地についての記載はありません。 だって

          酒税法上の「日本国産ウイスキー」と産地規定《JW定義④:最終回》

          【酒税法の日本国産ウイスキー】「ブレンド規定」の問題点と出発点《JW定義③》

          ■前回までまず、酒税法の定める「日本国産ウイスキー」の定義と、法律が定める「スコッチウイスキー」の定義を確認しました。 そして、スコッチウイスキーの法定義の規定は、大きく 「ウイスキー足り得るための規定」 「スコッチ足り得るための規定」 の観点の2つに分類することができるとお伝えしました。 その2つの観点から、酒税法上の「日本国産ウイスキー」の規定を確認すると、いくつかの点で、レギュレーション(規定)の不足があるのです! 前回はその1つ目の「熟成規定がない」点を、問題点

          【酒税法の日本国産ウイスキー】「ブレンド規定」の問題点と出発点《JW定義③》

          スコッチウイスキーの規定から見た、酒税法上の日本国産ウイスキーの問題点とは!? 《JW定義②》

          ■前回は前回は、日本の酒税法上の「日本国産ウイスキーの定義」と、本場スコットランドの法律上の「スコッチウイスキーの定義」を確認しました。 「日本国産ウイスキーの定義」と「スコッチウイスキーの定義」を比較!|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com) そして、 いうところまでが前回です。 今回はその、①「ウイスキー足り得るための規定」について、スコッチウイスキーの法規定の内容を、確認してみたいと思います! そのためにまず確認しておきたいことは、そもそも、ウイ

          スコッチウイスキーの規定から見た、酒税法上の日本国産ウイスキーの問題点とは!? 《JW定義②》

          「日本国産ウイスキーの定義」と「スコッチウイスキーの定義」を比較!《JW定義①》

          ■前回まで2023年の日本国産ウイスキーの輸出が、16年ぶりに減少した理由について、 「2024年4月から施行された、ジャパニーズウイスキーの定義の浸透も影響しているのではないか?」 というお話をしました。 では、 の違いって何なんだ? という声が聞こえて来そうなので、今回から数話にわたって少し詳しめに解説したいと思います! ■日本における酒税法上のウイスキーの定義日本政府が、ウイスキーメーカーから税金(酒税)を徴収するために、「こういうものをウイスキーとして課税し

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          『ジャパニーズウイスキーの定義』の浸透が、日本国産ウイスキーの輸出減少の原因に!?

          ■前回まで今回は、この「ジャパニーズウイスキーの定義の浸透」について、お話ししたいと思います。 ■ジャパニーズウイスキーの定義の浸透2021年に日本洋酒酒造組合が制定した「ジャパニーズウイスキーの定義」。 日本国産ウイスキーの輸出に、この影響が出てきている感じがするのです。(データ的根拠は持ち合わせていないのですが・・・) 実にわかりにくいのですが、 なんです! ■ジャパニーズウイスキーの定義ざっくり言うと、日本の酒税法が定義する「ウイスキー」よりも、日本洋酒酒造組

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          「日本産ウイスキーの輸出減少」と輸出相手国の「景気」。そしてジャパニーズウイスキーの定義。

          ■前回からの続きです。《日本国産ウイスキー》中国への輸出が急減!!|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com) 2023年の日本国産ウイスキーの輸出は、前年を大きく割り込みました。 (数量・金額とも大きく前年マイナス) 202312_whisky_statistical_data.pdf (jwic.jp) 酒類の輸出動向(令和5年分)|国税庁 (nta.go.jp) ポストさんてん日記 酒類の輸出状況(日本酒・ウイスキー・ビール) (fc2.com) そ

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          《日本国産ウイスキー》中国への輸出が急減!!

          ■前回からの続きです。『日本国産ウイスキー』の輸出が減っているという事実!|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com) ■2023年に輸出が前年を下回った日本国産ウイスキー2023年の日本国産ウイスキーの輸出は、前年を大きく割り込みました。 (数量・金額とも大きく前年マイナス) 202312_whisky_statistical_data.pdf (jwic.jp) 2005年に前年を下回って以来、2006年から16年連続で、輸出金額を増やしていた「日本国産ウ

          《日本国産ウイスキー》中国への輸出が急減!!

          『日本国産ウイスキー』の輸出が減っているという事実!

          ■前回からの続きです。世界的ウイスキーブーム。からの日本のウイスキーブーム! でも・・・|チャーリー / ウイスキー日記 (note.com) ■日本国産ウイスキーの輸出って減っちゃっています!日本のウイスキーは、スタンダードクラス(角瓶とか)から、プレミアムクラス(山崎とか)まで、「日本でも海外でも入手が困難!」と言われて久しいです。 ただ、日本国産ウイスキーの全体の輸出を確認すると「必ずしも絶好調でない」、というか「結構ヤバくない?」という状況もあるのです! 実は、

          『日本国産ウイスキー』の輸出が減っているという事実!

          世界的ウイスキーブーム。そして日本もウイスキーブーム! でも・・・

          ■世界的ウイスキーブーム前回、世界的なウイスキーブームをご紹介させていただきました。 世界的ウイスキーブーム! そして日本は?チャーリー / ウイスキー日記 (note.com) それでは、日本の状況を確認してみたいと思います。 ■日本のウイスキー市場のピーク日本のウイスキー市場は、1983年がピークでした。 そこから2007年までひたすら縮小を続け、出荷量は約1/5まで減少します。 JWIC-ジャパニーズウイスキーインフォメーションセンター|JW物語 そして、その

          世界的ウイスキーブーム。そして日本もウイスキーブーム! でも・・・