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💁📚28【ケアの語り方】を語ってみる

※ヘッダー画像は2024/5/10(金) #朝日新聞 #オピニオン &フォーラムより #上田幸一 撮影の #白石正明
※文中敬称略•順不同

ケアの語り方
いい話を越えた強烈な思想の存在「面白い本」で世に

徹底的な現状肯定
広々とした議論で感受性を耕す試み

語り手:白石正明(1958年生まれ、フリー編集者、2019年毎日文化出版賞受賞)

2024/5/10  朝日新聞オピニオン&フォーラム
インタビュー(聞き手:藤生京子)


はじめに

これね、書籍ではなくて新聞記事。
しかもインタビュー記事。
以下、引用•要約の出典は、全て紙面( #藤生京子
から。


介護と全く接点を持たない人よりは多少、介護や介護保険制度や介護体験を知っているかもしれない。
「アンタのことなんかに興味はないよ」という方は、どうぞスルーしてね。


介護資格としては、ヘルパー2級(当時)•ガイドヘルパー全身性•視覚性•介護福祉士•介護支援専門員(ケアマネジャー)。


介護職歴としては、介護付き有料老人ホーム介護職員•通所介護(デイサービス)介護職員•生活相談員。


介護体験としては、亡父の救急搬送から介護付き有料老人ホームを探し、入居後、入院してから亡くなるまで。
現在はグループホーム入所中の母の、在宅時MCI(軽度認知障害)、独居、認知症進行、入院、転院、介護老人保険施設(老健)から認知症対応型共同生活介護(グループホーム)探しから現在まで。


それがどうした?
「そういう人間が読んだ」と思っていただくだけでいい。
マウントを取りたいワケではないからね。
紆余曲折があり、今は「無職•無収入」の身。


「シリーズ ケアをひらく(医学書院)」について

※白石正明は2024年3月に退社後フリー

シリーズの最初は、2000年(企画は1990年代末)『ケア学(広井良典著)』。
医療•福祉の専門家→ALS•精神障害•脳性まひの当事者•家族→作家•建築家•哲学者•文学研究者•ロボット学者•政治学者など著者が多様に、語り方も多彩になっていく。


著者は、東畑開人•國分功一郎•伊藤亜沙•上野千鶴子•栗原康ら著名な論客に加え、新たな書き手も抜擢。


受賞歴は大佛次郎論壇賞•大宅壮一ノンフィクション賞•小林秀雄賞•毎日出版文化賞。


タイトルの「ひらく」について

「ケアとはこういうもの」と定義して狭めるのとは逆に、読者を驚かせ世界の見え方を少し変える「面白い本」にできればという想いから。


ケアは生活の隅々に存在しており、簡単に言語化できる単純なものではない。
「リハビリを受けるときの思わぬ快感」「障がいを『社交』と捉える」「(ケアを受ける者を)他力本願な弱いロボット(に喩える)」など予定調和にならない「テーマ×著者×切り口×タイトル」の組み合わせを模索。
その多彩さが「ひらく」。


動機

ケアワーカー(=困った人にさっと手を差し伸べられる、ケチくさくない人たち)への敬意と、ケアワーカーの声が世間に届いていないことに対する疑問から。


ケアワーカーは、人間同士の関わり•不思議さ•難しさ•可能性を感じ取っているのに、紋切り型の美談•克服物語と受け取られてしまう。
問題はケアワーカーの発言ではなく、そういう受け取り方しかできない世の中の主流の人たちの感受性•理解力不足。


ケアが革命を起こす

治療=患者の問題を除去
ケア=徹底した現状肯定
→「不快なものを除去すれば本来の力を発揮できる」「そのままで既に完全である」という強烈な思想。
#浦河べてるの家 では精神障がいなどのある人たちが商売で稼ぎ、自らの幻聴•妄想の体験を語り合っており、「治す」という発想はない。


「治るか治らないか」の二項対立で捉えない。
精神医学では賛否あるが、賛否ではなく「非」。
他人事のように自分を語り、自分の「楽」「快」に従う。
精神医学自体が「治療よりケアへ」に移行し始めている。


徹底的な肯定が革命を起こしうる。
「治すか治さないか」という議論自体が意味を持たなくなってきている。


読者を驚かせる秘訣

出発点は「著者に惚れる」。
「惚れる」とは、刺激を受けて我知らず何かが自分の中に立ち上がってくる状態。


著者には書かずにはいられない切実さと情熱があり、「傾き」がある。
傾きを発見し、さらにぐいっと傾かせるのが編集の仕事。


矛盾をはらんだ混沌の集積である著者の「傾き」を編集者が肯定し、関わり合い、そのプロセスから何かが生成される。
編集の仕事はケアに近いのかもしれない。


ケア論ブーム

少子高齢化•成果主義•経済格差の拡大→ケア論に関心を持たれて当然。
初めから結論が見えてしまうような議論は勿体ない。
理屈から溢れ落ちるものこそ、新しい議論の宝庫。


ケアワーカーの気配りは過剰でケチくさくない。
過剰な感受性があればこそ、人を救える。
過剰さ以外に現実を変える力はない。


終わりに

私が高齢者介護に携わることになったのは、単に消去法。
残念ながら過剰な感受性があったワケではない。
正直に告白すると、我が子たちが介護業界に関わらなくてホッとしたくらい。


いろんな入り口から寄り集まった職員たちは、それでもやっぱり過剰な優しさを持っていた。
いや、ケアに関わるうちに過剰な優しさを身に付けていった、が正解かな。


障がい者介護に関わっている友人たちもいる。
障がい児のケアの期間は、高齢者介護より更に長い。
高齢者介護が「死へ向かっていかに心地よく着地するか(白石正明談)」に対し、障がい児は成長を経由してから老化•死に向かうから。
彼らと仕事の話をすると、慈しみを持って全肯定しているのがわかる。


ケア論がブームだろうが、「シリーズ ケアをひらく」が受賞しようが、ケアワーカーは不足している。
ケアを受ける人は、これからも増え続けるのに。
私もそうだったけれど、イメージが悪すぎて腰が引ける。
メディアもどうしてそんなことばかり報道するの⁇
飛び込んでみるとやりがいを感じるよ。


そして低収入。
コスパが悪過ぎるでしょう。
若い人たちが入職してくれないと、既に業界内では老々介護だよ?
若い人たちが、その収入で独り立ちしようと思う?
結婚しようと思う?
子どもを持ちたいと思う?
介護職員の収入を上げるために、利用料金を上げる?
どこまで虐めが好きなんだろうね、この国は。


もっと堂々とケアを語れば良い。
ケアを受ける人は卑屈になる必要はないし、ケアを仕事にする人は恥ずかしがる必要はない。
当たり前の権利としてケアを受ければ良いし、ケアワーカーであることを誇れれば良い。


お偉い政治屋さん、厚労省のお役人さん、1年間で良いですよ。
一度ケアワーカーの収入で生活体験をしてみられては如何ですか?
もしかしたら、過剰な優しさが身に付くかもしれませんよ。







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