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米粉のクレープのおはなし。

フランスにいる時にびっくりしたのは、日本で食べていたクレープと、フランスのクレープは似ているけれど全然違うものだったこと。

日本では、さくさくとしていて、焼き目が薄いものが主流だけど、わたしがフランスで食べて一番美味しいと思ったクレープリー(クレープ屋さんのこと)では、しっかり焼き目がついていて、少し厚みがあって、もちもち、さくっとしているものを出していた。
生地がとっても美味しくて、お砂糖とバターだけで食べるのが、幸せな味だったのを覚えている。

友達たちで集まって、クレープを大量に焼いて、ヌテラとかジャムを塗りたくって、おしゃべりしながら沢山食べるというパーティをした。
クレープを焼くためのフライパンを持っている子もいたけど、普通のフライパンでも焼いていた。
お店に行くとアイス3点盛りとかもあったけど、食べてる人を見たことがない。(高いし。笑)
個人的にはシンプルに食べるのが、生地の味も楽しめて、好きだなあと思う。

当時住んでいた学生寮で、毎日のように生地をまぜ、冷蔵庫で寝かす時間を調整して、あの時食べたクレープの生地に近づけようと試行錯誤した。
(暇だな、わたし。笑)
フランスでは、小麦粉とお砂糖が日本で買うよりもずっと安くて、コストがかからなかった。


息子の離乳食を始めてから、小麦粉アレルギーがわかった。
小麦粉が大好きだったわたしは、「あれも、これも、どうやってつくろう」と頭を抱えた。
街中で買えるお惣菜、飲食店の食べ物も、調味料ひとつとっても、小麦粉を含まないものが、極めて少ないことに気づいた。
出先で買って食べられるものもほとんどない。

だから、子供でも食べやすい食感で、手で持てて、栄養も摂取できるものはなんだろうと考えた時に、「クレープがいいのでは」と閃いた。

米粉は簡単で難しい。
小麦粉の代用に同じ量使うといいよ、と言われても、満足する出来になった試しがない。
小麦粉より扱いが簡単な部分もあるので、「簡単」と書いてあるレシピ集の言葉も、それはそれで本当だと思う。
でも、クレープは比較的小麦粉で作っていた時のレシピと、感覚が同じまま作ることができて、なおかつちゃんと美味しかった。

小麦粉で作るクレープは、生地を作ってから一晩寝かせた方が、もちもちとした食感が出て、フランスで食べた時の味に近くなるのだけど、米粉は寝かせなくても大丈夫。
思い立った時に作ることができる。
2年ほどかけて、ようやくレシピが完成した。
作りたての生地を、熱々に熱したフライパンに流し込んで、ぐるっとまわす。
焼き目がついたらひっくり返して、少しだけ火を通すと、とても美味しくできるようになった。

チーズと生ハムやサラミ、ソーセージ。
バジルやドライトマト、温泉卵や半熟の目玉焼き。
お砂糖とバター、季節の果物のコンフィチュール。

食があまり進まない息子も、クレープだけは大好きで、よく食べてくれる。
手で持って食べても、ナイフとフォークで切って食べてもいい。

最近は珈琲を飲みながら、チーズとハムのクレープを頬張る息子を横目に、シュガーバターのクレープにたっぷりのシナモンをかけて食べるのがお気に入りになっている。

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