見出し画像

いつもと違う一歩

年間40品目の野菜を栽培・出荷をしている。
4月以外はどのタイミングでも10種類以上の野菜で野菜セットを組めるように作付け・管理をしている。
そしてそれをお客様に届けるために収穫‣洗い・袋詰め・配達もしている。
それだけで一年中、何らかの作業に追われている。

それに加えて、家事・育児のウェイトが比較的僕に割り振られている我が家では、朝5時半に起きてから、夜22時過ぎまで毎日走り続けているような感じだ。

audibleで時間の使い方に関する本を聞いても
結局は何かとトレードオフになる。
そうなるとある意味、ぎちぎちだが完成されたサイクルを壊して
何か新しい因子を入れるのが非常に億劫だ。
よほどの事でない限り、思考停止状態で新たな因子を排除した方がストレスがかからない。
そうしてただただ忙しいいつもと同じ日常が流れていく。

それはそれで幸せなこと。
大好きな里山の環境で、可愛い子供とたっぷり関わりながら
農業で暮らしている。
脱サラするときに夢に描いた日常である。

ただ13年前の夢は、今は日常になった。
新たなステージに向かいたい想い、改善しなくてはいけない仕事のやり方、
自分の時間という、人生を楽しむ時間を持てないストレス。

「どうにかしなきゃ」という思いと
「とりあえずいつも通りで!」と流される自分。

そんな中、僕の住む常陸大宮市で「オーガニック給食」が勢いついてきた。
4年前に新市長が打ち出した政策だ。
当初は給食センターの担当者も「面倒くさい!やれるわけがない!」という思いを隠そうともせず、市内でほぼ唯一の有機栽培をやっている僕との打ち合わせも、ずいぶんおざなりなものだった。

しかし市長の本気の熱量で、地元JAに有機栽培を始めさせ、去年から給食にその有機野菜が導入され始めた。
固く閉じていた扉が開いたのだ。
聞けばまだまだ給食で必要としている野菜はたくさんある。
僕がJAS有機認証を受ければ、オーガニック給食に貢献できる。

さて、とは言え
実際に僕の野菜を給食に供給するまでには
まだJAという大きな組織しか通ったことがない道を
個人の農家が新しく作らなくてはいけない。
それは片手間でできることではない。
新しい道をつくるために、どこの誰から情報を得て
どう進めていくのか?

「新しい事なんて今は無理無理!いつもの生活だけでもいっぱいいっぱいじゃん!」という自分の声を振り切り、忙しい土曜日の作業をほぼ一日犠牲にして、市の開催する「オーガニックフォーラム常陸大宮」というものに参加した。市長を含め、有機農業に造詣の深い政治家や知識人のパネルディスカッションメインのイベントだったが、そこに集まってくる人で何かつながりやヒントがあればとの思いでの参加だった。

そこで偶然、新しく就任したばかりの給食センター長の方と出会うことができた。新しいセンター長は「オーガニック給食」実現に向けて非常に前向き。挨拶させてもらって、こちらの供給したい意向を伝えると、後日畑に来てくれて、色々と僕の野菜を使うための段取りの相談に乗ってくれた。

それでも一朝一夕で、今までなかった個人農家納品の道はまだ出来上がるわけではない。
お正月も過ぎて、そろそろ野菜の仕込みや作付け計画を確定しなくてはいけない時期。
「今年、給食分を作っても納品できないのではないか?」
不安に思いながら迷っていた時・・・

携帯電話が鳴った!
給食センター長からだ!
「今から畑で野菜納品に関して打ち合わせできますか?」
冬休みで給食作りなどの実務がない時期なので
わざわざ色々情報と提案を携えて畑にご足労頂けた。

今回の打ち合わせで、少し新しい道の道筋のイメージが出来上がった。
上手くいけば今年から、僕の野菜が市の給食に使ってもらえそうだ。

このセンター長のご尽力のお陰。
そしてこの方と出会えたのは
忙しい日常を振り切って、いつもと違う行動を選択したから。

多くの人は毎日、仕事に生活に本当に一生懸命で、真面目に真剣に頑張っているんだと思う。僕もそう。
そしてそういう毎日に、新しい非日常的因子を入れる余裕がない。
でも、何かを変えたいとき、痛みを伴ってでも新しい行動を取り入れてみる。それだけで新しい流れができてくることもあるもの。
今回、僕は身をもってそれを体験した。

noteだってそう。
寝る時間をちょっと削って書いている。
それはずっとまとまった発信に興味があったら。
さてさて、これはどんな新しい流れを生んでくれるのか。
楽しみである。

フォロー・スキ いただけると嬉しいです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?