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美しい夕焼けの千波公園と子供たちの笑顔と

前回の投稿から日が空いてしましました。
僕はお客様にお届け敷いている野菜セットの中に
毎週「お便り」を書いていて、今回はそのお便りの内容を
使いまわしさせてもらいます。

以下、お便りの文

いよいよ冬将軍さまのお出ましともいうべき寒さが来ていますね。
こちらの地域の朝の最低気温はー5℃などになっています。
10年前にはー10℃などにも達していた最低気温も随分緩みましたが、それでもー5℃はやはり寒いです。
晴れて日の光が届く日なら11時頃にはカチコチに凍った畑の土も溶けてきますが、曇りがちで日が届かない日などでは下手をすると一日中土が凍っていたりします。
それでも出荷に関する収穫はしなくてはいけないので、そういう日はまあ言うなれば一日中氷の上に立っているわけです。
ちょっと前まで夏日だったのに、この変化よ。
でも、-10℃などになることが減った最近の冬は気の滅入りようが以前より全然少なく、気楽に過ごせます。
沖縄が自殺率が低い理由がなんとなくわかるわ~、なんてここで言うと「そんな単純な理由じゃない!」と𠮟られそうです(笑)。

 さてさて、普段はこの時期は栽培関係ですることが少なく、片付けや確定関係関連の仕事などをのんびりやっているのですが、今年は以前のお便りでも書いたように、市のオーガニック給食に協力するためにJAS有機認証を取るべく動いています。そのための講習をネット講義で受けました・・・。

 僕は結構単純なので、こういう講義を受けると刺激をもらって瞬間的にやる気が爆上がりするタイプなのですが、、、
今回は真逆で落ちベーションがガタガタと音を鳴らして谷底に落ちていきました。
いや、JAS有機認証は取るために動きますよ・・・。
ただその認証を受けるために提出する書類の量の膨大さと細かいこと・・・。
そりゃ、JAS有機認証をとらない「もぐり有機農家(自分の事!)」が増えるわけですよ。
「こういうことをやっています!」の証明は簡単ですが、「こういうこと(農薬・化学肥料)はやっていません」の証明ってこんなに面倒くさいのか・・・。
そもそも書類作成などが一番嫌いな仕事なので、要求される勝利の量と情報の細かさにもう茫然自失というか、混乱を通り越して錯乱しそうでした。

 そんな中でも週末日曜日は僕が子供の担当の一日。
 今回は千波公園へお出かけ。
水戸徳川家が作ったという千波湖のほとりにある公園で、美しい湖の水際で、水鳥を追いかけまわすうちの子供。
飽きたら遊具で大はしゃぎ。
疲れたらソフトクリームを食べてにっこにこ。

 江戸時代からあるという、きっと200年以上前から存在する憩いの場にて、きっとやはり200年前から大して変わらない子供たちのキャーキャー奇声を上げながらハシャグ様子を見ていると、ふっと肩の力が抜けていきました。
きっと人類は何千年もこうやって、美しい景色に感動し、子供の楽しく遊ぶ姿に癒されというありふれた些細な幸せを感じながら、命をつないできたんだなぁと。

 JAS有機だなんだと細かい法律で、農作物を線引きし、畑で働く人を線引きし、格付けしている。
でもそんなのはここ2,30年の社会情勢で生まれた、細かな線引きに過ぎず、人類は化学肥料や農薬が誕生した150年前くらいから現在までを除いて、何千年も有機農業をやってきたのだ。
それが一気に逆転して、有機農業が「信じられない実践困難な農法」だと思われているから小難しい証明が要求されるようになった。
社会のニーズを果たすためには、面倒でもそれに応じなければいけない。
でも、綿々と続いてきた人類の農耕の歴史において、きっと一番大切なのは、変化する環境に対応する努力をしつつ、とにかく作り続けることなんだろうなとシミジミ思いました。

 生活様式、娯楽の種類や手段、考え方…いろいろなものの変化が激しい時代だし、それらはさらに加速するだろう。
でも人間は食べていかなくてはいかないし、その食べ物が何日か後の自分の細胞と置き換わると言っても過言ではない。
そうやって新陳代謝をし、命をつなぎ、子孫を残し、代替わりを繰り返してきた。
そういう「命」の根源に関わる大事な仕事であり、今日僕が千波公園で垣間見た歴史を根底で支える「食べて命をつなぐ」という人間の営みの基本の部分だ。

 それに対し、現社会のルールでJAS有機だなんだと格付けされることのスケールの小ささよ。

 繰り返しますが、それでも僕は現社会で生きている人間ですので、その社会の規定に従い、意義があるとおもうオーガニック給食に供給するために、JAS有機認証は大変でも取ります。
でも、極端に大きな視座から見た場合に、本質的にあまり大きな意味を持たないものだなぁと認識しておくことで、かえって気楽に取り組んでいけるような気がしました。

 そうだ僕の農業の本質的な命題は、真面目にしっかりとした生産を続けていくことなんだ。

 子供と遊ぶ休日の公園で、冬の夕日に美しく照らされる景色や笑顔を見ながら想うことでした。

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