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非合理的な判断だよなぁ。

真夏日が来たり、霜注意報が出たり、大雨だったり、強風だったり…ころころと極端な変化を見せる天気ではありますが、有り難いことに野菜には大きな影響が出ることがなく順調にいっていると言えるでしょう。

とは言え、5/10の霜注意報はやはりドキリとしました。この地域では、5/10前後に急に冷え込み、霜が降りるか降りないかというギリギリまで気温が下がることが良くあります。最低気温2~3℃くらいですね。せいぜいうっすら霜くらいですが、夏野菜が霜に当たると、葉っぱは枯れてしまいますし、生長点が霜に当たると下手すると成長が止まってしまいます。大ダメージです。枯れた葉っぱやダメージから病気が入ったり、ろくに成長できないまま枯れてしまったり。この時期の遅霜はとても怖いのです。対策としては夏野菜に何かかぶせてやれればOKです。不織布や遮光ネットなどを一枚かけてやるだけで大丈夫です。

で、5/10の霜注意報です。天気予報で3日前くらいから、この日は危険だなと感じていたので徐々に準備をしていました。枝豆、トウモロコシ、ズッキーニ・・・。淡々と被覆していきます。で、最後に残ったのがカボチャ。実は今年から、一緒に働き始めたSさんの借りている畑も、うちの畑として管理していくことにしています。で、カボチャはSさんの畑に飢えているのですが、、、なんとうちの畑ぁら車で片道40分走ったところにあります。カボチャや里芋など、なるべく管理行程も少なく、手間もかからない野菜を中心にSさんの畑に作付けしていますが、カボチャに霜対策しなきゃ・・・。でも経験上70%くらいの確率で実際には霜が降りないことも知っています。霜対策しなければ往復1時間半、霜対策時間1時間半。合計3時間が浮きます。でももし本当に霜が降りてしまえば、下手すればカボチャ250株が全滅かも・・・。悩みましたが、結局霜対策に走っていきましたよ・・・。

畑が遠ければ遠いほど、管理はしにくいし、ロスも多いです。経営の事だけを考えるなら、Sさんの畑の管理なんて絶対引き受けてはいけない案件です。でも、移住してきて農家としてやってきたSさんの約10年が詰まった畑です。ここ3~4年は里芋くらいしか作れていなかったようですが、それでも手放さずに大変な状況でも意地で頑張っていた畑を、うちで働くなら止めてくれとは言えませんでした。それならうちの畑として一緒に管理しようと。

経営の合理化、作業の効率化、リソースの最適化、経済合理性・・・現代のビジネス本の中に出てくるお金を稼ぐための考え方と正反対ですね。実際、色々無駄な時間や労力を食いますし、管理も難しい。もしかすると金銭的な部分では目に見えたマイナスが今後出てくるかもしれません。でもやっぱり今まで一部しか作付けできていなかったSさんの畑に、ジャンジャン作付けしていくと、Sさん嬉しそうなんです。この畑でこんなことがあった、こんな野菜を作った時はこうだった・・・出てくる話も尽きません。そういう話を聞きながら、きっとこの判断はお金や効率という面では間違っているかもしれない。でもそうじゃない別の面ではきっと間違っていない。と不思議とストンと思えました。

野菜つくりを仕事としてしているので、常に評価基準を「儲かるかどうか」のみに置いてしまいがちです。でも、人生の評価がそれだけじゃないように、仕事においても別の何かを評価軸においても良いだろうな。きっと自分でも言語化できていない別の評価軸の中ではこの判断は合理的なんだと思います。だから全然後悔はありません。さてどうなるやら、楽しみです。

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