女性スペースを守る会さんの[寄稿] 「すまた」署名削除問題に関する資料PDF魚拓

女性スペースを守る会さんの[寄稿] 「すまた」署名削除問題に関する資料PDF魚拓





回答についての分析


署名を立ち上げた当事者への説明が不十分であり、突然署名が削除されたことに関係者は、かなり困惑していた。

包括的性教育サイトの画像が切り取られたと主張されているが、引用にあたるのではないのか。実際、旧Twitterでのスクショによる引用については、引用と認められた判例がある。https://innoventier.com/archives/2022/11/14321

署名運動を始めた当時、問題コンテンツから容易に性産業のURLに繋がっていた。
署名ページ自体が急に削除されたのは、あまりにも奇妙で、不可解なままだ。
包括的性教育の危険性


包括的性教育と言えば、先進的なイメージがある。現実は、そのきらびやかで善良なイメージとは、かなりの乖離があることに私は最近気づいた。SNS上で人気の包括的性教育絵本には、性風俗のような性技がふんだんに盛り込まれいる。性感染症や妊娠、性依存、性的コンテンツによる性的価値観への影響などへのリスク説明が少ない。2023年に改正された刑法の性犯罪に関わる法令に関する説明や性行為同意についての説明が不十分だ。性技や快楽を幼い子どもに教える加害性の問題は、性暴力被害者のトラウマ治療に関わる専門職からは警鐘が鳴らされている。性暴力被害者や性搾取被害者がそれらを申し入れしたが、一切無視の状態が続いている。

国連、ユネスコそれぞれがお墨付きを与えた包括的性教育は、何だか「良いことをしているはず」と、多くの人は考えるだろう。保護者としては、性に関係するリスク、同意、拒否の方法などを包括的性教育では教えるという印象を持つ人が多いだろう。真っ先に学ぶのかと想像する。その実情は、保護者の期待とは裏腹に、「快楽」「性の多様性」「性技」「自慰の方法」がふんだんに盛り込まれ、性を解放的に楽しむものと捉える内容も多い。代理出産を積極的に利用するカップルのストーリーがカラフルに描写されている一方、代理母や子どもたちが受ける困難やリスクはほとんど説明されていない。幼児期から自慰や性行為の性的快楽を教え、他者に対する警戒心を「差別」で悪いことだと教えこむ教材に溢れている。このままでは、性犯罪に巻き込まれるリスクが高まるのではないだろうか。現在、子どもたちが学校などでアクセスできる包括的性教育に「性依存」や「性的自傷」「性化行動問題」「自他境界線(バウンダリー)侵害」「トラウマの再現」「関係性依存搾取」などについて学ぶ機会がないのは、絶望的だ。マーケティング力ある有名組織が行政にアプローチし、性自認至上主義派の「包括的性教育」が官民協働事業として行われ、子どもの発達段階について何の知識もないLGBT活動家が講師を務めることもある。学校教育の現場で行われる「生命の安全教育」にさえ、「包括的性教育」が組み込まれるという流れまでできている。
包括的性教育の挫折


日本における性教育の自由化は、性教育バブルと呼ばれている。性自認至上主義派による包括的性教育コンテンツが溢れ、関係書籍の出版やイベントが急増している。有名なフェミニストたちがライフワークとして包括的性教育の普及に力を注いでいる。包括的性教育の名のもとにジェンダーイデオロギー、性風俗の要素が盛り込まれた内容が相次ぐ。そんな中、イギリス、アメリカ、カナダなど、包括的性教育先進国では、包括的性教育の問題が明らかになり、反対運動が激化しているのは希望だ。英国のスナク首相は、包括的性教育をやめることを宣言した。https://note.com/fine_macaw88/n/n53304b939abf

スウェーデンでは、思春期ブロッカーの投与が禁止されるようになった。カナダ、アメリカでは、包括的性教育に反対する保護者たちによる抗議行動が活発化している。子ども期にグルーミングされてトランス医療に繋がったが、トランスしたことを悔いてデトランスし、医療機関に訴訟を起こすケース、性転換医療に繋がった子どもの多くが、実は、自閉症であり、適切な療育などの対応を受けられなかった問題も明るみに出た。

◾️日本のメディア問題


包括的性教育の問題は、ほとんど日本の報道機関は扱わない。その上、公共放送であるNHKは、包括的性教育番組を積極的に流し続けている。とうとう内容があまりにも酷いことから、放送中止を求める署名運動まで起きた。なぜ、日本のメディアは、包括的性教育の問題を伝えないのか。あまりにも奇妙な現象だ。

日本では、包括的性教育に反対する母親たちの署名活動が立ち上がりhttps://voice.charity/events/525、世界的街頭運動が2023年10月21日に行われ、日本でも連帯する市井の女性たちのマーチが行われた。これには、LGBT活動家や女性を罵倒する男性たちによる妨害が起きた問題からも、包括的性教育が、女性や子どもの安全や尊厳を脅かす存在であることがわかる。https://www.sankei.com/article/20231021-CARNNUUVPROPZP764SXHTX4AVY/

◾️最後に


包括的性教育の問題を感じる最初のきっかけが私にとっては「すまた」教育反対署名削除問題だった。署名プラットフォームの問題に加え、この事件は、忘れられない。

日本で性技や性的アクティブを刺激する包括的性教育の最大のリスクは、脆弱な子どもたちへの被害だ。日本のアダルトビデオにより、一般的な女性や脆弱な女性子どもが性加害されている現実を見れば、同様の被害が蔓延するのは、あっという間だろう。https://www.nishinippon.co.jp/image/4902/

性加害者治療の専門職も初めてみた性的コンテンツがその人の性的価値観を決定づけると、断言している。https://makog.theletter.jp/posts/cc0134e0-be2f-11ec-b61e-83cf70b32044 性技や性的アクティブを促すような「包括的性教育」は、性搾取へのハードルを下げるためのグルーミングなのではないか、私は危惧している。

https://note.com/sws_jp/n/n3b0388e4b9f2
[寄稿] 「すまた」署名削除問題


女性スペースを守る会

2023年11月6日 16:54

2023年11月6日
性暴力被害者の会 代表 郡司真子



コメント

別件判決は、他者のツイートのスクリーンショット画像を添付したツイートにつき、そうしたツイートがツイッター社の規約に違反していると認定し、公正な慣行に合致していないとの判断をして引用の成立を否定しました。

これに対し本件判決は、「スクリーンショットの投稿がツイッターの利用規約に違反するなどの事情はうかがえない」と認定しつつ、「そもそもツイッターの運営者の方針によって直ちに引用の適法性が左右されるものではない」とも判断しています。

さらに本件判決は、「画像をキャプチャしてシェアするという手法が、情報を共有する際に一般に行われている手法であると認められる」とも述べたうえで、スクリーンショット添付という手段をとることの必要性を詳細に認定して、公正な慣行に反するものではないとの判断をしています。

両判決の事案を比較すると、別件判決ではスクリーンショット画像として添付されたツイートの本文の著作権の侵害及び引用の成否が問題になったのに対し、本件判決ではプロフィール画像の著作権の侵害及び引用の成否が問題になったという違いはあります。

とはいえ、少なくとも、ツイートにおけるスクリーンショット画像の添付と著作権法上の引用の成否を考えるうえで、本件判決がより有力な先例として登場したということはできるでしょう。

また、本件判決において著作権法上の引用の法理一般の観点から注目されるのは、引用の要件として主従関係を考えるとしても主従関係の有無は分量のみをもって確定されるものではなく、分量や内容を総合的に考慮して判断するべきと述べていることです。

実務上、引用の成否を考えるにあたっては、引用する部分の分量が引用される部分の分量よりも大きいかどうかが一つの要素として着目される傾向はありますが、必ずしもそれが決定的な要素でないことが本件判決によって確認されたといえるでしょう。



本記事に関するお問い合わせはこちらから

(文責・神田)

https://innoventier.com/archives/2022/11/14321
他のツイートのスクリーンショット画像を添付したツイートにつき引用の成立を認め著作権侵害を否定した知財高裁判決について

投稿日 : 2022年11月29日 最終更新日時 : 2023年2月25日 カテゴリー : 裁判例情報(著作権) 著者:神田 雄 (23







女性トイレや更衣室など「女性専用スペース」の利用は生物学的な女性に限るべきだと主張する女性有志のデモ活動が21日、東京都新宿区であった。性被害は女性が男性から受ける傾向にあり、性自認が女性でも生物学的な男性と、密室を共有することを懸念する女性は少なくない。一方、デモに抗議する人々も現れ、「トランスヘイトを振りまくな」「帰れ、帰れ」などと参加者の女性らに大声で叫んでいた。

デモは杉並区を拠点に活動する「女性と子どもの権利を考えまちづくりにいかす杉並の会」が主催した。この日は海外で、性に対する感じ方や考え方が未熟で不安定な子供への性転換治療に反対するデモ活動が予定されており、それに合わせたという。

参加した約20人の女性らはプラカードを手に、「男女以外の性別はない」「女性スペースに身体男性は入るな」「女らしさ、男らしさから自由になろう」と訴えながら、新宿駅周辺の車道を練り歩いた。

だが、こうした参加者の訴えをかき消すような怒声も飛び交った。

参加者を上回る数の抗議者らが、レインボカラーの旗や「トランスジェンダーの権利は〝人権〟」「ヘイトスピーチ、許さない」と書いた紙やフラッグを掲げ、歩道からデモの参加者の顔を撮影したり、「トランス差別をやめろ」と声を張り上げたりした。

抗議者側の主張は、心と体の性が一致しないトランスジェンダーに対し、デモの参加者が「差別」や「ヘイトスピーチ」を行ったというものだが、デモ参加者からトランスジェンダーの人々を侮辱し、その属性を中傷するような言動は確認されていなかった。

むしろ抗議者の中には、記者に対して、所属企業を明かすよう求め、応じると、中指を立てて、「バカ」と罵声を浴びせる人もいた。

デモ活動の後、同会の青谷ゆかり代表は「(抗議者から)ヘイトスピーチと批判される意味が分からない。トランスジェンダー(の存在)がダメとか、おかしいとか一言も言っていない。トランス女性は生物学的には男性であり、女性スペースの利用などでは線引きをしてほしいと言っているだけだ」と語った。最近も同様の被害にあったといい、「(抗議者に)『トランスジェンダーへの差別とは具体的になにを指しているのか』と尋ねたが、答えはなかった」と指摘した。

デモ参加者には過去に男性から性暴力を受けた女性も含まれているといい、マスクやサングラスで顔を隠してデモに臨んだ人も少なくない。それでも、デモの数日前にSNS(交流サイト)で「(デモに)参加した女性の顔写真をさらす」といった投稿があったため参加をあきらめた人もいたという。(奥原慎平)

理想を強制せず防犯考えて 女性スペースを守る会、森谷氏

https://www.sankei.com/article/20231021-CARNNUUVPROPZP764SXHTX4AVY/
「女性スペース守れ」有志デモに罵声 新宿

2023/10/21 21:52奥原 慎平政治
政策
地方
関東
東京


LGBT






性的自傷のやめかた

最初に出会ったアダルトコンテツがその人自身の性の価値観に大きな影響を与える日本の性に関わる問題、性暴力被害者が「性的自傷」「トラウマ再演」しないために何が必要か、長年依存症治療、加害者臨床を専門としてきた大船榎本クリニック精神保健福祉部長の斉藤章佳さん(精神保健福祉士・社会福祉士)にお話を伺いました。

郡司真子 2022.04.18

誰でも

私は性暴力被害者であり、被害後、性的自傷、トラウマ再演を発症し、長期間苦しみました。前回の白川美也子医師のインタビュー「エロい子」と自認する人たちのはなしで性的自傷、トラウマ再演が日本では搾取されていることをお伝えしました。日本には性暴力が溢れ、性暴力被害者が性的自傷をケアされずにインターネット上でも搾取されている現実を西村光太郎医師のインタビューでもお伝えしました。https://makog.theletter.jp/posts/bbfa3680-b644-11ec-b27a-9ffbed365c1a
https://makog.theletter.jp/posts/34ec6a00-b806-11ec-b291-fdbc15b4aa16
◉性暴力はなぜ起きるのか 斉藤章佳さん

今回は、なぜ性暴力が生まれるのか、なかなかなくならないのはどうしてなのか加害者臨床、依存症治療が専門の斉藤章佳さんにインタビューしました。斉藤さんにお話をきかなければと考えたのは、『セックス依存症』(幻冬舎)を読み、性暴力被害者の女性が特に、性的逸脱行動を繰り返したり、自傷行為的に性売買に従事することなどを知ったからです。また、日本には、性暴力女性被害者の自助グループの絶対数が少ないことについても依存症治療の専門職としてのご意見を伺いました。

【斉藤章佳さんプロフィール】

精神保健福祉士・社会福祉士。大船榎本クリニック(=神奈川県鎌倉市)精神保健福祉部長。榎本クリニックにて、20年にわたってアルコール依存症をはじめギャンブル・薬物・性犯罪・DV・クレプトマニア(窃盗症)などさまざまな依存症問題に携わる。代表作の『男が痴漢になる理由』(イースト・プレス)は韓国・台湾中国で翻訳され発売されている。その他にも『万引き依存症』(イースト・プレス)、『小児性愛という病-それは、愛ではない』(ブックマン社)、『しくじらない飲み方 酒に逃げずに生きるには』(集英社)、『セックス依存症』(幻冬舎)、『盗撮をやめられない男たち』(扶桑社)など依存症に関する著書多数。漫画『セックス依存症になりました』(集英社、津島隆太作)の監修も務めている。https://www.bengo4.com/c_18/n_14369/?fbclid=IwAR27qrNcOUWAuNjYv1yDeiwf_0CcUuKm8VIwIkaWtHypwpUNOeQwKx_sIJw

https://www.gentosha.jp/series/sexualaddiction

2022年3月に発売された『行為プロセス依存症の診断・治療と再発防止プログラム作成の手引き』(診断と治療社)でも、コロナ感染予防の影響で、「オンラインセックス依存症」「オンライングルーミング」について取り上げられていて、インターネット依存とともに、スマートフォンから繋がるSNSは、日本の若い世代が性的に搾取される温床になっている現状を指摘しています。

インタビューの冒頭に、斉藤さんが、「子どもたちが性に触れる最初の段階の問題」を是非とも多くの方に知っていただきたいとアダルトビデオ(AV)やネット動画配信についてお話し下さいました。

http://shindan.co.jp/books/index.php?menu=10&cd=253700&kbn=1



第3章 性依存症の診断・治療と再発防止プログラム

◉最初に出会ったアダルトコンテツがその人の「性の価値観」に大きな影響を与える

(斉藤章佳さんのインタビュー)

性犯罪において少年事件や成人の場合にしても過去から遡ってヒアリングしていくと、最初に出会ったアダルトコンテツがその人の「性の価値観」に大きな影響を与えているというエピソードに度々出会います。私は加害者臨床に携わっているので、そのバイアスも考慮しなければならないですが(つまり受診者の大半が顔見知りでないケースの性犯罪)、皆口々に「大きな影響を受けている」と言います。少年事件を扱っていても、加害者は、まさにリアルタイムでそういう経験をしています。

少年たちは、「特殊な性嗜好の動画」について強烈なインパクトとともに大きな影響を受けています。たまたま検索で出てきた、今まで見たことのない類の、単に男性と女性が性交しているというものではなく、すごく暴力的だったりとか、倒錯的な内容まだ人格形成が未熟で情報の選択能力が低い少年が観ることは、ショックが大きい、衝撃的な体験です。それが強烈に記憶に残っているケースもあり、彼らは動画の中にあった類似行為を社会の中で「反復強迫」として行動化しています。

著書の『セックス依存症』(幻冬舎)の中にも事例を紹介しましたが、その少年がうまれて初めて観たアダルトコンテンツというのが、「逃げる女子校生のスカートに追いかけて射精し、最後は女子高生が笑顔で終わる」という内容です。最後には嫌がっていたけど「被害者が性暴力を受け入れる」という筋書きのコンテンツで、彼は、中学生で始めてその動画を見て、衝撃を受け「このような行為を受け入れる人もいるんだ」と学習しています。そして、その動画を想像しながら、覚えたての自慰行為を繰り返していくうちに、高校生なって、とうとう学校内で行動化してしまいました。その後、成人後も同様の性暴力をずっと続けてきて、結局治療的な介入なしに刑務所に3回収監されました。現在は社会内で治療プログラムを受けて、今のところ、再犯していない状態です。



セックス依存症 斉藤章佳さんの著書

今の日本の性教育は、特に我々世代の男性にとっては、AVが主流を占めていたといってもの過言ではありません。最近になってようやく、性教育関連の本がたくさん出版されて、まさに性教育バブルみたいな状況で、多くの人の目に、性教育の様々な書籍が目に触れて、「プライベートゾーン」「自分の身体は自分のもの」「性交同意年齢」についての知識が広がり、「性的同意は当たり前」になっていく時代が、やっと来始めました。しかし、いまだに少年事件から明らかになるのは、日常的に少年たちが観て自慰行為しているのは、AVであり、それも以前よりもインターネットが発達した影響もあって倒錯的なAVから性の知識を得ているという事実があります。それも自分で、選びたい放題の時代です。AVは今、実に多様なコンテンツがあります。一昔前は携帯やスマホがなかったから、情報を共有するにしても、集団で、グループで、例えば、先輩や友人から借りたビデオを回して観るとか、それなりに待つ時間があったけど、今は個人で「いつでも」「どこでも」「すぐ」にアクセスできます。

少年たちは、それらを観ながら自慰行為を繰り返し、強烈に刷り込まれていきます。それを「実行してはいけないフィクションである」と分かっている人もいれば、AVの内容を現実なんだと信じ込んでしまって同じように行動する人もいます。

情報の弁別ができない年齢から、性的コンテツに触れる有害性は、明確に指摘されなければいけません。下地にちゃんとした性教育があって、性的同意概念も含めたものを丁寧に学習した上での価値観の元に、情報を選択していかなければならないんです。

今は、逆で、正しい情報を後から知ることが多いです。加害少年に性的同意のレクチャーすると、そんなの親からも学校からもどこでも習いませんでしたと。人によっては、そのこと知っていれば、今回の事件を起こしてなかったという感想を述べる加害者もいます。実は学習する機会がそもそもないことで、加害行為に至ってしまうような少年たちも大勢います。早い段階から、性教育を実施していくことが大切です。



10代はスマートフォンが主流

◉性教育が必要なのは、大人であり、お父さん

まず性教育が必要なのは、我々世代の大人です。幼い子どもを持つ大人世代がそもそも圧倒的に性教育を受けていない。その親世代ももちろん受けていないし、そういうものは自然と覚えるものだということで認識されています。場合によっては、極端な性的嫌悪を親が持っている家庭の子どもにこそ、性教育が足りない。そういうことを考えると、子どもは言うまでもなく我々のような現役の親世代に性教育が絶対必要なんです。

日本の典型的な家庭内のシーンでは、セクシュアリティを匂わす番組が始まると、何か触れてはいけないもののように黙ってチャンネルを変えるというケースがあります。そうすると、子どもの中で、「性っていけないものなのか?」「こそこそ隠すものなのか?」と、認識してしまう。過度な性的嫌悪を原家族で植え付けられた子どもが、「でも性欲はあるし性については興味がある」という、ダブルバインドの中で、いけないことだと思いながらもでも、快楽を求める歪んだ性嗜好を学んでいく。これは、根本的には親世代が性教育を受けていないところに問題が起因しています。そもそもなぜ子どもがうまれているのかというと、選択的シングルマザーなどは別として、大多数の場合は父親と母親の性衝動の高まりによって性行為し、子どもが出来ているわけですから、それを嫌悪し隠すことは子どもの存在の否定にもつながりかねません。

私はヘテロセクシャル(異性愛者)でシスジェンダー男性(身体的性と性自認が男性)の立場なんですが、母親が看護師なので、避妊や性に関しては、折を見て話された記憶はあります。ただ、父親からは、何も話してもらっていなくて、日本の父親は性を語る言語を学習していないから、話せないのだと考えています。自分のセクシャリティについて語るには、それらの言語を獲得する必要がありますし、それが性教育です。

私は、娘に対して、自分の身体を大切にするということは伝えられます。息子に対しては、自分の経験を伝えられます。どういう性経験をしてきたとか、セックスについてどう考えているかとか。避妊についてとか、AVはフィクションで、正しい情報の選択は最終的には自分でしていかなければならないとか。お父さんたちも自分の体験を中心にした話はできるはずです。父親という立場の人は、まずは学ばなければいけません。性教育の関連本がたくさんあるので、まず父親の立場の人が学ぶこと、それを伝えていく作業は、今からでも遅くないと思います。何度も言いますが、子どもよりまず大人が学ぶ必要があります。



性教育が必要なのはおとな、特にお父さん世代

◉性的自傷、トラウマ再演をやめたい

(郡司からの質問)

子どもを含め、すべての年齢層の性暴力被害者が、性化行動、性的自傷、トラウマの再演、性的逸脱行動を搾取され、さらに性暴力に遭い続ける問題があります。AVに自らすすんで出演したり、性売買の世界にしか生きるステージはないと考えてしまう人も多くいます。その中で傷つき体験を重ねて、心身ともに危ない状況になっていきます。その状態からどのように回復に結びつけたら良いでしょうか。

(斉藤さんの回答)

私が勤務するクリニックにも性風俗で働いている女性が患者さんとしてきます。やはり、性被害を経験している人が圧倒的に多い自傷行為や摂食障害のような合併症がありながら性的な逸脱行動を繰り返している状態です。過去の何らかの性被害があって、実家が貧困家庭であっても裕福であっても、そこで居場所がなく生きていくことが出来なくなり逃げてきた人のセーフティネットとして性風俗産業に引っかかってそこでしか生きる道がないと考えている人もいます。

性風俗でやりがい見出す人もいれば、やはりそこで搾取され続ける人もいます。リナクトメント(行動上の再演)として、性被害に遭った自分は汚い存在で、価値がない存在なんだと思い込み、自暴自棄になり、不特定多数の人と性関係を繰り返す、自傷行為としての性依存様症状をトラウマの再演として繰り返してしまうクライエントは多いです。

私が勤務するクリニックでは、性犯罪加害者のプログラムが中心なんですが、個別での相談は、性被害から性依存になってしまうというケースにSA、SCAという自助グループを紹介しています。女性クローズド・ミーティングは少なくて、男性が圧倒的に多いので、カミングアウトしにくかったり、男性がいるとあってはいけないことですが、トラウマの再演の問題が起きることもあります。
http://grandjump.shueisha.co.jp/manga/sexizon.html
漫画『セックス依存症になりました』(集英社、津島隆太作)は、性依存の男性が主人公ですが、実は圧倒的に女性の読者が多いんです。作者の津島隆太さんのもとに、女性の読者から、「この漫画に出会えてよかった」「私のことが書いてある」などのメッセージがたくさん寄せられています。女性の「性」の問題を扱える、トラウマ、性的自傷に関する治療施設や自助グループが圧倒的に足りないし、絶対に必要です。

一般企業では、EAPというシステムがあります。専門のカウンセラーと契約して、社員のメンタルヘルスの問題全般を扱い彼らのドロップアウトを防ぐシステムです。例えば、AVの業界でもEAPが必要じゃないかなと思います。性依存やトラウマを専門に扱える専門家がEAPという形で業界に入っていければ、苦しむ人へのケアができます。
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-085.html
依存症業界でも ハームリダクション という考え方があります。薬物使用によって起きる周辺の害を取り除くという考え方なんです。欧米諸国だと少量の薬物の自己使用は非犯罪化されて、困ったときは医療機関につながりやすくなっている。やめたい人は止める選択肢もあって、生きるために薬物が必要な人は、安全に使う選択肢がある。海外の政策は、薬ではなく人に焦点をあててどうするかを考えています。日本のAV業界でも安全に仕事ができる、AVに出演する人のメンタルヘルスや身体を健康に保つためのケアを充実させるシステムを作るのが重要ではないでしょうか。EAPのようなシステムを作って、専門のカウンセラーと契約して、サバイバルするために性的自傷行為や摂食障害とかメンタルヘルスの問題を抱えている人のケアを一緒にできれば、より安全に仕事ができる環境になっていくんじゃないかと考えています。

仕事や企業のパフォーマンスを維持したり、向上するために、メンタルヘルスの問題を解決していくことは必須です。これは絶対に必要なことです。EAPカウンセラーは、依存症の専門家が多いです。この制度の始まりは、企業のアルコール問題解決のために考えられたシステムなんです。それを性の問題に当てはめるなら、セックスカウンセラーや性依存の専門家が入るのが必要で、そこからコンサルテーションしてつなげて専門機関に行ったりできる。薬物療法が必要な人はそちらにつなげるとか、入り口としていろいろなところに繋げられるシステムが作れれば、風通しもかなりよくなります。
https://store.isho.jp/search/detail/productId/1804500580
◉学校がつらくネット依存から性暴力に遭う子ども

子どもの性被害の問題で、一番多いのは、オンライングルーミングです。Twitterやインスタが主戦場で、DMでコンタクトをとりそこから徐々に手なづけていくケースが多く、子どもへの性被害の温床になっています。tiktokなどの個人投稿も同様です。この手なづけてマインドコントロールしていくことを「グルーミング」といいますが、加害者はグルーミングのアプローチがかなり周到です。受容、共感、傾聴を巧みに使いながら、時間をかけながら関係性を作り、その間自撮り画像を送らせたりし、やがて実際に会って加害行為に及ぶ。ここにどう規制を入れていくかは、加害者臨床側としても、重要な課題です。

ソーシャルゲームのチャット機能などで加害者は本当に優しい人を演じます。加害者が巧妙にてなづけている問題は、もっと知られないといけないです。その温床になっているのは、やはりスマートフォンです。ただ単に子どもに持たせるのはダメです。盗撮もスマホでやりますし、今の若い世代は、あらゆる情報をスマートフォンで得ていて、体の一部になっています。スマートフォンを持たせる時は、性的同意のことも含めて、ちょうどいい性教育のきっかけになると考えて欲しいのです。
◉スマートフォンを渡すときに性教育が必須

許可なく他人を撮影するのは、どれだけ暴力的なことなのか、子どもは知らないんです。面白い画像だからと友達にLINEで送ると拡散されます。それがどれくらい暴力的なことか教えないと、子どもにはわかりません。盗撮でも、自分の撮った画像を知らない誰かに送るということも、自分のことを大切にするという視点から見ると、そこを犯される可能性が十分にあります。スマホを持たせるタイミングで、性教育できるいい機会にしないといけません。今は、盗撮被害はほとんどスマホからです。
スマホから性被害に巻き込まれる子どもたち

◉性暴力被害者の自助グループが足りない

自助グループは、今のところ依存症の世界でしか注目されていないんですが、共通の属性の人が集まって、匿名で、そこだけで正直な話ができるグループが性暴力被害者にももっと必要です。いろんなグループがあっていいんです。男性の生き辛さを持っている人のグループ、12のステップを上手く生かして、性暴力被害女性や女性で性的自傷に苦しむ人、AVの女優さんだけのグループがあってもいいと思います。行政の管理下ではなく、参加は強制されないアルコール依存症のAAなどの自助グループは会費も取らないやり方で、1935年からずっと続いている世界中にある回復の共同体なんです。カウンセリングは敷居が高く、費用も高額だけど、自助グループは、自分たちだけで運営することに意味があります。依存症関連ではたくさんの自助グループがあり、たくさんの回復者が出ています。依存症の世界で成功してきた実例がたくさんあります。しかしながら、女性だけが参加できるグループがあまりありません(女性クローズド)。性的自傷やトラウマ再演、AV女優、性売買売り手女性にも自助グループに参加することにより、傷つきからの回復や支援につながるのではないでしょうか。
https://aajapan.org/12steps/
◉性売買「買い手」は「性暴力加害者」という視点

(郡司からの質問)

今の国会で設立することを目標に、困難女性を支援する新法について審議されています。売春防止法の古い部分を廃止して、貧困や性売買などで苦しむ女性を支援につなげることを目的としています。そこで問題となっているのが、売春防止法5条を残したまま性売買売り手に罰則をつけ続けるかどうかです。買い手側を取締る法整備が足りない現状で、売り手女性が苦しめられている現状を改善してほしいという声が、性暴力被害者から上がっています。どのように社会にアプローチしたら良いでしょうか。
https://fukushishimbun.com/topics/27330
https://www.lovepiececlub.com/column/17874.html
新法の審議内容

(斉藤さんの回答)

日本は、性売買の買い手が優遇されている社会です。買い手側のことを研究している人は、ほとんど私は知りません。なぜ、男は女を買うのか、を考えるとき、買い手は加害者、売り手は被害者という新しい捉え方ができます。

買い手側は地位関係を含めて、買われる側に比べて、力を持っている側です。そこでは、容易に性暴力が起きますなぜ性犯罪をするのか、とその構造は地続きです。性的に女性を消費する視点とか、男尊女卑的な価値観とか、性的な欲求だけでなくて、優越感支配、男性性や強さの確認、所有する欲求、飼育する欲求、これらを満たすために、繰り返される行為は性暴力であるという、性犯罪の定義(Perry&Orchard 1992)があります。これは、買い手側の心理は共通しているところが驚くほどたくさんあります。その意味で、買い手は、性暴力加害者と同じという視点は重要ではないかと考えています。海外の論考でこのようなものがあります。買い手側の問題は、性暴力加害者と同じだとわかります。

参考文献

Perry,Garry P.& Janet Orchard(1992)Assessment and Treatment of Adolescent Sex Offenders. Professional Resource Exchange Inc.
https://appinternational.org/2022/01/29/huschke_mau_the_punter/
◉インタビューを終えて

AV契約取消権に関する署名活動の中で、性暴力被害者の性的自傷、トラウマ再演が社会で搾取されていること、理解がすすんでいないことを中心に私は声を上げてきました。超党派の国会議員にそのことを伝えるために、白川美也子医師、西村光太郎医師にインタビューし、その内容を考慮していただいたこともあり、すべての年齢で取消権が使える新法にしようという動きが出てきました。
https://makog.theletter.jp/posts/0af84420-ae63-11ec-85ef-b571a31e4ca9
https://www.tokyo-np.co.jp/article/171546
現在審議中の新法が施行されれば、取消したい人は救済される可能性が高まります。一方で、自身の性的自傷、トラウマ再演に気がつかないまま、搾取状態にあったり、傷つきを重ねたまま苦しむ人に、どうにか支援に繋がって欲しい。そのために、斉藤章佳さんにお話を伺いました。

インタビューの中で、初めてみる性的コンテンツが、その人の性的な価値観を決定づけるということ、スマートフォンデビュー時に確実に性教育が必要だということ、性教育は、大人、特に父親にこそ必要だということ、性暴力被害者の自助グループが必要だということ、性売買買い手は性暴力加害者と同じだという重要な示唆をいただき、これからも性暴力撲滅と被害者が1日でも早く自分らしさを取り戻せる社会に変えていくことが必要だと伝えていきます。

最後に斉藤さんからお土産をいただきました。

助産師の櫻井裕子さんが行う性的同意運動キャンペーンのバッヂとステッカーです。
https://profile.ameba.jp/ameba/sannba-sakurai/

https://makog.theletter.jp/posts/cc0134e0-be2f-11ec-b61e-83cf70b32044
性的自傷のやめかた

最初に出会ったアダルトコンテツがその人自身の性の価値観に大きな影響を与える日本の性に関わる問題、性暴力被害者が「性的自傷」「トラウマ再演」しないために何が必要か、長年依存症治療、加害者臨床を専門としてきた大船榎本クリニック精神保健福祉部長の斉藤章佳さん(精神保健福祉士・社会福祉士)にお話を伺いました。

郡司真子 2022.04.18

誰でも






「成人年齢引下げ後もAV出演契約は未成年者取消権を無効化しないでください」

AV出演強要問題対策委員は、AV出演経験者と支援職らで構成されています。チェンジオルグ(change .org)でも同様の社名キャンペーンを行っていますが、チェンジオルグ(change .org)は利用したくないという方の声を反映するためにこちらでも署名とご意見を募ります。いただいたご意見は、政府に伝えます。

2022年4月1日から成人年齢が18歳に引下げられますが、それに伴い、18歳、19歳がアダルトビデオ出演契約を結んだ際に「未成年者取消権」が使えなくなってしまいます。

今回の民法改正により、AVの出演契約者が18歳、19歳だとしても「成人」として扱う、と政府が閣議決定した答弁書に書かれてしまいました。

政府は答弁で、「成人」扱いとなった18歳、19歳にも「未成年者取消権」を拡張することは困難だ、と回答。「不当な手段によって締結された契約は、詐欺や強迫等を理由として取消権を行使できる」とのことですが、スカウト業者による勧誘の手口は巧妙で、明確な脅迫がなくても、あれよあれよという間に不当契約を結ばされてる、というのが現状です。言いくるめられて洗脳される世界です。自分の契約が不当か正当かの判断すらつかない女性がほとんどではないでしょうか。

契約の正当性の如何を問わず、いかなる理由であれ取消できたのが「未成年者取消権」であり、これは最後の砦でした。この権利がなくなってしまうことで、若さに付加価値が付くAV業界で18歳、19歳の女性が集中的に狙われることは自明です。4月以降も20歳のラインを維持するものとして「飲酒」「喫煙」「ギャンブル」があります。これらは、健康上の配慮から20歳で据え置きとなってますが、AV出演も健康上の問題と健全育成に多大な影響を及ぼすのに、なぜ20歳据え置き項目の対象外なのでしょうか。

AVの場合、心身に健康被害を負うし、永続するデジタル性暴力やPTSDでその後の生き方を一生左右される可能性もあります。こういった被害は、被害者が被害認識を持つまでに時間が掛かるのが特徴です。
被害者が被害に気付いて後悔し始めたときにはすでに自分の裸の映像が流通してしまった後だった、その映像を再生される限り反復的にPTSDを発生する、社会生活が送れなくなる、就職が困難になる、希死念慮に襲われる…
妊娠や性感染症、子宮頸癌だけでなく、メンタルが負うダメージがもっと広く共有されてほしいと思います。
林伴子男女共同参画局長は、「AV出演強要被害予防のため・・」と言ってましたが、なぜすでに被害が予見できているにも拘わらず「予防」に終始するのでしょうか。被害発生後の救済措置を講じるのが国の責務ではないのでしょうか。「内閣府では成人年齢引下げに伴い若年層のAV出演強要などの問題に取り組むためポスターリーフレットを作成し大学などに配布」とのことですが、大学で啓蒙することでどれだけの成果を挙げられるのか疑問です。

性産業に吸収される女性は圧倒的に中卒/高卒が多いからです。(最近は現役大学生や大卒も増えてきましたが、中卒/高卒といった学歴がなく就業の選択肢がない脆弱な女性が圧倒的に多いです。)
高校3年生ですでに成人年齢に達するのに、啓蒙活動の対象エリアが大学だけなのはおかしいです。
また、強引な勧誘を伴うエステや整形、ショッピングローン、マルチ商法などで多額の借金を抱えて性産業に吸収されてしまう女性もたくさんいます。18歳でどれだけの判断力が養われてるという前提なのでしょうか。

消費者契約法で保護すべき領域をもっと拡大させる必要がありますし、中学、高校の授業で消費者詐欺被害に遭わないような授業をプログラムする必要があります。
どうか、包括的な被害対策教育の実施と、被害発生後の救済措置としての「未成年者取消権」を消滅させないでください。

https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSd82icwSzAFyN_7fSf4K6auRp8kKIMzYRsN7ajw1hmWE7VnUA/viewform
「成人年齢引下げ後もAV出演契約は未成年者取消権を無効化しないでください」



◉インターネット使用障害のこどもたち

久里浜医療センターでの臨床でインターネット使用障害の受診は、平均18.2歳です。 小学生、中学生、高校生、大学性などの若い世代です。ギャンブル依存症の中心は 20歳ー30歳代、アルコール依存症は40歳代以上なので、インターネット使用障害の発症が若い世代に偏っているのがおわかりいただけると思います。

インターネット使用障害で受診した男女比は、男:女=9:1です。男子はゲーム依存 女子はSNS依存とそれによるトラブル。デジタル性暴力などと深刻です。



西村幸太郎医師提供資料

◉スマホからSNSトラブルに巻き込まれる

小学生の6歳ー12歳の子どもの8割がインターネットを利用する時代になっていて、中学生は9割スマホを持っています。10代は、基本的にはスマホからのインターネット依存です。子どものインタネット依存は、2019年-2022年にかけてコロナで急激に増えました。

インターネット使用については、個人情報漏洩を心配する人はとても多いのだが、トラブルが起きることへの警戒心が極めて低く、SNSトラブルへの危機感がなく、SNSを介して様々な深刻な問題が起きています。



西村光太郎医師提供資料



西村光太郎医師提供資料

若い世代、こどもたちが夢中になっているSNSといえば、LINE、Twitter、インスタグラム、ティックトックです。



西村光太郎医師提供資料

コロナの問題が起きてから、急速に若い世代のインターネット利用が増えています。その中心がSNS、個人動画配信、ライブ配信で観る方から発信する方に変わって行った様子がわかります。



西村医師提供2018年、2019年インターネット利用



西村医師提供2019年、2020年インターネット利用

◉ライブ配信が主戦場

ライブ配信の世界では、ごく普通の中学生高校生がセクシーな動画の提供により、月に数十万円を稼ぐケースが問題になっています。個人生動画配信の世界は、参加する人の年齢制限がないんです。生動画配信、ライブ配信発信者は、10代から20代に集中しています。24.5%が10代20代です。幼児、小学生、中学生、高校生の性的画像が生配信されています。



西村医師提供資料



西村医師提供ライブ配信について

いわゆる性的画像、動画が配信されているプラットフォームは水色で示していますが、エロコンテンツでプラットフォームが巨額の収入を得ているのがわかります。



西村医師提供資料



西村医師提供資料 水色がエロコンテンツ配信

中高生がライブで性的な動画を配信したり、成人男性と交際しているのが保護者にバレて受診に至るケースや50歳代男性が中学生女子の生配信に入れ込み、数百万をライブ配信に使ってしまい、受診に至ったケースも。中高年男性が中高生とコロナでオンラインセックス依存、夕方6時から没頭して一晩中やめられないという受診例もあります。

ここには、こどもが自主的にひとりで行うものもありますが、配信側の業者やプラットフォームに関わる人がこどもをSNSでスカウトして生配信させている問題があります。

アルコールは、以前、規制が大変甘くて、未成年飲酒、依存症の問題が起き、年齢制限で販売者規制がされ、かなりの効果が出ています。同様に、生動画配信、ライブ配信もプラットフォームにアクセスできる年齢規制が必要ではないかと考えています。

適正AVよりも、市場規模が大きく、幼児から、高校生までのこどもたちが搾取されています。搾取されているのは圧倒的に女の子で、学校がつらい子、家庭がつらい子、寂しくて、悲しい子たちなんです。ネットの世界で男性に性的に求められることに自己肯定感を見いだして性売買につながっていく深刻な現実があります。どうにか助けられないものかと考えています。



◉インタビューを終えて

アダルトビデオ業界に取材した際に、最近の10代の子たちはスマホでセクシー動画を提供することでファンクラブ作ったりして、AV女優より稼いでる。AV人権倫理機構管理下の適正AVの業界より、同人AVや個人配信の方がこどもへの性搾取は酷いという関係者の指摘があり、今回の取材を行いました。依存症治療の臨床から問題提起していただくことで、AV出演取消権だけでなく、性的画像の個人配信からこどもたちをどのように守っていくかが課題であり、関係省庁に働きかけをしていかなければならないと感じました。また一方で、ライブ配信が自身のステージとなり、生きる希望になっているこどもたちの気持ちを否定しないことも治療の上で大切です。なぜ、ライブ配信にしか希望を見出せなくなってしまったのかも含めて、考えていかなければいけません。

様々な傷つき、逆境体験があり、性的自傷、トラウマ再演、性化行動を起こすこどもや若者については、トラウマ治療専門の白川美也子医師にインタビューしましたので、今回のインタビューと合わせて読んでいただくと、なぜ、こどもたちが行動を起こすのか理解いただけると思います。

https://makog.theletter.jp/posts/34ec6a00-b806-11ec-b291-fdbc15b4aa16
インターネットライブ配信のこどもたち

ライブ配信の世界では、普通の中高校生が性的な動画を提供させられるデジタル性暴力が問題になっています。動画配信の世界は年齢制限がありません。成人年齢引き下げによる18歳19歳AV出演契約取消権保護について4万筆の署名が集まり、超党派で議員立法の動きが活発化しています。個人生配信で被害に巻き込まれるこどもたちについて、依存症治療専門医師にお話を伺いました。

郡司真子 2022.04.10

誰でも



自らの意思で薬物をやめられなくなり、ときには借金や暴力などの問題を引き起こすこともある「薬物依存症」。違法薬物であれば、刑事事件に発展してしまうこともある。

依存症の問題が取り上げられると、当事者本人の治療や支援に目が向けられやすい。しかし、苦しんでいるのは、本人だけではない。暴言・暴力でキズを負ったり、調停や裁判で心身ともにボロボロになる家族もいる。

●「暴力の後遺症」に苦しむ家族も

違法薬物を自己使用することは「被害者なき犯罪」ともいわれる。薬物を自己使用する行為に、直接の「被害者」がいないためだ。しかし、薬物依存症によって引き起こされるほかの問題に家族という「被害者」が隠れていることは少なくない。

依存症治療の傍ら、DVなどの加害行為を繰り返してきた人の治療教育にも関わる精神保健福祉士・社会福祉士の斉藤章佳さんは、薬物やアルコールなどの精神作用物質を自己使用している人から暴力をふるわれた妻などの「被害者」をみてきた。

「実際に、DV被害を受けた配偶者からは『(当事者の)薬や酒が止まっていようが、フラッシュバックはある』という話を聞きますし、PTSDに苦しんでいる人もいます。暴力の後遺症はずっと残るんです。薬や酒が止まったとしても、当事者が『加害行為を繰り返していた』という事実が消えることはありません。

薬物依存症の自助グループでは、傷つけた人たちへの『埋め合わせ』をする作業をおこなうことがあります。しかし、薬物依存症の臨床では、本人が回復していくプロセスの中で、DV加害者として、暴力で相手を傷つけてきた責任をどのように取っていくのかという視点からのアプローチはほとんどみられません。

まずは物質を止めることが大事ですが、DVは加害行為であり犯罪です。『依存症だから…』と病理化するプロセスの中で、暴力の責任性を隠蔽してしまう恐れがあることを忘れてはいけません。

もちろん、アルコールを含む薬物依存症の人すべてが暴力をふるうわけではありませんが、依存症臨床においても、DVがある人・ない人によって、家族関係の再構築の際にアプローチの仕方を工夫しなければならないと思っています」(斉藤さん)



暴力を伴っていた場合、薬物が止まることで、家族の傷が癒えるわけではない(写真はイメージ:Pangaea / PIXTA)

●「責任」を負うことはやむを得ない

依存症やDVの問題に悩む家族の相談を受けてきた佐藤正子弁護士は、次のように話す。

「DVの相談を受ける中で『アルコールが入ると暴言を吐く』『違法薬物を使っているのではないかと思う』という話を聞くことがあります。しかし、薬物依存症が背景にあるか否かを問わず、DVという行為自体に『依存性』があるのではないかと感じています。

実際に、DVの直後に謝罪して仲直りするものの、またしばらく経ってDVをはたらくというパターンは少なくありません。被害者側も『私が悪いのかな』『私が頑張ればなんとかなる』などと感じてしまい、同じことが繰り返されている傾向がみられます。

また、被害者自身がDVに気づいていないこともあります。たとえば、友人に話して『おかしいのでは』と言われて自覚したり、自治体の法律相談や男女共同参画センターなどで『あなたはDVを受けているのでは』と指摘され、初めて気づいたという人もいます」



佐藤弁護士は「離婚後に再びDVの問題がある人と関係を持ってしまう被害者もしばしば見る」と語る(写真はイメージ:Fast&Slow / PIXTA)

佐藤弁護士は、薬物を使って暴言を吐いたり、暴力をふるったりした場合であっても、「責任を負うことになるのは、やむを得ない」と指摘する。

「そもそも、DVをする人は誰にでも暴言を吐いたり、暴力をふるったりするわけではなく、相手を選んでいるようにみえます。実際に、DVをする人が調停委員や裁判官を殴る場面を見たことはありません。理性があるといえますし、責任能力に問題がない人のほうが多い印象を受けます。

そのため、DVによって相手にケガをさせたのであれば、損害賠償や、離婚に応じる、などの法的な責任を負うことは、やむを得ないのではないかと考えています。

また、依存症という病気から回復することも本人の責任だと思います。もちろん、回復する人はいますし、私もダルクなどと関わる中で、そのような人たちを見てきました」(佐藤弁護士)

●見過ごされがちな「被害者」としての家族

DVだけではない。依存症の人がつくった借金に悩まされていたり、スムーズに離婚に応じてもらえなかったりするなど、佐藤弁護士は、さまざまな場面で「家族は振り回されている」と感じることがあるという。

「薬物依存症の人と離婚することになった場合、借金、暴言、暴力などのほかの問題が発生していることがほとんどです。しかし、不思議なことに、相手方にすぐに離婚に応じてもらえたことは、ほぼありませんでした。これまで言うことをいろいろ聞いてくれた相手に依存しているのではないか、と思うこともあります」

刑事裁判でも、家族が負担を強いられることがある。佐藤弁護士は、情状証人として公開の法廷に立たされる家族をみるたびに、「家族は加害者側ではなく、巻き込まれている時点で『被害者』なのではないか」と感じたと話す。

「2000年代前半は、何度も再犯を繰り返す人の家族に『なぜ、監督していなかったのか』などと非難する検察官もみられました。

当時は、今よりも依存症の理解が進んでおらず、『意思が弱いからやめられない』と考えられていたり、バッシングがおこなわれたりしていた時代です。今でも著名人が逮捕されるたびにバッシングが起きることはありますが、最近は、法廷でこのようなことを言う検察官を見なくなったように感じています。

特に、違法薬物の場合、家族は周りになかなか相談できず、抱え込んでしまいがちです。法廷に呼び出され、話をするというのみで、相当な精神的負担があると思います。『あなたは悪くない』と家族の話を繰り返し聞いてくれる人が必要ですし、家族への支援はもっと充実させるべきだと思います」(佐藤弁護士)



佐藤弁護士は、調停や裁判は家族にとって「精神的負担がかかるもの」だと話す(写真はイメージ:takeuchi masato / PIXTA)

●家族の「人生」を歩んで

薬物依存症の当事者本人に「変わってほしい」と願っている家族は少なくない。佐藤弁護士は、そのような家族に「あなたは、どうしたいですか?」とかならず聞くようにしている。

「『疲れ果てたので、距離を置きたい』『生活費を確保したい』のであれば、別居の方法を教えるなど、弁護士が力になれることもあります。ただ、『(依存症の当事者)本人をなんとかしてあげたい』ことについては、無力だと痛感する日々です。

本人を変えることは、弁護士にはもちろん、家族にもできないことではないかと思います。自分のことは自分で変えられても、誰かを変えることはできません。たくさんの苦労をしてきたからこそ、家族もどうすればよいか悩んだり、苦しんだりしていると思います。

しかし、家族には家族の『人生』があります。どうしたいかを決めるのは、自分自身です。弁護士にできるのは、できるかぎり、その力添えをすることだと思います」(佐藤弁護士)

【取材協力】

<斉藤章佳さん> 精神保健福祉士・社会福祉士。大船榎本クリニック(=神奈川県鎌倉市)精神保健福祉部長。榎本クリニックにて、20年にわたってアルコール依存症をはじめギャンブル・薬物・性犯罪・DV・クレプトマニア(窃盗症)などさまざまな依存症問題に携わる。『男が痴漢になる理由』(イースト・プレス)、『万引き依存症』(イースト・プレス)、『しくじらない飲み方 酒に逃げずに生きるには』(集英社)、『セックス依存症』(幻冬舎)、など依存症に関する著書多数。

<佐藤正子弁護士> 滋賀弁護士会。高島法律事務所。2005年弁護士登録。刑事事件において、複数の無罪事件や早期釈放の経験を有する。2015年から大阪ダルクの支援を日常的におこなってきた。 一般財団法人河合隼雄財団監事、季刊刑事弁護編集委員も務める。結婚生活や相続等の疑問や争い、あるいは障がいや高齢化等による生活上の不安を解消し、日常を平穏に過ごせるよう相談者の心に寄り添うような事件や相談も数多く手がけている。

https://www.bengo4.com/c_18/n_14369/?fbclid=IwAR27qrNcOUWAuNjYv1yDeiwf_0CcUuKm8VIwIkaWtHypwpUNOeQwKx_sIJw
DVの後遺症、PTSDに苦しむ家族…薬物依存症の背後で見過ごされた「被害者」たち



吉田緑

2022年04月17日 10時14分



「多目的トイレで不倫」だけでレッテル貼りは危険

日本で「セックス依存症」という言葉がメディアで頻繁に使われるようになったのは、タイガー・ウッズのセックススキャンダルがきっかけといわれています。

タイガー・ウッズは交通事故をきっかけに十数人もの愛人との不倫が発覚し、ミシシッピ州にあるセックス依存症専門の治療施設に入院。この一連の愛人スキャンダルをメディアが大々的に取り上げたことから、「セックス依存症」という言葉が日本でも注目を集めました。

近年では、2017年10月にアメリカの人気俳優ら20人以上からセクハラ告発を受けて#MeToo ムーブメントの引き金となった映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインもセックス依存症の治療を受けていることが知られています。

そして国内で記憶に新しいのは、お笑いコンビ・アンジャッシュの渡部建さんの複数女性との不倫問題です。スクープした週刊誌では、彼がときに女性を呼び出し、商業施設の多目的トイレで性行為に及んでいたことが取り上げられ、情報番組のコメンテーターが「セックス依存症ではないか」と指摘しました。

この記事では、渡部さんが交際相手の女性を多目的トイレに呼び出し、わずか3~5分の性行為の後、1万円札を女性のバッグの上に置いたと報道されています。もちろん記事のすべてを鵜呑みにすることはできませんが、この行為はまるで相手を性処理の道具として扱っているように見受けられます。そしてそこには、女性に対する支配欲や優越感、男尊女卑的な価値観と地続きになっている「認知の歪み」が潜んでいると思われます。

このようなねじれた価値観の存在は気になるものの、依存症治療の臨床家としては、特定の芸能人を「あの人はセックス依存症だ、病気だよ!」などと安易にレッテル貼りするのは非常に危険だと考えています。

そもそも渡部さんにとって、不倫問題が発覚して、番組を降板になるなど社会的損失を被るような問題が表面化したのは、この件がはじめてです。もし今後、彼が芸能界に復帰してからも不倫や過激な性行為を繰り返し、さらなる損失を被り、本人も苦痛を感じていてもなお不特定多数とのセックスをやめることができないのであれば、セックス依存症である可能性も疑われます。しかしたった一度、週刊誌にスキャンダル記事が出ただけでは、安易な診断は誰も下せないというのが現状です。

彼らは「性欲の強いモンスター」なのか?

芸能人や著名人の例に限らず、セックス依存症というと「セックス中毒」「性欲が強い変態」というイメージが常につきまとい、ときに面白おかしく消費されているのが現実です。しかし、本当にセックス依存症に陥っている人は、性行為が好きで好きでたまらないのでしょうか? 性欲にだらしない、恐ろしいモンスターなのでしょうか?

これまで私はおよそ20年にわたり、アルコールやギャンブル、薬物、摂食障害やクレプトマニア(窃盗症)、痴漢や盗撮、小児性暴力といった性犯罪など、さまざまな依存症治療の現場に携わってきました。性依存症の臨床家としていうと、セックス依存症は決して性欲の問題ではありません。実にさまざまに複合的な要因が、複雑に絡み合って生じた問題なのです。

本書では、そんなセックス依存症を数々の実例とともに、当事者の苦悩と彼らが抱える背景、社会的要因からひもといていきます。自助グループや回復プログラムについても、かなりのページを割いて紹介しています。

また、本書でいう性依存症とはセックス依存症を含めた幅広い概念で、「さまざまな損失があっても性的逸脱行動を繰り返す状態」の名称として便宜的に使用しています。

セックス依存症は、誰しもが陥るリスクのある病です。そして、我慢や気合い、根性では治りません。回復のプログラムにつながることができず、放置しておけば症状がエスカレートし、深刻な強迫的性行動につながるケースも存在します。

この本を手に取ってくれた方のなかには、「ひょっとして自分はセックス依存症かも?」と思い悩んでいる人がいるかもしれません。依存症者をサポートする家族やパートナー、そして依存症についてより深い知識を得たい方もいるでしょう。本書がひとりでも多くの方の手助けとなれば幸いです。

*   *   *

【もくじ】
はじめに セックス依存症の疑いがある有名人

第1章 誤解だらけのセックス依存症 ――彼らは「性欲モンスター」ではない
●あなたは大丈夫? 性依存症チェックリスト
●「セックス依存症」という病名は存在しない
●セックス依存症は「性欲の問題」ではない
●性依存症者を治療から遠ざける「男らしさ」の呪い
●性被害に遭った女性が自傷行為的にのめり込む
●性的嫌悪があってもセックス依存症に陥る
●苦痛や孤独を一時的にやわらげてくれる「負の強化」 ほか

第2章 危険なセックスをやめられない人たち ――実例から背景を読み解く
●実例(1)強引な性行為に及んでしまう ~認知の歪みと承認欲求~
●実例(2)不特定多数とのセックスがやめられない ~過去の性被害と依存症~
●実例(4)クリニックの外で性行為に及ぶ ~空虚感に耐えられない~
●実例(5)強迫的な自慰行為にのめり込む ~童貞・処女の性依存症~
●実例(7)オンラインセックスへの耽溺 ~コロナの時代のセックス依存症~
●実例(8)親の過干渉から生まれる性的嫌悪 ~見えない虐待「優しい暴力」~
●実例(10)「かわいそう」な息子と関係を持つ母親 ~障害者と性的虐待~ ほか

第3章 「性的しらふ」を求めて ――セックス依存症の治療:医療機関と自助グループ
●性依存症は「治る」のか?
●医療機関での性依存症の治療
●依存症の回復に欠かせない「自助グループ」の存在
●性依存症の自助グループ「SA」と「SCA」とは?
●ミーティングの指針となる「12のステップ」
●マスターベーションしないと性欲が溜まって危険?
●再発は回復のプロセス? ほか

第4章 依存症当事者に聞く自助グループの内側 ――「底つき」から回復への道筋:ミラクルさん(仮名)の場合
●危険なセックスに耽溺、HIV陽性で依存症クリニックへ
●「機能不全家族」と依存症の関係は?
●マスターベーションは意外とやめられる
●セクシュアルマイノリティや女性と自助グループ
●依存症者同士の恋愛は共倒れになりやすい
●回復への道筋「セクシュアルリカバリープラン」
●セックスレスとの向き合い方 ほか

第5章 性依存症の背景にある社会問題 ――性欲原因論、男尊女卑、性教育とアダルトコンテンツ
●「男性は性欲がコントロールできない生き物」は間違い
●日本は「男尊女卑依存症」社会
●求められるのは家庭での性教育
●父親が性について子どもに語る言葉を持っていない
●「AVはフィクション」だとちゃんと伝える
●加害者臨床の場でも問われる「性的同意」の重要性
●依存症回復のカギは自己肯定感より「自己受容」 ほか

第6章 AV男優・森林原人と語る そもそも「性欲」とはなにか? ――幸せなセックス、依存症のセックス
●僕もセックス依存症だったかもしれない
●「首絞めて」男尊女卑を内面化した女性の性欲
●性欲は「条件付け」と「学習」でアップデートされる
●アイドルの追っかけを生きがいにして痴漢をやめた人
●VRやセックスドールは性依存症の抑止力になるか?
●一般人よりはるかに厳格な撮影現場の「性的同意」
●僕を救ってくれたセックスの幸福感や悦びを伝えたい ほか

おわりに 弱さを知ることが、やめ続ける強さに変わる

https://www.gentosha.jp/article/17048/
セックス依存症

2020.11.28 公開



セックス依存症者は「性欲の強いモンスター」なのか? 斉藤章佳




EAPとは、メンタルヘルス不調の従業員を支援するプログラムのことです。

厚生労働省が定める「労働者の心の健康の保持増進のための指針」の中では、メンタルヘルス対策推進のために「4つのケア」が重要とされています。「4つのケア」とは、労働者自身が自らのストレスを予防・軽減する「セルフケア」、管理監督者の行う「ラインによるケア」、「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」、事業場外の専門機関の支援を受ける「事業場外資源によるケア」です[1]。
EAPは、4つ目の「事業場外資源によるケア」に当てはまり、社外の機関によって行われます。従業員は自分の悩みを社内の人に知られることなく、専門家に相談することができます。

もともとEAPは、アルコール依存、薬物依存が深刻化したアメリカで、これらによって業務に支障をきたす社員が増加したことに対応するために1960年代に発展したもので、日本においても1980年代後半から少しずつ浸透してきています。社員の抱える問題、職場の抱える人間関係などの問題を個人的問題として処理して来た日本の企業でも、これらの問題が出現したときの対応コストをリスクマネジメントとして考え、あるいは、さらに一歩進んでCSR(企業の社会的責任)の一貫と考え、EAPを導入する企業が増えてきています。

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-085.html
EAP / 社員支援プログラム(EAP)

https://store.isho.jp/search/detail/productId/1804500580






 困難な問題を抱える女性を支える法案の全容が3月14日、判明した。女性が抱える困難な問題の原因の一つとして「性的な被害」を明記した。参議院法制局によると、法律の本則でこの言葉が使われるのは初めて。「性的な虐待」よりも広く捉え、支援対象とする。法案は各党内で3月末までに審査され、超党派の議員立法として通常国会に提出される見通しだ。



 同日刷り上がった法案が公明党の厚生労働部会、婦人保護事業の見直し検討プロジェクトチーム(PT)の合同会議で審査、了承された。PT座長の山本香苗・参議院議員は「婦人保護事業を売春防止法から抜き出し、令和版にバージョンアップする」と語った。



 新法の名称は「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律案」。支援対象は性的な被害、家庭の状況、地域社会との関係性などにより困難な問題を抱えた女性で、年齢制限は設けない。



 現在の婦人保護事業は、売春をする恐れのある女性を「要保護女子」として保護更生するもの。女性を処罰する意味合いが強く、困りごとを抱えて支援を要する女性という福祉的な視点は乏しい。



 合同会議には、女性支援にあたる関係者8人も出席した。



 その一人、婦人保護施設慈愛寮(東京都)の熊谷真弓施設長は「慈愛寮は全国で唯一、妊産婦支援に特化した施設で、予期せぬ妊娠など『産む性』を持つがゆえの困難の最前線にいる。『性的な被害』という文言はとても大事だ」と評価した。

理念に「福祉の増進」

 新法は基本理念に「女性の福祉の増進」「民間団体との協働」「人権の擁護」を盛り込んだ。厚生労働大臣が定める基本方針に基づいて都道府県・市区町村が取り組みの計画を作る。これまであいまいだった地方自治体の役割を明確にする。



 婦人保護事業には都道府県に必置の婦人相談所の措置により、要保護女子を婦人保護施設(都道府県の任意設置。47カ所)に入所させる仕組みがある。婦人相談所や福祉事務所には婦人相談員が「委嘱」されていて、その86%は非常勤だ。



 新法では婦人相談所を「女性相談支援センター」に、婦人保護施設を「女性自立支援施設」に改称する。措置入所の仕組みは残す。



 婦人相談員は「女性相談支援員」に改称し、都道府県や市町村が「置く」と規定した。外部に仕事を委ねる「委嘱」ではなく、行政職員という位置付けを明確にする。



 新法制定に伴い改正される法律は社会福祉法、児童福祉法など30本に及ぶ。売春防止法は1956年の公布以来66年ぶりの改正。法務省所管の婦人補導院法は廃止される。

https://fukushishimbun.com/topics/27330
「性的な被害」を初めて明記 女性支援新法の全容判明



今国会で成立が見込まれる女性支援新法にも関連する、緊急性の高い内容なので是非お読みください。

◆売春防止法第5条の廃止と、買春者に対する罰則規定◆

立ちんぼが逮捕されてないか気掛かりなのもあって、先日、夜22時過ぎの大久保公園に向かって歩いてたのですが、すれ違った男性に「お姉さんは遊べる人?いくら?」と声を掛けられ、心臓が止まりそうになりました。

私はスニーカーを履いて髪もまとめて、化粧もろくにしてなかったのに (つまり、現役時代のような、男性客に気に入られるための女性らしさをアピールする装飾は一切してなかったのに) 値段を聞かれ、恐ろしくなって早足で逃げました。

性産業を引退してからもう何年も経つのに、自分は未だに性的な商品として見られてしまうのか....と絶望しそうになりましたが、そうではないのです。彼らは、相手が誰であろうと、「独立した感情と尊厳を持つ人間」ではなく「性的な何か」としか捉えることができないのです。

値段を聞かれること自体は、出会いカフェや交際クラブで過去に何百回と経験してきて慣れていたはずだったのに、引退した今、買われる覚悟がない状態で値段を聞かれると想像してたよりずっと怖くて、怒鳴り返すとか、警察を呼ぶとか、そんなことはとてもできずその場を離れることで精一杯でした。逃げながら、その昔、公園の汚い多目的トイレで買われた日の苦痛が鮮明に思い出されて、自分の過去の記憶からも逃げるように一心不乱に歩き続けました。

恐怖を引きずりながら花園神社まで逃げて、嫌な動悸を抑え込むように階段に座り、消耗した感覚に苛まれながらしばらく放心してたのですが、(あの人はスーツを着てたけど昼間は会社に行ってるのか...) と考えたらますます恐ろしくなりました。

性産業は「社会の底辺」と蔑視されてきましたが、その底辺の世界にも容赦のないヒエラルキーがあり、その中でもなんの後ろ盾もない立ちんぼは最も権力を持たない存在です。

同じ女性を買うにしても風俗には行かず、路上に立つ女性を買う男性の心理には、不遇な女性を買うことでしか得られない種類の特殊な優越感を獲得したいという歪んだ欲求がある気がします。そしてその欲求の裏には、女性に対する強烈な劣等感が…

そんな男性が、朝は普通に通勤電車に揺られ、会社で仕事しているのか…この社会の中で同じ空間に溶け込んで社会生活を送ってるのか…と思ったら、何重にも恐ろしくなりました。

どう考えても、逮捕されるべきは彼の方です。

ところが、今国会で成立が見込まれる女性支援新法(赤旗の記事)では、売春防止法第5条が温存されるとありました。

第5条は「棚卸日記 vol.2 女性だけが責められる国」でも書きましたが、勧誘行為をした「女性」を罰する法律です。実際に声を掛けているのは男性であるにもかかわらず、性暴力の被害者である「女性」だけを罰するのです。逮捕されて罰金刑になれば前科がつきますが、女性たちに必要なのは懲罰ではなく適切な医療と支援です。

そして、罰せられるべきは買春者です。加害者更生プログラムも受けるべきです。

「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」では、相手が18歳未満であれば買春者は逮捕されます。これは、児童買春はいかなる理由であれ子どもに対する深刻な暴力であり、人権侵害だと認識されているからです。

それではなぜ、成人女性が受ける暴力は暴力と認識されないのでしょうか。

買春者の性暴力は金銭授受で正当化されてよいのでしょうか。

「…奴隷を罰することによって奴隷貿易をなくそうとしてきたようなものである。買われたり売られたりするあらゆる奴隷を罰するが買主を処罰しないままに放置したとすれば、奴隷貿易をなくすことができなかっただろう。同様に売春で何よりも利益を有しているのは買主である (1871年)」

これは、ビクトリア朝時代のイギリスのフェミニスト、ジョセフィン・バトラーの言葉です。

性暴力の被害者である女性を罰するのではなく、買う側の男性こそ罰せられなければならないはずです。

スウェーデンでは1999年から世界に先駆けて買春行為を禁止していますが、これは決して「国家による女性の貞操のコントロール」といった主旨ではありません。家父長制を温存させずに、女性の経済的自立を目指しての成立でした。同時にスウェーデンは性別賃金格差の是正に積極的に取り組み、2006年以降ジェンダーギャップ指数が5位を下回ったことがありません。

ところが、ジェンダーギャップ指数世界120位の日本はどうでしょう。買春する男性ではなく、権力を持たない女性を罰するようなセクシズムに満ちた法律を未だに温存させようとしています。

今国会で成立が見込まれる女性支援新法では、第3章の補導処分と第4章の保護更生は廃止される見込みですが、第5章も削除されるべきです。

そして、買春者に対する処罰規定が作られなければ、性売買が女性に対する暴力であるという認識が社会に浸透しません。

※「棚卸日記vol.2」と、この記事を読んで関心を持ってくださった方にお願いです。ダークツーリズム感覚で大久保公園に「見学」「観察」に行くのはやめてください。YouTubeなどで面白おかしくコンテンツ化し、それを収益化する人が増えていますが、人権侵害です。関心を持ってくださった方は、是非国会を注視して、今後の動向を見守ってほしいです。



◆世間の価値観に踊らされずに生きていく◆

話題は変わりますが、今年も「母の日ギフト」のプロモーションがわらわらと湧いて、店頭でもオンラインでも広告枠をジャックし始める季節が近付いてきました。

虐待家庭育ち、機能不全家族育ち、あるいは毒親育ちにとって、こういった親孝行を強要してくる社会的圧力を前に疎外感に苛まれることが増えるかと思います。

こうした社会的圧力は全力で拒絶したいし、なんとかして消費喚起して消費者にモノを買わせたがる商魂むき出しの企業の態度も批判していきたいです。

家族規範の押し付けと、大量生産大量消費に終止符を。

そして今この瞬間も、虐待されている子はたくさんいます。

この子たちが排除されずに、企業が打ち出す家族キャンペーンの眩しさに打ちのめされずに生きられる社会を目指したいです。

窒息しそうな社会規範を次世代に温存したくないと切実に願います。

以前、ある心理士が「虐待されてきた人、AC (アダルトチルドレン) はマイノリティです」と言ってて、それを聞いたとき、(なるほど私はマイノリティだったのか…) とすごく納得しました。家族関係に恵まれて育った人とは決定的に会話が合わないし、疎外感があったのですが、自分がマイノリティだと認識することで (なるほど、そりゃ疎外感あるわ)と納得できました。

自分がマイノリティだと気付くことができないまま、特殊な環境で特殊な親に育てられたことに劣等感を持ち続けて、「普通じゃない自分」に負い目を感じたり、「普通じゃない」ことで否定された気持ちになりながら、葛藤と混乱を抱えて生きてる人は、実際かなりいると思います。

自分がマイノリティだと気付くことができれば、もうそれ以上は「普通」や「世間並」との乖離に劣等感を覚えなくて済むようになります。目指す必要もなくなります。

虐待などの逆境体験で幼少期から存在を否定され続けてきた人の中には、混乱や不安定感が常態化した人も多いのですが、こうやって、自分がおかれた状況を少しずつ整理することが、混乱を緩和させる助けになると思います。なので私はこれからも私的なことを恐る恐る書いていきます。

そして虐待の世代間連鎖を防ぐためにも、トラウマ治療が保険適応化されるよう声をあげていきたいです。


◆Toxic Positivity(有害なポジティブさ)による二次加害をしないために◆


最後に、誰かに苦しさを打ち明けられたときの基本対応を紹介します。

・「死にたい」と言われたとき
誤「だめだよ!自分を大切にして!」
正「そうなんですね、つらいのに話してくれてありがとう。いつからそう感じますか?」

・「生まれてこなければよかった」と嘆く人がいたら
誤「そんなこと言わないで!生きてればいいことがあるよ!」
正「そうなんですね。どんなときにそう感じるのか、よかったら教えてくれませんか」

社会の中で誰からも大切にされて来なかった人に対して「自分を大切にして!」と励ますのは完全な二次加害です。また「そんなこと言わないで!」とネガティブな感情を否定してしまうと、打ち明けた人はそれ以上話せなくなってしまいます。まずは信頼して話してくれたことに対する感謝を伝えて、自分に聞く気持ちがあることを伝えてみましょう。いつからつらいのか、どうしてつらいのか、少しずつでいいから相手が気持ちを吐き出せるように聞いてみてください。根掘り葉掘り聞くのではなく、相手の言葉をできるだけ待ちながら、出てきた言葉に耳を傾けてください。

そして、アドバイスは禁物です。「もっと〇〇した方がいいよ」といった性格や思考の癖に対するアドバイスは、「今のあなたは〇〇ができてないよ」と、相手を否定するメッセージになってしまうことが多いからです。

以上は相談相手として二次加害しないための基本的な知識ですが、医療、福祉、法的な手助けが必要な場合は、利用できそうな制度はないか、専門機関を調べましょう。

https://www.lovepiececlub.com/column/17874.html
TOP
フェミニストコラム
爪半月
棚卸日記 vol.3「私に値段を付けないで。」


棚卸日記 vol.3「私に値段を付けないで。」

爪半月2022.04.17





成人年齢引き下げに伴う18、19歳の若者を狙ったアダルトビデオ(AV)出演強要問題に関し、自民、公明の与党は13日、プロジェクトチーム(PT)を発足させ、全年齢を対象に「問題のある契約はいつでも取り消し可能にする」との新法創設を目指す方針を固めた。保護者の同意がなければ、契約を解除できる「未成年者取消権」と同等の措置を18、19歳に適用することを検討していたが、法的に難しいと判断した。(佐藤裕介)

 未成年者取消権なら、保護者の同意がないというだけで契約を解除できたが、与党が検討する内容の法律だと、被害者側が「問題のある契約」だったと立証する必要性に迫られる可能性もある。支援団体から批判の声が上がっている。

 PTは立法措置の基本的な考え方として「18、19歳に限らず、全ての年齢について対策を講じる必要がある」とした上で「事業者による出演契約の具体的内容に関する説明義務が果たされない場合など、問題のある出演契約はいつでも取り消しができる」とした。与党は今国会の成立を視野に入れている。

 被害者の救済に当たる支援団体「ぱっぷす」(東京都)の金尻カズナ理事長は本紙の取材に「18、19歳の被害者の多くは社会的に孤立し、悪質業者のコントロール下におかれて正式な契約を結んでいる場合がほとんどだ。契約に瑕疵がなくても取り消せる未成年者取消権と同等の措置が認められなければ、18、19歳の被害者を救済することはできない」と批判した。金尻氏はAV強要問題に関し、成人年齢が20歳から18歳になっても、特例として、18、19歳に未成年者取消権を認めるよう与野党に要望していた。

 未成年者取消権は、未成年者が保護者などの同意を得ずにした契約は、取り消すことができる民法の規定。相手の違法行為を立証しなくても契約を無効にできるため、虚偽の説明や強要などでAVに出演させられる若者が後を絶たない中、若者を守る有力な手段になっていた。今月施行の改正民法による成人年齢引き下げで、18、19歳の取消権が消滅。このため、この年齢を狙った被害拡大が懸念されている。

 「ぱっぷす」によると、AV強要問題は昨年、81件の被害相談があり、うち20件が未成年者の相談だった。

【関連記事】これではAV出演強要を防げない…「未成年者取消権」使えず 政府・国会は一刻も早く法整備を

https://www.tokyo-np.co.jp/article/171546
AV出演強要は「問題ある契約」のみ全年齢で取り消し可能 18、19歳の取り消し権は断念 支援団体は「被害救済できない」

2022年4月13日 21時22分



18、19歳の若者が、アダルトビデオ(AV)の出演契約を取り消すことのできる「未成年者取消権」が、1日から使えなくなった。成人年齢が18歳以上に下がったためだ。AV出演被害者の支援団体が求めてきた立法措置は間に合わなかった。早くから問題が指摘されながら、動かなかった政府や国会の不作為責任は大きい。(特別報道部・大杉はるか)

 「暗黒の春がやってきてしまった。相談に来られた時に、なんと答えればいいのか」。AV出演被害者の相談や、拡散された映像の削除要請などの活動をしているNPO法人「ぱっぷす」の金尻カズナ理事長は落胆する。

 成人・未成人問わず、だましや強要などの違法な手口で、本人が不本意なままAVに出演した場合、違法性を立証できれば、民法などに基づき、出演契約を取り消せる。だが、AV制作会社側は、合意の上の契約かのような「証拠」を残すため、実際に取り消すのは難しいという。

 ぱっぷす相談支援員の岡恵さんによると、制作会社側が作る契約書は、「制作者(など)から事実に反する説明をされたり、違約金請求などの脅迫を受けたことは一切ありません」など合法的契約であることを強調する内容が多い。

 しかし、スカウトや求人サイトでアルバイトに応じた若者が、言葉巧みにサインさせられ、断ると高額の人件費やスタジオ代を請求されるケースも多い。カメラの前で契約書を読まされ、SNS上に「がんばります」などの前向きな言葉を残させられることもある。



ある制作会社のAV出演承諾書

 契約書という文書での証拠に対し、だましや圧力めいた物言いは電話や対面など証拠に残らず、法的な対抗手段になりにくい。その点、未成年者が法定代理人の同意を得ずに行った法律行為は取り消すことができる(民法5条)という「未成年者取消権」は、未成年限定ながら、被害立証を必要としない強力な対抗措置だった。

 「取り消されると、制作側は遡及して映像の配信や販売の停止を求められるため、強い抑止力になってきた」と金尻さん。「これまで未成年がスカウトで業界入りしても、実際AV出演させるのは20歳以降が多かった。これがいきなり18歳から出演させられる。今後も飲酒や喫煙、ギャンブルは20歳まで禁止なのに、AV出演の解禁はおかしい」

◆動かなかった政府・国会 「問題の深刻さ、把握遅れた」

 金尻さんらは2014年から、この問題を訴えてきた。では、政治の側は気付いていなかったのか。

 実は、成人年齢を引き下げる民法改正案を審議していた18年6月。当時の上川陽子法相は「(AV出演強要について)現行制度で、十分か否かは、政府も検討を続けなければならない喫緊の課題だ」「法的体制、対策も含めて検討し、実現してまいりたい」と答弁していた。

 だが、その後、政府や国会では立法化の具体的な取り組みはなかった。与野党が議員立法の検討を始め、国会でも取り上げられるようになったのは3月下旬になってから。ある野党議員は「この問題の深刻さを把握するのが遅れた」と反省する。



 同月31日の参院内閣委員会で津島淳法務副大臣は「放置していいかという認識では全くない。穴が開くと心配している」と答弁。ぱっぷすらがその前日、議員会館を訪れ、改めて立法措置を求めた際には、対応した自民党の井出庸生衆院議員が「取り組みたい」と応じ、公明党の佐々木さやか参院議員も「根本的には法律がないと解決しない事案だ」と語った。ただ具体的な時期は見通せない。

 金尻さんは「明らかに不作為。18、19歳の被害者を出さないためにも、一刻も早く応急処置をしてほしい」と訴える。

【関連記事】「高校生のAV出演、主流になりかねない」NPO法人が強要被害を懸念 4月からの成人年齢18歳引き下げに警鐘

https://www.tokyo-np.co.jp/article/169578
これではAV出演強要を防げない…「未成年者取消権」使えず 政府・国会は一刻も早く法整備を

2022年4月4日 06時00分



4月から成人年齢が18歳に引き下げられると、アダルトビデオ(AV)出演の強要といった被害が若年層に広がるのではと懸念する声が上がっている。18、19歳が結べるようになる契約は多様になるが、本人が後から契約を取り消すことのできる「未成年者取消権」は対象外となるからだ。性的搾取防止に取り組む支援団体は23日に集会を開き、「被害をなくすための立法的な解決を」と訴えた。(中村真暁)

【関連記事】性犯罪からどう守る 「水着ゾーン」は触らせない

◆絶えない若い女性のAV出演強要被害

 「スカウトに声かけられてない?」「相談窓口やってます」。3月上旬の夜、NPO法人「ぱっぷす(ポルノ被害と性暴力を考える会)」(東京都文京区)のスタッフ5人が新宿・歌舞伎町の路上にいる女性たちに声を掛けて回っていた。



スタッフと一緒に歌舞伎町の夜回り活動に向かうNPO法人ぱっぷすの金尻カズナ理事長(右)=4日、東京都新宿区で

 マスクや弁当と一緒に配っていたのは、AV出演強要などの問題を伝える啓発チラシだ。歌舞伎町には常時、AV女優や風俗業へ勧誘するリクルーターが100人はいるとされ、ぱっぷすは約1年前から週2回、歌舞伎町で女性たちの声に耳を傾けてきた。

 AV出演強要を巡っては、若年女性の被害が絶えない。ぱっぷすには、16歳ごろに路上やネット上で勧誘され、水着写真の撮影や動画配信に従事させられた後、児童買春・ポルノ禁止法で規制されない18歳のタイミングでAV出演を強要されたといった相談が多数寄せられている。

 それでも未成年者取消権を行使すれば、映像配信や商品の流通を止められる。ぱっぷすでも、何度も被害を抑制してきた。金尻カズナ理事長は「成人年齢が引き下げられれば、被害が低年齢化し、18歳を迎えた高校生のAVが主流になりかねない」と危ぐする。

◆コロナ禍で新規相談が急増

 特に新型コロナウイルス禍では新規相談が増加し、2020年度は19年度の1.5倍の約280件に。21年度は約620件に上る。外出自粛の影響で家庭に居場所を失ったり、経済的に困窮したりした女性を狙い、AV業界などへの勧誘が増えたという。



スタッフと一緒に歌舞伎町の夜回り活動に向かうNPO法人ぱっぷすの金尻カズナ理事長(右)

 東京・永田町で開かれた23日の集会では金尻さんのほか、AV出演強要の被害経験がある社会活動家のくるみんアロマさんが「当時の私は20歳を超えていたが、18、19歳の人が冷静な判断で勧誘を断れるだろうか。(当時の)動画などはネットから消えない。消えない苦悩だ」として、若年層への予防啓発の必要性を訴えた。

 業界関係者も自主規制を進める。業界団体などでつくるAV人権倫理機構(新宿区)は23日、女優の契約や撮影について「20歳に達してからとすることを強く推奨する」とのルールを公表。18、19歳でデビューする場合も、「とりわけ丁寧な意思確認」を行うとした。

【関連記事】消費トラブル増加の懸念 4月からの18歳成人

https://www.tokyo-np.co.jp/article/167370
「高校生のAV出演、主流になりかねない」NPO法人が強要被害を懸念 4月からの成人年齢18歳引き下げに警鐘

2022年3月24日 06時00分



 インターネット上にあふれる過激な性描写のアダルトサイト。会員制交流サイト(SNS)経由で子どもが性犯罪に巻き込まれる事件も後を絶たない。子どもの妊娠などの問題に関わってきた産婦人科医ら専門家は性教育の重要性を指摘するが、保護者にとって性の話題はハードルが高い。望まない妊娠を避け、子どもを性犯罪の被害者、加害者にしないため、上手な教え方を学びたい。 (細川暁子)

 さいたま市の母親(48)は昨年七月、親子兼用のタブレット端末を見て驚いた。目に入ってきたのは、アダルト系のアニメサイト。嫌がる少女を男性が押し倒して性行為をする場面が描かれていた。中学一年の長男(13)に問いただすと、サイトを見たことを認めた。

 「年ごろの男の子が性に興味を持つのは自然だが、レイプのような性描写は見過ごせない」。母親は、妊娠の可能性がある性行為は責任が伴うことや互いの同意が必要であることなどを教えた。子どもがネットに簡単にアクセスできる今、「親が性教育をする必要性を感じた」という。長男は「母と話し、女性を大切にしなきゃいけないという気持ちになった」と話す。

 「アダルトビデオ(AV)やアダルトサイトがセックスの教科書になっている」と警鐘を鳴らすのは、全国の学校で性教育をする河野産婦人科クリニック(広島市)院長の河野美代子さん(72)だ。河野さんはAVの影響を受けた男性の乱暴な行為で、性器にけがをした十~二十代の女性を多く診てきた。AVではコンドームを使わず膣(ちつ)外に射精する描写もよくあるが「これでは避妊できない」。これまでに河野さんのクリニックを受診した性交経験のある十代の女性七百九人のうち、膣外射精をされた人の三割近くが妊娠していた。

 厚生労働省の「衛生行政報告例の概況」によると二〇一八年度、二十歳未満の人工妊娠中絶件数は一万三千五百八十八件。十五歳未満も百九十件と、心と体に負担がかかる手術を受けている若い女性が少なくないことが浮き彫りになった。

 性教育はこうした事態を避けるのに不可欠だ。しかし、中学校の保健体育の学習指導要領では、妊娠に至る行為や避妊は扱わないとしている。「寝た子を起こすな」といった批判は根強いが、河野さんは「きちんと教え、子どもを守るのは大人の責任」と強調する。

 妊娠した小学五年の女児を診察した時のことだ。相手は中学生。女児は自分が性交渉をしたという事実さえ理解しておらず、周囲も妊娠したことに気付かないまま中絶できる期間が過ぎていた。そのまま出産。生まれた赤ちゃんは特別養子縁組をした家庭で育てられることになった。

 「性教育は、性に対して抵抗感のない三~十歳のうちに行うといい」と話すのは、元看護師・のじまなみさん(38)=埼玉県和光市=だ。「お母さん!学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!」(辰巳出版)の著書があるのじまさんは、親子を対象に「とにかく明るい性教育・パンツの教室」を各地で開く。

 性について話しやすいのは互いに裸になるお風呂の時という。のじまさんらは、水着で隠れる部分と口、胸を合わせて「水着ゾーン」と呼ぶ。「『水着ゾーン』は大切な場所」と伝えると子どもも理解しやすい。「そこを無理に見たがったり、触りたがったりする人は危険だし、自分もそんなことをしてはいけない」と教える。万が一何かされたら逃げる、必ず大人に伝えるよう言い聞かせるといい。

 「命の大切さや相手を思いやる心をはぐくむことができるのが、性教育」とのじまさん。自身も三人の娘たちに、妊娠・出産の仕組みを説明しながら「生まれてくれてありがとう」という言葉を伝えたという。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/11887
性犯罪からどう守る 「水着ゾーン」は触らせない

2020年1月10日 02時00分



2022年4月1日から、民法の改正により、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられる。明治時代以来、約140年ぶりの変更で、高校生を含めた10代の若者が「大人」としてさまざまな契約ができるようになる。一方で、トラブルの増加を心配する声も。これまでと何が変わるのか、改めて押さえておきたい。 (河郷丈史)

◆ローン契約可能に

 法務省によると、民法が定める成人年齢には「一人で契約できる」「父母の親権に服さなくなる」という意味がある。このため、成人年齢に達すると、親の同意がなくても携帯電話の契約をしたり、クレジットカードを作ったり、一人暮らしのために賃貸住宅を借りたり、ローンを組んで高額な商品を買ったりと、さまざまな契約が可能となる。

 ただ、全国の消費生活相談窓口に寄せられるトラブルの相談は、成人して間もない二十代前半で急増する傾向にある。二〇年度の年齢別の相談件数で、未成年の十八〜十九歳の平均が四千八百二十件だったのに対し、二十〜二十四歳は一・六倍の七千七百四十一件に上った。

 「成人後に被害が急増する大きな要因の一つは『未成年者取り消し権』が使えなくなること」と国民生活センター。未成年が親の同意を得ずに契約をした場合、成人とうそをついたなど一部のケースを除き、契約を取り消すことができるという民法の規定だ。成人年齢の引き下げ後は十八、十九歳に未成年者取り消し権が適用されなくなるため、トラブルの増加が心配される。



◆高校での教育充実

 成人直後に目立つのは、エステや脱毛などの美容サービス、もうけ話をうたう副業サイトや投資商品、情報商材などの契約を巡るトラブル。インターネットの情報を見て自ら連絡したり、会員制交流サイト(SNS)で知り合った人物や友人から誘われたりしたことがきっかけで、契約時にお金がなくても、消費者金融や学生ローンで借金をさせられたり、クレジットカードで支払わされたりする場合もあるという。身近な契約やお金について、十代のうちから理解を深めることが重要となっている。

 来年四月から始まる高校家庭科の新学習指導要領では、契約の重要性や消費者保護の仕組みといった消費者教育に関する内容を充実。家計管理への理解については、株式や債券、投資信託などの金融商品の特徴や、資産運用の視点に触れることが盛り込まれた。

◆識者に聞く 考える「態度」必要



 成人年齢の引き下げにどう備えればいいか。日本消費者教育学会会長で、椙山女学園大教授の東珠実さん(61)=写真=に聞いた。

 18歳になれば高校生でも消費者として責任を負うことになるため、契約やお金に関する最低限の知識が必要となる。ただ、難しい法律の知識などを学ぶ必要は必ずしもなく、契約に対する正しい「態度」を身に付ければいい。

 相手に誘われるままに勢いで契約をするのではなく、よく考える。「必ずもうかる」といったあり得ない話を持ち掛けられたとき、「変だな」と気付いて、すぱっと断れる。シンプルなことだが、これができるだけでもトラブルは減る。

 もしトラブルに遭ったら、大切なのは相談機関に相談すること。未成年者取り消し権が使えなくても、さまざまな消費者保護の仕組みがある。相談は自分の被害を回復するだけでなく、他の人が新たに被害に遭うことを防ぐことにもつながる。

消費トラブル 増加懸念 18歳成人 来年4月から

2021年7月22日 07時37分