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言葉を変えれば、世界が変わる

私は大学で言語学を専攻した。

言語学で学んだことは、残念ながら、卒業と同時にほとんど学校に置いてきてしまった。しかし「言葉が概念をつくる」という考え方は、今も私の大きな軸となっている。

ものごとに意味や価値を与えるのは、言葉である。世界はすべてグラデーションであり、地続き。本当はつながっているものを、言葉を使って区切り、切り取っている。

「ちょっと何言ってるか分からない」という方も、まぁ聞いてほしい。


分かりやすいのは、「色」についての言葉である。

色こそまさに、本来はグラデーション。そこに赤、黄、緑、青、と色名をつけて、”便宜上”区別しているのだ。ここからここまでは赤、ここからは黄…と、本当は境目のないものに色名(ラベル)を与えることで、扱いやすいように区切っている。


虹は国によって色数が違う、という話を知っているだろうか。

同じものを見ているのに、国によって虹の色数は違うという。日本では虹と言えば7色だけど、例えば南アジアのバイガ族では2色らしい。

虹を2色としているバイガ族は、明るい色(赤や黃など暖色系)を赤、暗い色(青や紫など寒色系)を黒とザックリ分けているようです。同じ色を見ていても、その色を表現する言葉があるのか、ないのかで虹の色数も変わってくるということです。

そう、区別して表現する言葉があるかないかで、ものの見方自体が変わるということ。

中間の色を区別する色名(ラベル)を持たなければ、その色を切り分けて捉えられない。つまり、適切な言葉を持たなければ、そもそも認識できないということである。


そして、逆のことも言える。

言葉を豊富に持っている人は、ものごとを適切に捉える力を持っている

色のたとえに戻るが、同じ「赤」を見た時に、「赤」と言うのか、「鮮やかな赤」と言うのか。「美しい赤」「夕日のような赤」「情熱的な赤」「日の丸の赤」「プロポーズの花束のバラと同じ赤」「彩度も明度も高いビビッドトーンの赤」…などなど。

伝えたいことを正確に伝えられるかは、自分の言葉のひきだしにかかっている。これはいわゆる“言語化スキル”に直結する要素でもあるだろう。


選ぶ言葉は、その人の世界の切り取り方。どういう視点でものごとを見ているのか。言葉に思考は表れる。

だからこそ、よい言葉をたくさん吸収し、丁寧に言葉選びをしていると、思考の精度(解像度)も上がってくるし、見える世界が変わる――と私は思う。

言葉を変えれば、世界が変わる。このnoteのタイトルは大げさでもなんでもない。


言葉でつながるTwitterを見ていると、このことが顕著に表れているのではと感じる。

グチや批判のツイートが多い人には、同じようなタイプの人が集まるし、やさしく繊細な言葉選びをする人の周りには、細やかな表現をする人が集まる。日常のあるある話をする人には、等身大の共感を求める人が集まる。

言葉は共鳴して、自分の周りの人たちを選んでいく。そうして自分を取り巻く世界ができていく。

言葉っておもしろい。

私のつたない言葉では自信がないけれど、言葉には世界を変える力があるのだと、少しでも伝わっていたら嬉しい。言葉を学び、言葉を仕事にしているひとりとして。

選ぶ言葉が思考に直結するという話は、こちらのnoteにも書いたので、もしよろしければ。

それでは、また明日。

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