見出し画像

旅が人生を変えてくれたこと

学生時代、初めて旅した中国を皮切りに、アジア、ヨーロッパ、インドなどを旅してきました。社会人になった後も旅の日々が忘れられず、新卒で就職した会社を2年半で退職して長期の旅に出ました。二十代後半までに1年9か月程度の時間を海外で過ごしました。

会社を退職するとき、理由を聞いた支店長は、「自分に肥やしをやる、ってことだな。」と深く頷き、暖かく送り出してくれました。

そのときには、自分自身、「自分に肥やしをやる」というその言葉の意味をよく理解できていなかったように思います。旅を通じて得た経験がその後の人生に与えた影響を振り返ってみると、その意味がよくわかります。

旅から帰ってきた後、メーカーに就職し、約10年ほど知財法務の仕事をした後、弁護士になりました。弁護士になるには、司法試験に合格したのち、司法修習生になって座学と実務研修をしなければなりません。また、司法修習の期間は、その後の自分の進路を考える期間でもあります。

弁護士としてどんな仕事をしていくのかについて、企業で知財法務の仕事をしていたこともあり、当初は、漠然と東京か大阪で知財法務の仕事をしていくことを考えていました。しかし、司法修習の間に弁護士の仕事の幅の広さを知り、旅に生きていたころのことを振り返り、自分の好きなこと、やりたいことをしよう、と心に決めました。

あの旅の日々に出会った人たち、困っているときに助けてくれた人たち、外国人として異郷を訪れたときのこころぼそい気持ちの中で親切に接してくれた人たちのことを懐かしく思い出します。あの人たちに恩返しすることはできないけれど、外国から日本にくる人たちが増える中で、日本に暮らす外国人の人たちの支援に携わっていきたいという思いを持ちました。

その後の私の仕事の中で、日本で暮らす外国人の方々を依頼者とする仕事は、大きなウェイトを占めるものになりました。旅の経験は、語学力をはじめ、異文化理解や海外で暮らすことの困難に対する理解などに役立っています。旅に出る前にも、旅から帰ってきてからも、旅の経験がその後の自分の仕事とかかわりをもつことになるとは思ってもみませんでした。振り返ってみて、あの旅をしてよかった、とつくづく思います。

この記事が参加している募集

自己紹介

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?