見出し画像

アイスクリーム製造業の開業ハードルは、想定以上に高かった。

こんばんは、渚です。
今までは、
・大学生でキッチンカーのクレープ屋さん&シェアキッチンのオーナー経営
・新卒の会社を退社して小さなクレープ店を経営
したりしていました。

クレープ店の経営について詳しく知りたい方は

こちらの記事を読んでいただけると嬉しいです。

今回は、そんな私が次に挑戦しようとしていた「アイスクリーム製造業」について、ちょっと色々とわかってきましたので、備忘録と報告を兼ねてお話したいと思います。

アイスクリームの製造販売に挑戦したい!その理由は。

クレープ店「おおさきっちん」を閉店してから、色々とお話をいただいたり、自分でも色々と考えていたことや調べていたことを深堀したりしていました。

そんな中たどり着いた、やってみたいことの一つが「アイスクリーム製造業」です。

具体的には、「ヘルシーで罪悪感のないアイス」「機能性としてコンセプトのあるアイス」の自社ブランドを通信販売で販売したい、と思っていました。

なぜアイスクリームなのか

アイスクリーム製造業をやりたかった理由は色々とあるのですが、大きく分けて
・アイスが大好きだから
・賞味期限がないのでロスが少ない
・ヘルシーなアイスのECで大手はまだない(気がした)
・単純に自分が食べたいアイスが作りたかった
といったところです。

食品事業をやるうえで、どうしても付きまとう「ロス」という問題。
私はそれが本当に嫌なので、クレープ屋さんをやっていたときも、ロスの出ない材料や商品、という観点を大切にして開発をしていました。

そしてアイスクリームというのは一般的に賞味期限がないので、保管場所さえあれば廃棄をする必要がない、というのは本当に魅力的でした。

そのうえ、自分自身がアイスが大好きすぎて季節や気温を問わず食べてしまうタイプなのですが、
私の好みドンピシャ(ヘルシー、という機能性も含め)なアイスを自分で作って、同じ想いを持つ人にも提供したかった、という想いもありました。

味はドンピシャではないけれど、コンセプトは素敵な好きなアイス。


アイスクリームのOEMもやってみたかった

アイスクリーム自社ブランドの製造販売をやりたいと思うのと同時に、他社ブランドのアイスクリームをOEMで製造受託をしてみたい、と思っていました。

ジェラート/アイスクリーム屋さんがOEMを受託しているところはいくつかあったのですが、
どこの会社さんも自社ブランドを作るのがメインで、そのフレーバーだけ変えられる、というところが多かったように感じました。
※全てお問い合わせしたわけではないです

また、「ヘルシーなアイス」をOEM製造してくれると謳っているところはほぼなくて、
こだわりのミルクや卵で作ってくれる、といったところがほとんどでした。

なので私は、他の業者が対応していない部分の
「ヘルシーアイス」(乳不使用、卵不使用、みたいな)
の専門OEMをやりたい、と考えていました。

製造所として乳などを使用せずに作れば、アレルギー対応もできるし、完全ヴィーガン対応もできます。

・・・という、
・アイスクリーム製造販売
・アイスクリームOEMの受託
のスキマ産業に取り組もうかな、と思ったわけです。

アイスクリーム製造業のハードルもメリットになると思った

アイスクリーム製造業の営業許可って、とっても難しいのです。
というか、「製造業」とついているものは、単純な飲食店許可よりも衛生面の基準が厳しいことが多いです。
(消費者に製造者の姿が見えず直接提供しないから+その製造物を使った副産物がたくさん生まれるから、という理由で衛生面が厳重に管理されている、というイメージです)

なので、アイスクリーム製造業の許可はかなり難しいだろうな。。。というのはなんとなくわかっていました。

しかし、ビジネスとしては
「営業許可取得の難しさ」=「参入障壁の高さ」
になるので、取ってしまえばライバルはできにくい業界でもあります。
真似されにくいので、先行優位性があるのです。

というところも、アイスクリーム製造業の許可を取得してみたい!と思った理由のひとつです。

アイスクリーム製造業を断念しようとしている理由

上記でお伝えした通り、次はアイスクリーム製造業をとろう!!と思って、色々と物件を調べたり、許可についてや競合について、自分なりに調べたりしていました。

その中でいくつも壁にぶち当たり、現在はちょっと厳しいかな・・・という風に思っているので、
その理由をお伝えしようと思います。

今後、アイスクリーム製造業をやってみたいと思っている個人の方や小さいお店の経営者さんに届けばいいな、と思います。

設備がバカ高いし、中古もあまりよくないみたい

アイスクリームを作るにあたって、
・材料を殺菌しながら調合する機械(パステライザー、というらしい)
・調合した液体をアイスクリーム/ジェラートにする機械(パステライザーと一体化しているものも)
・できたアイスクリームを急速冷凍する機械(ショックフリーザー)
・包装する機械(カップの打栓機等)
・その後冷凍で保管する機械
が必要になってきます。

こういうやつがパステライザーです。

これは、お菓子を作る際のオーブンみたいに、「何か代わりの機械や器具、方法で代用する」というのがほぼできません。
(オーブンは頑張ればフライパンやグリルで代用したり、焼かないお菓子を作る、等できるという意味です)

例えば、「殺菌しながら調合する」というのは、具体的には、熱を40℃?前後に保ちながら(殺菌するけれど卵は固まらない温度)1時間等かき混ぜたりしないといけなかったりするので、温度計と鍋でやるには過酷すぎるし、衛生のリスクも手作業だと全然違ってしまいます。

上記のような理由で、どの機械も結局「アイスクリーム専用の業務用製造機器」が必要になってくるのです。

・・・ご想像の通り、それがめちゃめちゃ高いのです。
(全て調べたわけではないですが、100万円以上とかするものも…)

まあ、大企業や大規模な工場を作る企業さんからしたら大したことないかもしれないですが、私のような個人規模の工房を作ろう、と思ったときには、設備機器の費用がかさみすぎてしまいます。

また、飲食店経営者さんなら一度は考える「中古での購入」ですが、それも難しいみたいです。

理由としては、
・製造しているところ自体が少ないので市場に中古が出回る機会がめったにない
・アイスは加熱殺菌をせずに作るという、衛生面がかなり慎重な業種なので、中古で汚れてしまっている/壊れてしまっているときのリスクが高すぎる
といったところです。

参入障壁が高いから中古が出回らず、また中古が出回らないから参入障壁も高い、という負?正?のスパイラル。笑

ということで、機械がバカ高い、というのが一つの障壁でした。

営業許可取得のハードルが高すぎる

断念しようとしているもう1つの理由として、
アイスクリーム製造業の営業許可取得のハードルが高すぎる、というものがあります。

今まで私が経営してきた「クレープキッチンカー」「シェアキッチン」「クレープ固定店舗」3つとも全て、実は”菓子製造許可”を取得しています。
シェアキッチンと固定店舗に関しては、飲食店許可も同時に取得してきました。

おおさきっちんにて許可が通過し、喜びと疲労があふれ出ている私

保健所への申請としては製造業の許可を3回、飲食店許可を2回経験してきています。
なので、設備基準についてはある程度、またどのように保健所へ尋ねたらいいのか、というのも把握しているつもりです。

そして今回のアイスクリーム製造業の基準についても同じように、ある程度ネットで自分で調べてから保健所へ電話やメールで尋ねてみました。
(まだどの区でやるか不明だったため、検討している区の保健所へ聞いて見ました)

そしてそのお尋ねした結果、
絶対めっちゃ大変やん.…
という風に思った、ということです。

ハードルが高い理由として
・製造室のほかに原料の保管室(製造する種類によっていは保管”庫”でもいいかも.…とのこと)を用意してほしい
・パステライザー等、専用の殺菌できる機械を用意すること
・製造後の保管にも、保管室(これも種類によっては保管”庫”でもいいかも。と)を用意すること
・そのほかお菓子やフルーツを混ぜたりするのであれば、その製造所や保管室も別の部屋で作ってほしい
と言われたところです。

保健所の担当者としても、アイスクリーム製造業の取得は前例がなかなかないらしく、色々と調べて対応してくれました。(そしてやはり前例がないと誰しも慎重になりますよね.…)

※ちなみに、乳を使わないと「アイスクリーム」ではなく「氷菓」になるのですが、私が訪ねた保健所ではそれでも同様の設備が必要、ということでした。

つまり、
アイスクリーム製造業の取得には、合計いくつも部屋を作る必要がありそう😭
ということがわかりました。

上手く交渉?して、ある程度必要な部屋数を少なくしたとしても、必要な設備としてかなりのコストがかかってしまうことは間違いなさそうです。

そういうことで、長くなりましたが保健所への申請ハードルもかなり高そう、ということが分かったのです。

送料が高すぎて利益が全然でない

これは通販業界の常識ですが、冷凍や冷蔵、また割れやすい食品などは配送問題がついて回ります。

アイスは否が応でも冷凍便で送る必要があるので、
ヤマトさんの割引をフル活用しても、60サイズで850円くらいはかかります。

アイス1個では送料がバカらしいので、大体の通販サイトでは10個セット、などでセット販売をしているところがほとんどです。

消費者も、今は「送料無料」という条件でECモールを検索することが多いので、送料別で記載する訳にも行かず、結果アイスの通販はある程度は「まとめ買い」の「ブランド/高級アイス」で出す必要が出てきてしまいます。

それでもしっかり高値で買ってもらえるようなブランディングをしてヒットしているアイスやスイーツはもちろんあるので、それで諦めるのは言い訳だと思います。

ただ単純に、自分自身が、ネットのアイスは高いと思って買うことがないので、消費者の気持ちを想像しづらい(=購入者へのアプローチが分かりづらい)というところが大きいです。

作ったところでほしい人に届けられなかったら意味がないし、また、当たり前ですが、製造者が利益の出る価格で「ほしい!」と思ってもらえる人がいないとそもそも商売が成り立ちません。

ということで、商品の送料や価格の問題も大きな障壁でした。

ーーー
ここまでで、アイスの製造販売についてのお話は終わりです!
これからは私自身のこれからについてなので、アイスクリーム製造業についてお調べしてたどり着いた方は、この後は気になったら見てみてくださると嬉しいな、、、という感じで、気軽に見ていってください😊

※保健所ごとに基準は多少変わってくると思うので、実際に始める際には必ずお問い合わせしてみてくださいね。
ーーー

今、私が挑戦したい(すべき)ところはどこなのか

上記でお話したように、まだ私にはアイスの業界でそこまでのリスクを負って、そこまでのハードルに挑戦する必要はないのではないか、、、と思ったのが、今回断念しようと思っている理由です。

かといって、リスクを恐れていたら何も進めないし、自分が今できる範囲でしか挑戦しない、というは嫌だと思っています。

今自分が持っているものは何か、活かせるスキルや人脈、熱意の方向性はどこにあるのかをちゃんと把握して、
自分が持っているものと市場が求めているもの、そして何より自分がワクワクするもの、というところを見極めていきたいと思っています!


最後まで読んでくださった方、ありがとうございました!

営業許可については本当に色々とややこしいところもあるので、私が調べたり知っている範囲や考えている範囲でまた書いていこうと思います。

※皆さんの知りたいことなどがあったらぜひDMやコメントで教えてください!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?